
テレビの情報番組に欠かせない存在となったコメンテーターだが、最近は彼らのコメントが炎上してしまうなど、何かとネガティブな反応が多い。そんな中、「もしも言いづらいことを代弁してくれるコメンテーターがいたら?」を描いた洋介犬(@yohsuken)さんの漫画「反逆コメンテーターエンドウさん」が話題だ。世の中の理不尽へ正面から向き合うコメンテーター・エンドウさんの言葉は、読者の心にも大いに響いている。今回、作者の洋介犬さんに話を聞いた。
■「議論の目標は結果としてみんなにとって良い結論が出ること」
――エンドウさんというキャラクターが生まれたきっかけを教えてください。
【洋介犬】7年ほど前にSNS投稿用に「もし忖度(という言葉は今ほど浸透していませんでしたが)なしで凝り固まった定形のやりとりを無視するコメンテーターがいたらどうなるだろう?」という想定で描き始めました。いわゆるシミュレーションに近い形でスタートしており、実は今でもこれはあまり変化していません。
――数あるエピソードの中で特に反響が多かったものは?
【洋介犬】毎回それぞれに「良かった」の声が大きく、選ぶのも大変ですが「キラキラネーム」の回や「こどもハーネス」の回、「陰謀論」の回など読者さんの生活に微妙にマッチし、他人事でない回がやはり反響が大きいですね。予想よりも優しい、泣ける話に好感を持ってもらえたのは意外な発見でした(「脇役俳優」の回など)。
――エンドウさんが語る言葉、主張はどのように決められていますか?
【洋介犬】実はこの漫画はキッチリとした筋立てを用意しているわけではなく、テーマに沿ってエンドウさんやケンジロンがどう答えるか、アドリブで出た結果を整理している感じで描いています。建付けとしては「監督と演者」に近いかもしれません。
――SNSではあらゆる事象について日々さまざまな意見が交わされています。
【洋介犬】作中でエンドウさんが言っているように、議論の完成や目標は決して「どちらかの勝利」などという矮小なものではないと思います。結果としてみんなにとって良い結論が出ることが最上であり、そこに個々人のメンツなど関係はないかと。そういう意味で多種多様な意見が寄せられ、考え、研磨して生活に持ち帰れればそれが一番良いのではないでしょうか。
取材協力:洋介犬(@yohsuken)