養子先の「家族内いじめ」と夫の女性蔑視を乗り越えたキヨさんの今の気持ち。「親に捨てられた私が日本一幸せなおばあちゃんになった話」制作裏話【92歳祖母の告白】

  • 2024年3月8日
  • Walkerplus

Instagramやライブドアブログ「ゆっぺのゆる漫画ブログ」で、実話をもとにしたエッセイ漫画を描く漫画家のゆっぺさん。ブログは2021年には月間3000万PVを記録し「ライブドアブログ OF THE YEAR2021」最優秀グランプリを受賞。2021年12月から執筆してきた「親に捨てられた私が日本一幸せなおばあちゃんになった話」では、戦前から生きる“祖母・キヨさん”の幼少期からの実体験を漫画化し、コメント欄を解放した最終話には500件以上の熱い応援コメントが寄せられた。

著者のゆっぺさんと、物語の主人公である現在92歳のキヨさんに交互にインタビュー。今回は過去の経験を「まさか孫に話すことになるとは(苦笑)。でも、話すことができてうれしかったです」というキヨさんに今現在の話を伺った。

■夫に「そんな親がどこにおる?」と言われて、誰にも話せないと思った
――孫のゆっぺさんの著書「親に捨てられた私が日本一幸せなおばあちゃんになった話」の「夫婦編」では、結婚して意地悪な養母の家から脱出できましたが、旦那さんは過去の話を信じてくださらなかったそうですね。

旦那さんが「昔、自分がすごく貧乏だった」話を何度もするので、私は「学校行くときの鞄は買ってもらえた?」と聞いたんです。そうしたら、「当たり前さ」と答えたので、“この人には何を言ってもだめだな。私が経験したほどの貧乏はわからないな”と思って諦めました。(漫画にも描かれていますが)ノートを買ってもらえなかった話をしたときも「そんな親がどこにおる?」と言われたので、悲しかった経験は誰にも言えないなと思っていたのですが、まさか孫に話すことになるとは(苦笑)。でも、話すことができてうれしかったです。

――旦那さんは古い価値観(男尊女卑)の強い方だったそうですが、お子さまも生まれ、「夫婦編」からはキヨさんが力強く生活していらっしゃることが伝わってきました。

結婚してからは、気楽になりました。うちの旦那は人を連れてくるのが好きな人で、家だろうが旅行先だろうが、お客を連れてきたんです。だから、海外でもケンカしてましたけど、旦那に何を言われようが言い返すことができましたから。ほかにもイヤなことを言われたりしてコンニャロと思うことはありましたけど、子どもがちゃんと私を見て育ってくれたことがうれしかったです。周囲の子たちは大きくなると、みんな、都会に出て行きますが、うちの子たちは家にいてくれたんです。

■子どもたちや孫が思いやりのある人間に育ってくれたことがうれしい
――お子さんたちがそばにいてくれたんですね。

はい。子どもには恵まれました。息子に「みんな東京に出るけど、俺は残るよ。うれしいだろう?」と言われたことがあったので、「ありがとな」と答えました(笑)。人生を振り返るといろいろありましたけど、2人の子どもも、孫も思いやりのある人間に育って、よかったなと思っています。旦那が亡くなって、皆さんに「一人で寂しいでしょ?」と言われますが、何にも寂しくないです(笑)。

――最近のキヨさんの楽しみは何ですか?

小さな畑があって、そこに毎日行くことです。もうちょっとしか動けないので、“畑仕事しています”なんて言ったら笑われるかもしれないですけどね(笑)。でも、小さな畑なので少しでも草が生えると気になってしまうんです。だから、草の種ができる前に花をむしるようにしています。そうすれば、後々、楽かなと思ってね(笑)。

■今は自分がやりたくてやっているから、何をしても幸せです
――漫画のタイトルに「日本一幸せなおばあちゃん」とありますが、今、キヨさんはどんなときに幸せを感じますか?

ただ、ここにいるだけで幸せです。畑の草むしりも、趣味の工芸も、自分がやりたくてやっているから何をしていても幸せです。外に出れば、家の中であれがしたい。家にいれば、外に出てあれがしたい。常に何かしたいと思っています。でも、暖かい時期に趣味の手毬を作りたいなと思っても、草が生えてくるから手につかない。だから、冬になったら作るために、材料を買って準備しているんです。こうして、やりたいことを語れること自体も幸せですね。

――畑仕事に、趣味に、今のキヨさんの生活は毎日充実しているんですね。

はい。先ほども言いましたが、みんな自分がやりたくてやっているのでね。趣味の手毬は100個以上あったので、数年前にご近所さんにプレゼントしました。いっぱいあって邪魔だったら、私の棺桶に一緒に入れて焼いてねって言ってあります(笑)。こんなふうに冗談が言えるのは、幸せになったからだと思います。もし、これで子どもがグレたりしていたら、自分が叔母さんの家でイヤな思いをしたからかな?と思ったりもするかもしれないですが、子どもも孫もいい子に育ってくれたので、こんなふうに思えるんだろうなと思っています。

――漫画にも描かれている通り、あんなにもつらい経験をしたキヨさんですが、その表情はとても朗らか。生き抜いたからこそたどり着いた境地といえるんでしょうね。

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