【漫画】「神様はいるのかも」駅の中で見つけた神社、おみくじを引こうとしたら「黄色を」と謎の声…。受験生の不思議な話にほっこり

  • 2023年2月22日
  • Walkerplus

寝過ごしたり乗り間違えたり、普段の生活でも鉄道は未知なる場所に人を運ぶことがあるもの。そんな列車の乗り過ごしで遭遇した、受験期の不思議なエピソードを描いた体験談漫画にTwitter上で1万1000いいねとともに「不思議だけれども良い漫画」「スゴくいい話」と反響が集まっている。
話題を呼んだのは、漫画家のみつつぐ(@mitutugu)さんがTwitter上で公開している「人から聞いた不思議な話を漫画にしてみた」シリーズの新作。同シリーズは2023年2月7日、『#人から聞いた不思議な話を漫画にしてみた』(朝日新聞出版)として新たに書籍が発売された。反響を集めたエピソードの紹介とともに、作者のみつつぐさんに話を訊いた。

■偶然たどり着いたはじめての駅。ホームにあった小さな神社で聞こえた不思議な声
今年1月に投稿された「人から聞いた不思議な話を漫画にしてみた 74」では、受験直前の男子高校生の体験談が描かれている。入試への不安と疲労のせいか、つい降りるべき駅を寝過ごしてしまった少年。目が覚めて降り立ったのは、数駅先にある知らない駅のホームだった。

引き返そうにも次の列車まで時間が空いてしまった高校生は、ふとホーム端に見慣れぬものを見つける。それは小さいながらも鳥居を構えた神社で、鳥居の前にはおみくじも設置されていた。

ホーム上にある神社という珍しさも手伝い、おみくじを引くことにした高校生。その時、どこからともなく「黄色を引いて」という声が聞こえた。

近くには自分以外誰もおらず、しかもおみくじの箱の中には白・青・赤の三色しかない。が、よく見ると一つだけ黄色のおみくじが紛れているのに気付き、不思議な声の通りに引くと中身は大吉。

「聞こえた通り黄色を引いてよかった」とほくほくした少年は後日、落ち着いた気持ちで受験に臨むことができたという。

たまたま寝過ごし、偶然降りた駅で何気なく引いたおみくじが心の後押しになったという、なんともラッキーな体験。少年は「優しい神は結構そこら中にいるのかもな」と振り返るのだった。

■「なんらかのモノからのお節介さ」“人間関係”をテーマに選んだ収録作
まさに受験シーズンの今、なんともあたたかい気持ちになれる体験談。読者からも「ちょっと横に神様はいるのかもとほっこり」「寝過ごしたのも、神様に呼ばれていたからかも」と共感が集まったエピソードだ。

今回紹介したエピソードのように、優しい体験談からぞっとする不気味な出来事まで、さまざまな「不思議な話」を描く同シリーズ。2月7日、同シリーズの書籍化第2弾となる『#人から聞いた不思議な話を漫画にしてみた』が刊行され、これまで公開された作品の中から31編と描き下ろし2編を加えた全33編が収録されている。

同日には同じく朝日新聞出版より、「HONKOWA」連載の『七海さんのオバケ生活』のコミックス第1巻(語り・加門七海 / 作画・みつつぐ)も発売された。こちらは怪談・エッセイ作家の加門七海先生の日常をみつつぐさんが作画する形式の作品で、お盆やオークションで購入した古書など、加門さんの生活の端々で体験した“日常の怪談”を、みつつぐさんならではのタッチや雰囲気で描いている。

二冊同時刊行を迎えたみつつぐさんに、今回のエピソードや書籍について話を訊いた。

――「人から聞いた不思議な話を漫画にしてみた 74」は、受験シーズンを前に縁起のいい不思議な話です。同エピソードを描いたきっかけを教えてください。

「時期的に受験のシーズンでしたのでそういえばこんな話があったなと思い出しまして描かせていただきました」

――2020年から描かれている「人から聞いた不思議な話」ですが、シリーズがはじまったきっかけを教えてください。

「最初、不思議な話はコミティア(COMITIA、オリジナル作品に限定した即売会)で一冊まとめた本を出そうかと思っていました。そのコミティア前に、ぶんか社さんの方で実体験の怖い話の漫画を描かせていただいたのですがその際、案として『人から聞いた話』を何個か提出したんです。その時は当時の担当さんから『実体験のみに絞って欲しい』と要望を受けて弾かれました。

そこで、『実体験』と『人づての話』で自分の漫画のジャンルがごちゃ混ぜになっているのをこの機に区分するのもいいかもしれない、と『人から聞いた話』のまとめを作ろうと思っていました」

――そこから、Twitterを中心にシリーズとして発表し続けているんですね。

「参加予定だったそのコミティアはコロナ禍で中止になってしまい、収録するはずの作品をTwitterの方で公開し始めたのが漫画が続いたきっかけです。意図せず目に飛び込んでくるSNSという特性上、Twitterで漫画を公開するにあたっては、怖いものが苦手な読者も多いことも踏まえて『怖い話』ではなく『不思議な話』を中心に描くようにしています」

――このたび『#人から聞いた不思議な話』が書籍として刊行されました。どんなエピソードが収録されているのでしょうか?

今回朝日新聞出版さんから出版していただく本は、KADOKAWAさんから出していただいた『いつもきみのそばに 動物たちが残した25個の不思議なメッセージ』の後続になります。前回の書籍には動物を中心とした話を収録しましたが、今回は“人間関係”を中心としています。表紙にもなっている『仏壇の判定』や、ハンコ制作に待ったをかけた『ハンコと婚活』などは、体験談を聞いた当時から感じた、『ついうっかり反応してしまった』みたいな、なんらかのモノからのお節介さが出ていていいなと思います」

――書籍には描き下ろし作品も収録されているそうですね。

「Twitterに公開する際は怖い話はあえて描かないようにしているのですが、描き下ろしはこの本までたどり着いた方なら“そういう世界”がお好きな方が見るだろうという期待を込めて、やや怖目のものを二本分描かせていただきました」

――また、2月7日にはHONKOWA連載の『七海さんのオバケ生活』第1巻も発売されました。本作への思いも教えてください。

「描き始めたきっかけは長くなりますが、簡潔に言えばオバケを知りたかったからです。

幽霊は自分も見たこともありますし話もたくさん聞きますが、『見た』という人の話を聞くと、脅してやろうとか聞き手の感情を揺さぶろうとするものではなく、あくまで淡々とした語り口のものが多いです。こちらが聞くまで見た対象が霊や他人から見て不思議なものであると言う認識も自覚もない方もおります。

存在だけなら科学的にも解説できるのでしょうが、存在に伴うエピソードには名状しがたいものがあります。幽霊と言うものに敬意の心は持っておりますが、『何故存在するのか』という俗っぽい好奇心から描かせていただいた作品です。『#人から聞いた不思議な話を漫画にしてみた』とともに、こちらも読んでいただければうれしいです」

取材協力:みつつぐ / 朝日新聞出版

キーワードからさがす

gooIDで新規登録・ログイン

ログインして問題を解くと自然保護ポイントが
たまって環境に貢献できます。

掲載情報の著作権は提供元企業等に帰属します。
Copyright (c) 2025 KADOKAWA. All Rights Reserved.