ヤマイモなどの蔓(つる)に生まれる「むかご」は、今の時期山の幸として楽しみたい食材です。ヤマイモの「むかご」は、「ヤマイモの赤ちゃん」と呼んでもいいかもしれません。
皮ごと食べることができ、その栄養価も抜群です。蒸してほんのすこし塩をするだけでも十分美味しい「むかご」ですが、今回は「かて飯」で活用します。
「かて飯」とは、雑穀や野菜など季節の食材を混ぜ込んだごはんの総称で、かつてはごはんのかさ増しの意図もありましたが、いも飯やあずき飯、大根飯など、地域ならではの「かて飯」として親しまれてきました。
日々の食材でちょこちょこと残ってしまう食材や野菜の切れ端などは、みそ汁の具材にすることも多いですが、そういった食材をあますことなく一挙に受け止めてくれるのも「かて飯」ならではです。とても簡単な「むかごのかて飯」、早速作り方のご紹介です。
1. 鍋に米(2.5合)を入れ、研ぐ。
2. むかご(100g)を洗う。
3. 鍋に米、水(540cc)、3.のむかご、塩と淡口醤油を少々入れ、蓋をして強火、沸騰したら中火、中の水分がほぼなくなり、米の表面が見えてきたら弱火にする。
4. ちりちりかりかりと乾いた音と、蓋の隙間から湯気が出はじめたら、再び強火10秒、火を消して10分蒸らす。
5. むかごをつぶさないようにごはんをしゃもじで切るように混ぜ、茶碗に盛り付け、お好みで黒ごまを散らしたら出来上がり!
「むかご」のシンプルな旨みは塩味をすこしそえることで引き立ちますので、すこしの塩と淡口醤油を忘れずに入れてください。口中に広がるやさしい「むかご」のあまみは格別です。
今回は季節の「むかご」を使いましたが、このほか今の時期でしたら里芋やごぼう、れんこんなども美味しい「かて飯」の具材になりますね。ぜひお試しください。
●奥田 ここ
料理研究家。外資系コンサルティング会社に勤めるかたわら懐石料理を学び、2007年に近茶流講師の許状を取得。
またイタリア滞在中に、素材を活かしたシンプルな家庭料理の素晴らしさも学ぶ。かつての築地市場や現在の豊洲市場をはじめ、世界各地の市場を師と仰ぎ、旬の食材を中心にした「和食」及び「イタリア家庭料理」の料理教室を主宰するほか、国内外での出張教室や外国人向け料理教室なども要望に応じて開催。
また、各種媒体・広告へのレシピ提供や国内外での出張料理、食材産地での取材、食に関する企画・執筆にも取り組む。素材の味を大切にし、無駄なく使いきる献立作りを心掛けている。
趣味は世界各地の市場巡り・茶道(裏千家専任講師)・サッカー・相撲・写真。
好きなものはシャンパンと着物、好きな言葉は馳走。
https://kokookuda.com/
出典:わぉ!わぉ!生物多様性プロジェクト Facebookコラム
(2019年11月23日)
https://www.facebook.com/wow.wow.biodiversity.project/
※「わぉ!わぉ!生物多様性プロジェクト」は、公益財団法人日本自然保護協会とソニー株式会社が協働で実施しているプロジェクトです。
「わぉ!」という自然のおもしろさや不思議に触れたときの感動を多くの人に伝え、みんなで共有することで、自然を好きになってもらい、生物多様性の保全につなげていきます。