秋の実りのなかで、新米が一番うれしいかもしれません。米の収穫と日本との関わりは、宮中行事の五穀豊穣を祝う新嘗祭などからも伺えるように、長きに渡りその関係は深く、日本人にとってなくてはならないもので、一粒残さず美味しくいただきたい大地の恵みの筆頭格と思います。
この秋は、時間も短く美味しく炊ける「直火炊飯」にトライするのはいかがでしょうか。炊き方はとても簡単、早速ご紹介いたします。
1. 米を研ぐ
鍋に米(2.5合)を入れ、水を注ぎ、手早くザルにあげ、再び鍋に米を戻し手の掌(手のひらの手首に近いふくらみの部分)を使ってやさしく20〜30回リズムよく研ぎ、すすいでザルにあげる。
これを3〜4セット繰り返し、鍋に米と水を入れた時に水が濁らなければ完了。
(ポイント)
- 米は水に触れるとすぐに吸水を始めるため、最初に水を注いだら手早くザルにあげること。
- 研ぐときに力を入れすぎると米が欠けてしまうのでやさしくこねるような感覚で研ぐこと。
2. 鍋に米と水(540cc弱)を入れ、蓋をして強火、沸騰したら中火、中の水分がほぼなくなり、米の表面が見えてきたら弱火にする(直火炊飯時の水の量は通常米の体積の1.2倍ですが、新米のときは気持ち少なめにして炊く)。
3. チリチリカリカリと乾いた音と、蓋の隙間から湯気が出はじめたら、再び強火10秒、火を消して10分蒸らす。
(ポイント)
- 鍋の中の様子を見る際は、鍋の中の水分が逃げないよう遠慮がちにのぞく。
- 最後の強火10秒後から蒸らしが終わるまでは蓋は開けない。
4. ごはんをしゃもじで切るように混ぜ、茶碗に盛り付けたら出来あがり!
粘り気、香り、硬さなど米にも個性があり、好みの米を選んでいただくのも楽しいですね。農薬や化学肥料を減らして作られた「環境保全米」や田んぼの生きものを守ることにつながる「生きものブランド米」などもあるようで、食べることを通じて自然や環境へ貢献することもできるのはうれしいところです。
実るほどこうべを垂れる稲穂かな(詠人不明)
みずみずしい炊きたての新米ごはんは、まずはそのまま頬張り、次に海苔や梅干し、漬物など、塩味のあるごはんのお供を少し添えることでごはんの旨みがぐんと引き立ちさらに美味しくいただけます。ぜひお試しください。
●奥田 ここ
料理研究家。外資系コンサルティング会社に勤めるかたわら懐石料理を学び、2007年に近茶流講師の許状を取得。
またイタリア滞在中に、素材を活かしたシンプルな家庭料理の素晴らしさも学ぶ。かつての築地市場や現在の豊洲市場をはじめ、世界各地の市場を師と仰ぎ、旬の食材を中心にした「和食」及び「イタリア家庭料理」の料理教室を主宰するほか、国内外での出張教室や外国人向け料理教室なども要望に応じて開催。
また、各種媒体・広告へのレシピ提供や国内外での出張料理、食材産地での取材、食に関する企画・執筆にも取り組む。素材の味を大切にし、無駄なく使いきる献立作りを心掛けている。
趣味は世界各地の市場巡り・茶道(裏千家専任講師)・サッカー・相撲・写真。
好きなものはシャンパンと着物、好きな言葉は馳走。
https://kokookuda.com/
出典:わぉ!わぉ!生物多様性プロジェクト Facebookコラム
(2019年10月18日)
https://www.facebook.com/wow.wow.biodiversity.project/
※「わぉ!わぉ!生物多様性プロジェクト」は、公益財団法人日本自然保護協会とソニー株式会社が協働で実施しているプロジェクトです。
「わぉ!」という自然のおもしろさや不思議に触れたときの感動を多くの人に伝え、みんなで共有することで、自然を好きになってもらい、生物多様性の保全につなげていきます。