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「第9回日本橋くされ市」が5月25日、日本橋大伝馬町の恵比寿通りで開催された。主催は、べったら市地域振興会(中央区大伝馬町)。(日本橋経済新聞)
大伝馬町が舞台の大河ドラマ「べらぼう」にちなんだ浮世絵グッズも販売(日本橋経済新聞)
「くされ市」は、がらくたや河岸(かし)の残り物を売買する市という意味で、「べったら市」の前身として江戸中期から同エリアで開かれていた。10月20日の「えびす講」(商家で恵比須をまつり、親類・知人を招いて祝う行事)に供えるため、前日の19日に市が立ち魚や野菜、神棚などが売られるようになった10月の「べったら市」に対し、春の地域イベントとして2014(平成26)年に同振興会が地元住民と新規住民の交流の場として復活させた。
大伝馬町恵比寿通りは、江戸時代に城と下町をつなぐ常盤橋御門から日光、奥州街道につながる交通の要所。木綿問屋や浮世絵版元、呉服店などの老舗が軒を連ね、江戸一番のメインストリートとして繁栄していた。
現在はオフィス中心の街で休日の人通りも少ないが、マンション開発も盛んで、近年は、子育て世代や近隣で働くサラリーマンなど新規住民が増加。同市には毎年、地元企業や新旧住民が出店し、今回も同通りの一部を封鎖した「ブロックマーケット」として開催した。
洋食店「レストラン桂」(室町2)や、鉄道居酒屋「キハ」(日本橋堀留町)、「食の會日本橋」(日本橋室町1)などの飲食店のほか、「ぺんてる」(日本橋小網町7)や「みうらじろうギャラリー」(日本橋大伝馬町2)など地元22団体が出店した。
「みうらじろうギャラリー」では、大河ドラマ「べらぼう」に連動して蔦屋重三郎関連グッズを販売。かつて重三郎が日本橋大伝馬町に店を出していた版元「耕書堂」にちなんだ巾着や小物入れ、浮世絵入りTシャツなどを販売し、同Tシャツは運営スタッフのユニホームとしても採用されている。
曇天の過ごしやすい気候の中、会場は近隣の家族連れなど多くの見物客でにぎわった。閉会間際には地元の音楽バンド「ザ・縄文ズ」が地元応援ソング「OH!伝馬町」を披露し、出展者や買い物客が拍子を取りながら耳を傾けていた。
出展者の1人で「レストラン桂」オーナーシェフの手塚清照さんは「今年は小型フライヤーを持参して、揚げたてのメンチカツを楽しんでいただいた。天気予報では午前中の降水確率は80%という最悪の予想だったが、運営メンバーの中に晴れ男がいるのか、雨に降られることもなく、多くのお客さまに特別メニューを提供することができた」と笑顔を見せる。
同振興会会長の岩崎伸一郎さんは「この大伝馬町には、昔からなりわいを続ける老舗、子育てファミリー層を中心とした新規住民、創作活動に挑戦するクリエーターやベンチャー企業の3タイプのプレーヤーがいる。3者がそれぞれの持てる力を持ち寄って、大伝馬町らしい『場』ができている。秋の『べったら市』もいいが、出展者や来場客の顔が見える『くされ市』もちょうど良い規模感。3者の交流の場を大切に育ていきたい」と話す。