障害者が制作した雑貨を販売する吉祥寺の雑貨店「マジェルカ」が閉店

  • 2025年4月30日
  • みんなの経済新聞ネットワーク

 障害者が制作した雑貨やアート作品のみを扱う吉祥寺・中道通りのセレクトショップ「マジェルカ」(武蔵野市吉祥寺本町3)が4月30日、地下1階での営業を終了した。(吉祥寺経済新聞)

 地下1階に障害者が制作した雑貨やアート作品が並ぶマジェルカの店内

 2011(平成23)年9月、西荻窪で開業。2014(平成26)年7月、吉祥寺に移転オープンした同店。コロナ禍での売り上げ激減を乗り越え、2022年に路面から地下1階にショップを移し、1階を「シェアスペースマジェルカ」として貸し出すなどして、てこ入れをしながら営業を続けてきたが、さらなる売り上げ減少で経営難に陥り、力尽きた。

 店主の藤本光浩さんは「たくさんの人が訪れる街、吉祥寺にリアル店舗を持つことは、偶然店に立ち寄った人に、障害者が手仕事で作り出す雑貨やアートを直接、目で見て、手に取れる場所を提供するという価値があった」と話す。

 藤本さんはマジェルカ立ち上げ当初から、福祉施設で作られた製品を適正に評価した価格で流通させるため、「Welfare trade(ウェルフェア・トレード)」(「ウェルフェア(福祉)」と「フェアトレード(公正な取引)」を合わせた造語)で販売してきた。

 「障害者支援を前面に出すだけでなく、障害者が作る製品の価値を正しく伝えるのに見合った売り方を実践する場として、ウェルフェア・トレードに初めて触れる体験ができるリアル店舗を持ち続けたかった」とも。

 閉店後も「マジェルカ」の名前は残し、2020年10月に設立した一般社団法人「マジェルカ」を通じて研修などの非営利活動を行うという。雑貨を扱うオンラインショップはいったんクローズし、2024年4月に立ち上げた障害のアート作品を紹介する「マジェルカアート」で扱う絵などの販売を手がけるオンラインショップと統合してリニューアルオープンする。

 シェアスペースに入る「倉敷帆布東京吉祥寺店」(岡山県倉敷市)はマジェルカ閉店後も11時~18時30分、営業を続ける。

 「店舗を持つ意味を問い続けた13年間だった」と藤本さんは振り返る。「マジェルカでウェルフェア・トレードを知ったお客さまが感動する姿や、作り手の障害者から直接届く声、障害者を持つ家族からの応援が支えになった。障害者が作る作品が放つパワーが集まったマジョルカという空間には力があると感じていた」とも。

 「この後どうするか具体的なアイデアは持っていないが、ウェルフェア・トレードについてnoteやSNSなどで発信しながら、マジェルカとしての活動を続ける中で関わる人たちとできることを探していきたい」と前を向く。

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