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(NY)vol.5 CO2ゼロ、再生可能エタノール燃料

  • 2006年8月1日

低価格なフレックス車種、ハイブリッド車をしのげるか…

 米自動車メーカーはエタノールの普及に積極的だ。現在、米国内には約5百万台のエタノール対応車が出回っている。これは全自動車数の約2%。全米自動車協会ではこれを2010年までに5%までに引き上げたいと考えている。自動車産業がエタノールに積極的なのは、エタノール車の燃費上昇が、政府が進めている環境政策と一致するためで、それにより免税援助が受けられるためだ。一方でエタノール普及に非協力な石油産業の肩を持ち、一方では自動車に免税をする米政府の矛盾した政策も見えてくる。 米自動車メジャーでエタノール対応車の種類はトラックなども含め10種ほど。米国車のハイブリッド2種に比べ、その数は多い。理由はそのプロダクションコストだ。既存の車種をエタノール対応車にするには、ほんの僅かなコストだが、ハイブリッドは4000ドル程度のコスト高となる事情もある。当然店頭価格も上がる事になる。何より、ハイブリッド車種開発では日本に遅れをとっているのも要因と言える。

森を見る政策の必要性

E85のロゴマーク
エタノール85%を示すE85のロゴマーク

 自動車産業、中西部州のエタノール推進、さらに米国政府の環境、エネルギー政策。これらのパワーと、石油産業、中近東問題、OPECの価格変動など多くの要素が米国エタノールの将来にかかっている。経済や環境問題だけを考えれば、ガソリンに比べ価格が安く供給が安定、CO2排出のないエタノール燃料の方に軍配が上がる。経済的効果や環境的に良いだけでは、政策が進まない事は京都議定書(Kyoto Protocol) でも経験済みだ。政策を推進、成功させるにはネガティブな面も飲み込み、木を見ずに森を見る大きな政策の推進力が必要だ。

 日本の規制では、エタノールの配合が5%のE5が認可されている。ブラジルでは100%エタノールE100も認可され、トヨタではブラジル輸出向けとして、エタノール100の車種を発売すると発表している。(http://www.toyota.co.jp/jp/news/06/Jun/nt06_027.html)米国ではE85がスタンダードとなっている。石油消費では米国に続き世界で2番目、しかも石油を100%近く輸入に頼っている日本ではエタノール比率を100%までに高め、企業が競争してその開発に努める政策が必要だ。エタノールは砂糖キビやコーンでなくともその原料になる。日本に栽培される米や麦からもエタノール生産は可能だ。最近の研究では、枯れ草、稲わら、都市ごみ、建築廃材などのセルロース系廃棄物資源からもをエタノールの生産が可能だという。頭を抑える政策より、天井を取り除き自由に競争できる環境をつくる事が政府の仕事であり政策でありたい。


Paul Yamaguchi

■ 筆者紹介
Paul Yamaguchi
東海岸ニューヨークからはトレンド情報誌の先がけとなった「PRONTO」や「USフードジャーナル」の編集長を務め、現在は健康食品ビジネスコンサルタント会社を運営し、英文の日本の健康食品市場レポートを発刊しているポール山口さんがレポートします。

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