サイト内
ウェブ

(NY)vol.4 クリーンでグリーンでトールなマンハッタン造り
セントラルパークだけではないNYのグリーン

  • 2006年5月1日

スカイスクレーパ博物館

 NYタイムス紙にこのグリーンNYの記事が掲載され、ダウンタウンのスカイスクレーパーミュージアム(www.skyscraper.org/home_flash.htm)(本当にこの様な博物館があるのです)でグリーンビルに関する展示会が開かれているとの事で、早速出かけてみた。

Freedom Tower 完成模型
Freedom Tower 完成模型
photo: courtesy of wirednewyork.com

 聞いた事もないミュージアムなので一応、出かける前にサイトで確認して出かけたけれど、さっぱりそれらしい場所は見つからない。そのミュージアムがあると思われる地域は人もまばら。場所を尋ねる人もみつからない。10分程周囲を探しまわっているうちに、地域の警備員を見つけ聞いてみると、そこから僅か1ブロック程はなれた場所にあるという。

 それは、ミュージアムというよりも、オフィスビルの様で、外部のサインも小さく見過ごしてしまう程の大きさ。入口のガラスドアーを押して中に入ると、受付らしきものがあるが、人が見あたらない。うーん、ここは、勝手に入って見てもいい博物館なのかなどと思案していると、どこからともなく30がらみの女性が現れ、ぶっきらぼうに5ドルという。その5ドルが入館料を意味していると直感し、女性に5ドルを手渡すと領収書のプリントアウトを手渡し、彼女は自分の仕事はこれでおしまいね、と再び姿を消してしまう。

 普通なら、料金を払うと、博物館の案内書の様な印刷物をくれ、よくいらっしゃいました的な挨拶があっても不思議ではないのだけれど。ここでは、まったくそんな気配はない。どちらかというと、何しにきたの。見るのなら5ドル払って勝手に見ていって、という態度である。仕方なく矢印の案内に沿って歩いていくと、展示会場らしき部屋にたどり着く。

 新聞に記事が掲載されていたので、さぞかし混雑しているかと思ったが、会場内は静かでガラーンとしてる。会場内には他に建築家志望の学生らしきカップルが一組スケッチブックを片手にパネルを読んでいるだけと寂しい。会場には新聞に紹介されたグリーンビルの模型と説明パネルと共にグラウンドゼロに建設されるフリーダムタワーの完成模型が展示されている。建設がやっと始まったフリーダムタワーもグリーン環境対応ビルとしてLEEDのランクに記されていると説明があった。さらに足を進めると、NYで建設予定されている幾つかのグリーンビルの模型が展示され、環境対応への説明ビデオが壊れたレコードのごとく同じ場面を数分毎にリピートしていた。20分ほど館内で過ごし外に出てみると、その場所はグランドゼロとは目と鼻の距離であることに気付く。

 

完成間近いハーストマガジンタワー

Hearst Magazine Tower
トライアングルが基調なHearst Magazine Tower
photo: courtesy of wirednewyork.com

 さて、LEEDのランク付けにNYのグリーンビルとしてランクされているもうひとつのビルが、大手メデイア、ハースト社が西57丁目に建設しているハーストマガジンタワーがある。このタワーは1928年に建てられた同社の古い建物を一部残しその上に建設しているもの。タワーは三角を基調とした外装で、これにより鉄骨の使用量を従来の工法に比べ20パーセント約2000トン削減している。使われている材料の85パーセントがリサイクルで生まれ返ったもの。このビルでも屋上で雨水を集め地下の貯水タンクに貯め、空調やトイレの排水としてリサイクル。さらに雨水は3階の高さからロビーに流れ落ちるアイスフォールと名付けられた滝などに利用し、ビル内の乾燥緩和に役立てるという。ファッサードのガラスは光を最大限に吸収し室内の電力消費を削減、熱は反射し室内の温度を一定に保っている。オフィス内で使われるコンピューターやデスク照明にはセンサーが設備されており、人が席を離れるとセンサーが感知し電源を落とし、席に戻ると再び電源が戻る装置も配備、電力消費を削減している。ハースト社によると、ビル内で働く2000人の人々は、NYで最もきれいな空気を吸うことになると同ビルの空気洗浄設備を自慢する。

 サステイナルブルデザインと呼ばれるグリーンビルの建築コストは従来の建築費に比べ20%ほど高価になるが、建築後のビルの維持費やビル内で働く人々の健康管理を考慮に入れればよい投資であるとハースト社の広報はいう。

 

まだまだ増えるNYのグリーン

 現在NY市にはこの他に13のクリーングリーンビル建設計画があるという。NY市のグリーンといえばセントラルパークという時代からNYのグリーンは高層ビルという時代になるのではないかと思うのはちょっと気が早いかもしれない。


Paul Yamaguchi

■ 筆者紹介
Paul Yamaguchi
東海岸ニューヨークからはトレンド情報誌の先がけとなった「PRONTO」や「USフードジャーナル」の編集長を務め、現在は健康食品ビジネスコンサルタント会社を運営し、英文の日本の健康食品市場レポートを発刊しているポール山口さんがレポートします。

キーワードからさがす

gooIDで新規登録・ログイン

ログインして問題を解くと自然保護ポイントが
たまって環境に貢献できます。