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(Boulder)Vol.20 ボールダー文化を支えるコーヒーショップ

  • 2013年12月27日

コーヒーショップ  “LOHAS”という言葉やライフスタイルが1990年代後半頃から提唱され、アメリカ、コロラド州ボールダー市が“LOHAS発祥の地”“LOHASの聖地”と言われてきました。ボールダーには、確かにロハスに関連した企業が多く存在するからですが、他にもいくつかの理由があります。
 その中でも、今回はロハス的ライフスタイルと関連の深いボールダー文化、特に現在のボールダーの人々のライフスタイルと切っても切り離すことのできない、コーヒーショップ文化に関してお伝えしたいと思います。ここでは、“コーヒーショップ”という言い方をしていますが、コーヒーだけを出しているお店というわけでなく、いわゆる喫茶店やカフェのことを指しています。


コーヒーショップ文化?・・・

 日本でもアメリカから進出して来たコーヒーショップの“シアトルズ・ベストコーヒー”や“スターバックス・コーヒー”は有名で、ご存知の方も多いと思います。どちらの会社もワシントン州のシアトルを起点に始まりました。ですからシアトルには大きなコーヒーショップ文化が存在するだろうと思われている方が多いかもしれませんが、ボールダーにも存在します。そしてそのコーヒーショップ文化は、現在に始まったことではなく、第二次世界大戦後辺りから続いてきた歴史的背景があります。

 アメリカ文学史上の1950年代後半から60年代後半の文壇を“ビート世代、ビートジェネレーション”と呼び、そのビート世代で活躍した詩人や小説家はビートニックスと呼ばれています。元々このビートニックスたちは、ニューヨークをベースに執筆活動や社会活動をしていた文壇で、どちらかと言うと、体制的なメインストリームに対抗した価値観や人生観を持っていました。その対抗的な、カウンター・カルチャー的な思想がビートニックスたちの作品の真髄あります。今で言うアンダーグランド的な文壇だったかと思われます。その中でも特に有名なのは、詩人アレン・ギンズバークや、作家のジャック・ケルアック、ウィリアム・バロウズではないでしょうか。そのビートニックスの代表格のギンズバーグとケルアックがデンバー、ボールダー界隈に住んでいた時期があり、ボールダーの町もその影響を受けていました。


 当時、デンバーやボールダーのコーヒーショップは、このビートニックスたちのたまり場でもありました。ビートニックスの文人をはじめ、それを目指す若者たちがコーヒーショップで議論を繰り広げていたと言われています。その新鋭の文壇たちの影響を受け、コーヒーショップが新しい文化の発信点になっていたと言っても過言ではないでしょう。
 そして、その当時の想いを受け継いで、ボールダーのコーヒーショップは、現在でもボールダー文化の発信点になっています。チェスやバックギャモン、カードゲームをコーヒーや紅茶を飲みながら楽しむ客を目にすることは多々あるかと思いますが、ボールダーではさらに囲碁などのアジアのゲームを楽しむ白人のアメリカ人も多いです。また、コーヒーショップでは毎日のように詩の朗読会が行われたり、ライブミュージックの演奏が行われています。
 詩の朗読は、社会活動家的な内容のものから文学的なものまでバラエティーに富んだ内容です。ライブミュージックは、地元のアマチュアや学生だけでなく、プロのミュージシャンまでが、格安で夜にライブを開くことがあります。そのような夜は、コーヒーショップがライブハウス化して、お店の中にお客様が入りきれないくらいになる時もあります。その他、オープン・マイク、Open Micの日というのもあり、それは地元の方が飛び入りでご自分の音楽やコメディー、芸を披露するのを言うのですが、このオープン・マイクが毎週のように行われているお店もあります。また他のコーヒーショップの一角では、チェアーマッサージのコーナーや占いのコーナーがある店もあります。
 コーヒーショップの壁がギャラリーとなっているお店も多く、ローカルのアーティストが撮った写真やペインティングがギャラリーのように飾られており、気に入ったら、その場で購入することが可能です。アーティストは、お店のオーナーと交渉して自分のアートを飾ってもらうのです。このようなコーヒーショップに行くと、数週間に1回の割合で新しいアートが飾ってあるので、アート好きにはたまらないかと思います。ライブミュージックにしてもアートにしても、コーヒーショップが主体となって地元のアーティストをサポートし、地元のビジネスの活性化をコーヒーショップが率先して行っているのです。


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