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(Boulder)vol.12 アメリカ「食」のオーガニックは守れるか

  • 2009年12月24日

抗議集会の様子
抗議集会の様子(by Dailycamera.com)
 2009年7月ボールダー市内である抗議活動が行われ、道行く車からは活動を支持する意味合いのクラクションが鳴り続いていた。ボールダー郡公有地内で、ラウンドアップレディという遺伝子組み換え種を使ったシュガービート(砂糖大根)栽培を許可しようとする行政の動きへ異を唱える団体の抗議集会である。抗議団体の中に雑誌『LOHASジャーナル』共同創始者であり、米LOHASフォーラムの元ディレクター、そしてThe Organic Center現マネージングディレクターであるスティーブ・ホフマン氏の姿があった。スティーブは20年以上アメリカのオーガニック食品界をリードし続けてきた人物だ。
 先日、そのスティーブの自宅でThe Organic Centerのデベロップメントディレクターであるセリーン・デヤルスさんを交え、 様々なアメリカの「食」の問題について、そして彼らの新たな試みであるBoulders Best Organicsという団体について話を聞く機会を持った。セリーンはレーガン政権下のホワイトハウスでオーガニック産業を擁護する政策に携わった実績と長年にわたる従来食品とオーガニック食品の間の論争に取り組んできた経験を持つ。

オーガニックの起源

 「アメリカ合衆国農務省(USDA)の農業指針の中で輪作などの基本的な有機栽培農法が推奨されだしたのは1930年代のことだ。第二次世界対戦前は全てがオーガニックだったから、従来食品とオーガニック食品という考え方もそれまでなかったんだ。」とスティーブは言う。
1940年代の化学肥料を宣伝する写真
1940年代の化学肥料を宣伝する写真(Wikipediaより)
 1940年代、 収穫量を増やすためDDTのような殺虫剤を含む化学肥料が登場した。この食料をいかに早く大量生産するかという方法論は「従来型」と呼ばれるようになり、その一方で「オーガニック」という言葉が化学肥料や殺虫剤の助けを借りずにより自然に食物を栽培する方法を表現するようになってきた。
 1962年にアメリカの生物学者レイチェル・カーソンによって発表された『沈黙の春』では、 DDTが発癌性物質を含む可能性や環境汚染物質としての危険性を取り上げられた。同書は今日の環境保護ムーブメントの原動力となったことでも功績を讃えられている。アメリカでは1972年にDDTの使用は禁止されたものの、その後も従来型食品業界の優越性は70年代、80年代、90年代と続く。
 様々な食の危険性が取り上げられるようになると一方では別な動きが起こってきた。「食に関する啓蒙活動が盛んになったのは80年代後半だが、90年代前半にチリ産ブドウに深刻な大腸菌汚染が見つかり騒ぎになった。この影響で農業シーンでの抗生物質の使用が認められ、次いで90年代中頃には遺伝子組み換え食品第一号となるフレーバーセーバートマトが登場することになるんだ」とスティーブは説明する。


遺伝子組み換え技術で作り出された「フレーバーセーバー」

 1994年、遺伝子組み換え技術により作り出されたフレーバーセーバー(Flavr Savr)という品種のトマトが連邦食品医薬品局(FDA)によってアメリカで初めて承認された。 遺伝子組み換え作物(Genetically modified organism、以下GMO)の登場である。このトマトは果実が熟するときに働く細胞壁の生成を押さえるための遺伝子操作がなされており腐りにくい。運搬中のダメージに耐えられ、日持ちを良くするという効果を狙ってカルゲン社によって製造販売された。その後アメリカの大手バイオ化学メーカー、モンサント社がカルゲン社を買収し、今日GMOや除草剤製品の世界的シェアを誇っている。同社は40年代のDDT、さらにはベトナム戦争下で枯葉剤を生産していた企業の一つである。
ラウンドアップ
世界シェアNO.1 のモンサント社の殺虫剤「ラウンドアップ」
 1995年、モンサント社は自社GMO製品第一号となる「ラウンドアップレディー大豆種」を開発した。この大豆は同社が販売する世界で最も売れている除草剤「ラウンドアップ」に耐性を有するように遺伝子操作された品種である。この品種の種を植えることによってファーマーたちは自分たちの育てる作物へのダメージを心配することなく畑へ農薬を散布し、雑草と害虫の駆除ができるようになった。
 従来食品の擁護者たちは「除草剤や殺虫剤、化成肥料、抗生物質、そしてGMOを使用することは生産高を向上させ、食料価格の高騰を防ぎ、世界的な食料不足へも貢献することになる」と主張する。アフリカで干ばつに耐性を持つGMOトウモロコシ種の栽培を試み食料問題に取り組んでいるビル&メリンダ・ゲイツ財団のような慈善基金団体はその活動のためにモンサント社経営陣を招聘している。アメリカ国内で進行中のこれらの取り組みを、 フランスや日本を含む先進諸国はしばらく静観しているというのが現在の構図である。



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