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(Boulder)vol.7 ボールダーの住宅事情と行政の取り組み

  • 2008年3月1日

 2008年1月の初め、ボールダー郡はある市民の自宅建築許可申請を却下した。現在敷地内に建っている962平方フィート(89平米)の古い住宅を取り壊し、新たに 19,441平方フィート(1806平米)の巨大住宅を建設したいという夢のような申請内容だったが、郡は「近隣住宅との調和が成り立たない」ということを主な理由として拒否したのである。一見曖昧な棄却理由であるが、郡の謂わんとすることは明白で、申請された住宅は単に「大きすぎ」たのである。

アメリカの住宅は50年前から比べて2倍以上のサイズに!

 アメリカの国勢調査によると、1950年代国内の平均的な住宅サイズは1,000平方フィート(92平米)程度だった。それが、2006年には2倍以上の2,237平方フィート(207平米)にまで増えている。米国内の住宅のサイズは明らかに大型化傾向にあると言える。

ボールダー郡で一番大きな住宅
ボールダー郡で一番大きな住宅
Photo: dailycamera.com
 コロラド州ボールダーではこの傾向が更に顕著である。近年特にロッキー山脈沿いに大型住宅が増え、2006年のボールダー郡内の平均住宅サイズは6,290平方フィート(584平米)と報告されている。これは余談だが、郡内最大の個人住宅はというと、なんと湖の湖畔150エーカー(60ヘクタール)の広大な敷地に 24,953平方フィート(2,318平米)の住戸面積を誇り、プールやバスケットコートを併せ持つものが存在する。日本の1住宅あたりの延べ面積平均が94.9平米(2005年日本国勢調査より)であるから、平均的な日本の住宅がすっぽり24戸入ってしまうスペースにたった1家族が暮らしている計算になる。

 巨大住宅建設を抑制し、建築に「グリーンビルディング」のコンセプトを組み込ませるため、ボールダー市は12年前より「Green Points」と呼ばれる環境に配慮した建築コードを実施している。また、ボールダー郡でも新しい建築コードである「BuildSmart」が批准された。両コードとも建築物の規模の制限、グリーンビルディング技術の採用、再利用と再生利用を奨励する内容になっている。


あなたの家は何ポイント?

この家は自然林の利用で冷房要らず
この家は自然林の利用で冷房要らず、5ポイントを獲得
Photo:Tim D'Antonio, www.dantoniophotography.com
 ボールダー市の「Green Points」プログラムは1996年に始まったアメリカ国内初の取り組みの一つである。このプログラムは住宅を建設するために必要な条件を点数(グリーンポイント)によって管理し、施主に「Environmentally Friendly Features」と呼ばれるメニューを提示し、効果によって様々に点数分けされている取り組み項目を選択させている。例えば、1,501〜3,000平方フィート(139〜278平米)までの住宅を建てる場合、施主は少なくとも20点のグリーンポイントを獲得する必要がある。リサイクル材を使って屋根を設置すれば3点、絶縁性の高い窓を導入すれば5点、というように多様な項目が設けられている。住宅の規模が大きくなればなるほど要求される獲得ポイントも多くなる仕組みだ。

 初期の「Green Points」プログラムの強制度は低く、個人の良識に頼るところが大きかったが、その後試行錯誤を繰り返し、今年2月1日には新たな「Green Points」プログラムが始動した。新「Green Points」プログラムでは建築確認テストの項目が強化され、住宅の密封性にも強く言及している。空気の流れに対して効果的な耐性を持っている住宅かどうかを動力の高い扇風機によってテストし、数値化し、確認する作業などが盛り込まれたのである。

ドアの密封性のテスト風景
ドアの密封性のテスト風景
Photo:Larry Kinney
 新プログラムの中には、解体作業時に出る廃材の65%以上を再利用もしくは再生利用に役立てなければならないという項目も追加された。この項目は従来の重機による一斉解体作業を抑制し、代わりに多くの人夫を雇うことで実現する手作業による解体と資材の再利用・再生利用を促進するだろう。また、施主が住宅内の照明の半数以上にコンパクト・フロルセントライトボルブ(Compact-Fluorescent light Bulbs、略CFLs 詳細はこちら) を備え付けることを義務付けた項目も盛り込まれた。


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