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(Boulder)vol.2 日本のオーガニック市場の低迷に比べ、アメリカのオーガニック市場は活発化している。

  • 2006年7月1日

米国コロラド州オーガニック事情

 アメリカではLOHAS志向者の関心はまず食の安全・安心に集まり、此処10年間オーガニック農産物は毎年20%ずつ市場拡大があり、3〜4倍の規模に拡大した。食材を育てる有機農場の存在がより一層大きなものになっている。

 コロラド州デンバー(州都)から北に車で約2時間ほど走ると、ワイオミング州境に近い位置にウエリントンという農業町がある。そこにグラント・ファミリー・ファームがある。グラント農場は有機農業では全米で3本の指に入る規模と言われているが、近年の有機野菜に対する需要の急激な増加に伴い全米の多くの農家が将来性を考え、有機ものの栽培に転換を進めている。

有機ブロッコリー
有機ブロッコリー。
遠方に散水機のパイプが見える。

 しかしながら、有機栽培をしたいから来季からすぐにできる訳ではない。長年に渡り化学肥料や殺虫剤で汚染された土壌は、人間が望む速さでは健康なものに回復はしないからである。有機の言葉を商品に使うには有機基準に従う必要があるが、そのレベルまでに土壌を戻すには数年の歳月が必要となる。また、隣接の他農家が化学薬品を使っている場合は、完全な有機に戻せない可能性もあるので相互理解、相互協力を元に進める必要性がある。

 近年、米国政府でも基準化を進めている動物の「オーガニック」スタンダードよりも早く野菜は法律的な基準化がなされているため、それらの条件にあったもののみがUSDA(米国農務省)認定のロゴを商品表示として使うことができる。そして、この偽表示に対する罰則は法で厳しく処罰することにより、生産者、卸業者、小売業者が消費者との間に信頼関係を築き、市場の拡大に奇与してきた。

 

野菜栽培スケジュール

有機玉ねぎの収穫
有機玉ねぎの収穫風景

 ローテーション(輪作):各畑の野菜栽培スケジュールには、順番に植えられる野菜の種類にも配慮が配られ相性の合うものが次々と育てられる。また休耕畑を組み込むことによって、土が枯れることがない。次から次へと収穫だけを考えて野菜を植えてしまうと土が痩せてしまうのである。

 

 除虫:それぞれの野菜につく害虫の天敵を畑に放つことでコントロールする場合と、それら害虫がもっと好む植物を畑の周りに意図的に植えることによって、作物への被害を最小限にする方法がある。

 除草:これは人的パワーで行われる。有機栽培における生産者の費用の大きな割合を占めるのが除草作業になると言われる。列に植えられた野菜の列の間に生えた雑草はトラクターなどに除草器具を付けて抜き取ることができるが、栽培列上の一つ一つの野菜間に生えた雑草は手作業による除草に頼らざる負えない。

畑

 土の管理:有機農業にとって最も重要な栽培管理の中心。野菜の栽培において栄養として土壌から吸い取られる窒素を次の栽培前に戻さなければいけない。休耕畑地域を作り、そこにグラウンドカバーと呼ばれる植物(日本では田に蓮華を植えたようなもので、空気中から吸収した窒素を根に蓄える習性がある)を植え、それらが花を咲かせる頃にそのまま耕して土に戻す方法をとっている。土の管理とローテーションのみで土が肥えた状態を保てるが、肥料補充が必要になる場合がある。その際は有機またはナチュラル家畜のマニュアー(糞を発酵させたもの)を肥やしとして土壌に混ぜることもある。

 太陽の恵み、雨の有り難さ、土に生きる良きバクテリアたち、人為的な化学製品なしでも育つ自然の植物に対する感謝と認識は大切にしたい。化学肥料や殺虫剤というものが、食材に混入したまま食べられるという認識を「有機化」するには、時間がかかろうとも自然なものを摂取し生まれながらに誰もが持っている自然治癒能力を高めながら確信を持ち、そして確実なものにしていくのが一番なのである。私たち人間も同じ自然の中に存在させてもらっている一つの生き物であるという認識を忘れてはならない。

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