Vol.19　さまざまな「出会い」から行き着いたロハスな暮らし
LOHASコンシェルジェ　加藤明江さん

人生の転機

電力と暖房等の全てをソーラーパワーによって賄われているボールダーのソーラー・ハウス 　「公私共に充実していた3年前、母が病に倒れました。胃がんでした。一度は手術して抗がん剤治療で元気を取り戻しましたが、がんは進行する一方で、1年間の闘病の末、2年前に亡くなりました。それまでほとんど寝込んだこともない元気な母だったので、健康診断をおざなりにしていたんです。調子が悪くなって検査に行ったときにはすでに手遅れでした。日に日に衰弱していく母と、介護と母を失うかもしれないストレスで乾癬（かんせん）を煩った父。両親の姿を見続けてきて『同じように苦しむ人に私が出来ることはないか？そもそも病に倒れない老後をサポートしたい』と漠然と考えるようになりました」

　その頃、NPOローハスクラブの存在を知り、ロハスについて詳しく学びたいと思い、受講を決めた加藤さん。さらに「海外研修はコロラド州ボールダーやデンバーのグリーンビルディングやステイプルトン(再開発地域)などを見たり、権威の方や生活者からお話を聞くことが出来るというもの。建築設計会社に勤めていた私には非常に参考になりました」
　特に太陽光発電パネルによるグリーンエネルギーは、昨年新サービスとして導入するためにメーカーとタイアップして既顧客に説明会を行うなど、仕事にも役立ったそうです。そして昨年11月に退職し、自分の人生を再構築する道を選んだのです。

未来に向けて

KAKAAKO PARK の風景

YOGA HAWAII の先生とクラスメイト 　「ヨガに心を救われた経験から、ヨガをベースにした仕事をしたい」そういう思いから加藤さんは、ハワイでの全米ヨガアライアンスのティーチャートレーニングを受講。そして体のこと、病気のことを知るために生活習慣病予防士の勉強を開始しました。
　「ハワイでの生活は本当に素晴らしいものでした。今回参加したのはヨガハワイというワイキキから車で15分くらいのカイムキにあるスタジオで、12人の日本人クラスメイトと2人のアメリカ人の先生、1人の通訳の方の15名のチームワーク体制だったのですが、みんなプラスのエネルギーが溢れていて、毎日笑顔で楽しくレッスン。アシュタンガヨガとビンヤサヨガを学びました。
　毎朝5時起きでスタジオに向かい、7時から朝のトレーニング。休憩を挟んで4時間ほど座学を行い、15時からいろいろなスタイルのヨガのレッスンを受けるプログラムでした。座学では解剖学やアーユルヴェーダ、スートラを学んだり、アーサナのアジャストの手法を学びました。毎週土曜日には指導実習があり、4人一組のチーム構成で行います。
　アシュタンガやビンヤサのシークエンスを自分で考えてチームメイトを生徒に見立ててリードをするのですが、指導などしたことのない私は緊張しすぎてしどろもどろ。生徒としてヨガをするのとリードする側ではこれほど違うものかと愕然としました。
　でも回を重ねるごとに緊張もほぐれ、最後の実習では自分自身も楽しんでリードできるほどになっていました。そして最終週にはバディを組んでアシュタンガの1連のシークエンスをアジャストする練習をしました。体に触れて正しい位置を示してあげると、練習している人は自分の力だけでは行けない新たな深みを感じることが出来ます。それがとても楽しくて興味深かったです」

ヨガのアジャスト風景 　「ヨガはアーサナだけでなく、呼吸や自分自身に集中し、心と体の結びつきを重視するもの。解剖学やアーユルヴェーダ、スートラを体系的に学び、ヨガ漬けの毎日の中で、心と身体の成長を実感する日々でした。特に先生方との出会いは私にヨガをますます好きにさせました。ルパリはヨガに非常に深く精通し、人としても愛情溢れた素敵な人。
そしてタニアも身体に対する知識が豊富で、厳しさの中に優しさのある素晴らしい先生でした。それからフレンドリーで温かな人々との暮らし。ある日クラスメイトがバスパスをなくしてしまったんですが、毎朝同じ時間に乗っていた私たちをバスの運転手さんは覚えていてくれて、『私のバスに乗る時はお金払わなくてもいいよ』って帰りのトランスファーチケットまでくれたんです。温かなハワイの人にハッピーを貰った嬉しいハプニングでした。
　海と山に囲まれたアロハの島は私に感謝の気持ちと、心豊かに生きることを教えてくれました。これってまさにロハスな暮らしですよね。私は今まさにロハスを地で生きています。そしてヨガティーチャーとしての生き方をスタートさせようとしています。私に何が出来るか？まだまだ未知数ですが、LOHASコンシェルジェとして、ヨガティーチャーとして、誰かの人生が豊かになるためのお手伝いが出来たらいいな、そんな風に思っています」