大野 善啓(おおの よしひろ)さん
Profile
1947年、和歌山県生まれ。日本大学卒業後、ゴルフレッスンプロの傍ら日本柔道整復学校花田学園を卒業。卒業後、斯界の第一人者小山正氏に師事。1994年東京都武蔵野市に大野接骨院を開業。
高校時代は国体(やり投)で優勝、大学時代は全日本学生選手権(やり投)で優勝。社会人ではパワーリフティング全日本選手権で優勝など。
メタボリックシンドロームの該当者およびその予備軍が40歳〜74歳で1,940万人に達すると推計されています(厚生労働省:平成18年国民健康・栄養調査)。健康維持は国民共通の意識となり、医療、サプリ、スポーツなど様々な分野で健康への取り組みが行われています。メタボリックとは英語でmetabolic「代謝」を意味することで、スポーツに取り組むことが代謝を進める一番の特効で、ウォーキング、ランニング、テニス、ヨガ等が人気があります。
それと同時に一般人はもちろん、学生、スポーツ選手の間でも怪我やスポーツ障害などの問題も出始めてきています。 学生時代は運動選手であり、現在、柔道整復師として接骨院を経営、また、地元の地域支援事業で機能訓練の体操指導をしている大野善啓さんにお話を伺いました。
元オリンピック選手( 森長正樹氏, 井上悟氏, 田端健児氏)および世界選手権出場者たちと日大グラウンドで 運動選手だった大野さんが柔道整復師になろうと思ったのは「スポーツ選手には怪我が多い」ということがきっかけだったそうだ。
現在、毎朝1〜2時間程度のランニングと週末の土・日は、日大グラウンドで陸上部OBとして後輩の運動指導や自分自身のトレーニングを欠かさない大野さん。「やり過ぎには注意しましょう」と言いながらも、ご自身の最近(週末)のトレーニングメニューは、「軽いランニング、準備体操、リンバーアップ(400m×2周)、加速疾走(100m×3〜5本)…中略…ウェイトトレーニング+補強運動、クールダウン」と一般人には気の遠くなるような内容です。大学の後輩には元オリンピック選手や世界選手権出場者も数多いと言います。
スポーツでおこる怪我は思いがけない事故のように思われますが、ちょっとしたことをチェックすることにより怪我を未然に防ぎ、怪我の確立を低くすることは可能だそうです。
多くのスポーツ現場で、疲れたら、あるいは痛くなったら専門家に診てもらえばいいと、自分でできることさえしない選手が目立ちはじめています。クールダウン、ストレッチはもちろんのことウィークポイント補強のためのトレーニングなど自分自身ですべき管理はたくさんあります。ウォーミングアップはするけれど、クールダウンが軽視されていることがよくあります。疲労を蓄積させないことが、怪我の予防につながります。また、一般の人には特に、怪我をしないような運動の仕方を指導することも大切です。
「健康やわら体操」で体操指導をしている大野さん 柔道と柔道整復術はその名のとおり深い関係にあります。柔道整復術は日本古来の医術の一つで、「柔術」の活法を基本とし怪我人を回復させる技術として伝承されてきました。
現在は骨・関節・筋・腱・靭帯など運動器に加わる急性、亜急性の原因によって発生する骨折・脱臼・捻挫・挫傷・打撲などの損傷に対し、手術をしないで独特の手技によって整復・固定・後療等を行い、人間の持つ自然治癒能力を最大限に発揮させる治療術です。俗にほねつぎ、接骨とも呼ばれています。
柔道整復術は、日本独自の治療技術であり、WHOの『伝統医療と相補・代替医療に関する報告』でも、日本の伝統医療として紹介されています。現在では、「柔道整復師」という厚生労働大臣免許の下により行われる施術ですが、昔から柔道場の隣に接骨院が多かったのは、その道場主が柔道の技とともに柔道整復術(接骨術)を身につけており、道場経営の余技として接骨院を営んでいたからだとされています。
現在では柔道と施術は、治療する上では関係がないようですが、単に施術するだけではなく、そのスポーツ経験や伝統の技によって、早く使える状態に戻すことができるそうです。
大野さんは、地元武蔵野市の地域支援事業(介護予防事業)のひとつであり、運動器機能向上を目的としたプログラム“健康やわら体操”で、機能訓練の体操指導をしています。
この健康やわら体操は、武蔵野市によると「柔道場の畳の上で柔道の上で柔道の動きを取り入れた簡単な体操を行います。柔道整復師が体操の指導を行い、楽しみながら体力づくりを目指す教室」と紹介されています。
無理をせず、続けていくうちにだんだんと楽しみながら体力づくりができ、高齢者の寝たきりを防ぐことにもつながります。