もう少しケミレスタウン・プロジェクトの具体的な内容を教えてください。
ケミレスタウンは、有害化学物質を極力低減した街を目指す実証実験のためのまちづくりですが、敷地はとりあえず千葉大学柏の葉キャンパス、環境健康フィールド科学センター内に設定されました。つまりキャンパス内の街です。しかし、当然この街が核になって、ケミレスな街がキャンパス外に広がってゆくことが目指されている訳です。
ケミレスタウン ハウスメーカー各社が、自ら研究開発を続けるケミレスな材料や技術のノウハウを持ち寄り、実証実験住宅を建設しました。ハウスメーカーは、戸建て住宅で株式会社エヌアールエーハウジング、株式会社無添加住宅、積水ハウス株式会社、株式会社東急ホームズ、株式会社高千穂です。これらの実験住宅に、医師の診察を受けた小児の患者とその家族で希望する人が実際に1〜2週間程度、症状の改善や原因を探るために滞在してもらう予定です。得られたデータはハウスメーカーにフィードバックされ、さらなる改善へとつなげていくことが計画されています。
また、ケミレスタウンのテーマを伝えるテーマ棟(仮称)の建設は飛島建設株式会社が担当しました。このテーマ棟には、患者の診療にあたる環境医学診療科が入るほか、三井不動産株式会社がシックハウス対応型マンションを展示しています。テーマ棟1階には、化学物質を低減した建材、家具、生活用品などを開発しているメーカーなど約20社がケミレスな空間を提案し、千葉大学と共同研究を続ける産学協同のプロジェクトです。
ケミレスタウン・プロジェクトの目的
1.実証実験
シックハウス症候群や化学物質による健康への影響を解決するため、研究施設と診療施設を連携させる。現実の生活スタイル を考慮した実践型実証実験とする。
2.情報発信
実験施設群は、一般の方にもできるかぎり公開する。公開講座を定期的に開き、シックハウス症候群、環境改善型予防医学に 関する情報を提供する。
3.指針提案
化学物質を削減した環境やシックハウス症候群を起こしにくい快適な住環境に関する指針を提案する。
4.企業間交流
住宅メーカーのほか、部材等の住宅に関連したさまざまな業種の人々と協力して、ユニットパッケージでの提案を研究する。
5.人材育成
環境化学物質に関する正しい情報や、本実証実験で得られたノウハウを身につけた実践に生かせる人材を育成する。