塩分や糖分、脂肪分の摂り過ぎを、普段から気をつけているつもりでも、この時期は、外食が続いたり飲酒の機会が増えたりなど、つい偏った食事になってしまう、という方も少なくないのでは。
「トリプルリスクを考える会」を発足した、医師の岡部正先生と管理栄養士の岩﨑啓子先生によると、「トリプルリスク」対策のためにも、普段の食事から、塩分・糖分・脂肪分の“3つ同時ケア”をすることが大切だそう。
「トリプルリスク」の概要と、岩﨑先生考案の食事法をご紹介します。
「トリプルリスクを考える会」発足日のイベントでは、岡部正先生が「トリプルリスク」について講演されました。
「生活習慣病の代表的なリスク要因である高血圧・高血糖・高血中脂質のうち、どれか1つでも該当すると他の2つも悪くなるというリスク(トリプルリスク)があります。当然のことながら、1つだけ数値が高いよりも、2つ3つと要因が重なると重篤な疾患を起こすリスクが高くなってしまいます」
「また、健康診断では空腹時など条件が限定されていることもあり、『隠れ高血糖』や『早朝高血圧』『食後高脂血症』などが発見できない可能性があります。たとえ健康診断で異常なしと言われても油断せずに生活習慣病予防のために血圧・血糖・血中脂質、そしてそれらに影響を及ぼしやすい塩分・糖分・脂肪分の“3つ同時ケア”をすることが非常に大切です」
管理栄養士・料理研究家の岩﨑啓子先生によると、1回の食事で、塩分・糖分・脂肪分を同時に抑えるコツは、お皿を増やす(副菜を追加する)ことで、品目数を増やし、全体的にボリュームダウンすることだそう。
丼など、単品メニューの場合は、素材の品数を増やすと良いとのことです。
調味料を減らす、3つのポイント
(1)塩・砂糖・油をバランス良く使う
塩・砂糖・油は、味が干渉し合うため、バランスよく使わないと量が増えがちに。
(2)調味料はなるべく仕上げに使う
調味料は、調理前半で使うより、後半に使った方が、味が強く出ます。
(3)素材の味を最大限に活かす
「茹で」より「蒸し」! 素材の味が濃縮されます。
「減らす」だけでなく、アクセントを「加える」ことでも、美味しく“トリプルケア”できるのだそう。そのポイントは?
アクセントをプラスして減塩!コツ2つ
(1)風味で料理に変化を加える
お酢や香辛料で、酸味・辛味・清涼感などをプラス。醤油や味噌は軽く焦がすと、風味が引き立ちます。
(2)食感でサプライズを演出
「サクサク」「もっちり」など、異なる食感を加えると、楽しさも加わります。歯ごたえは満足感にもつながるのでおすすめです。
噛む回数を増やして楽しさアップ!「鶏むね肉のアクセント中華炒め」
材料(2人分)
A[鶏むね肉 160g、しょうゆ 小さじ1/2、酒 小さじ1、コショウ 少々、片栗粉 小さじ1]、ブロッコリー 100g、パプリカ 1/6個、ネギ 4センチ、サラダ油 小さじ2、B[オイスターソース 小さじ1、しょうゆ 小さじ1、酒 小さじ2]、クルミ(無縁・ロースト) 15g
作り方
(1)鶏むね肉はそぎ切りにし、Aの調味料を混ぜ合わせる。ブロッコリーは小房に分けてラップでくるみ、電子レンジ(600w)で1分加熱する。パプリカは千切り、ネギは斜め切り、クルミは大き目に刻む。
(2)フライパンにサラダ油を敷き、(1)を広げ入れ中火にかける。両面焼いて火を通し、ネギ、パプリカを加えて炒める。Bの調味料を加えひと混ぜしたら、ブロッコリーとクルミを加え炒め合わせる。
ヘルシー食材で箸休め!「焼きキノコとネギのマスタード和え」
材料(2人分)
シメジ 1パック(100g)、ネギ 1/2本、A[粒マスタード 小さじ1、しょうゆ 小さじ1/2、オリーブオイル 小さじ1]
作り方
(1)シメジはイシズキを切り4つくらいに割る。ネギとともにグリルで焼く。
(2)シメジは小房に分け、ネギは2㎝長さに切る。Aの調味料と混ぜ合わせる。
食材置き換えでヘルシーに!「トリプルケア牛丼」
材料(2人分)
ご飯 300g、牛もも肉(うす切り) 120g、片栗粉 小さじ1/3、タマネギ 80g、エノキ 1/4束、サラダ油 小さじ1、A[だし汁 、みりん 、しょうゆ ]三つ葉 、半熟ゆで卵
作り方
(1)タマネギは太めの千切り、エノキは長さを半分、ミツバは3㎝長さに切る。牛もも肉は食べやすく切り、片栗粉を混ぜる。
(2)フライパンにサラダ油を熱しタマネギを中火で焼き、Aを加え煮立てる。エノキ、牛肉を加え混ぜ蓋をする。沸騰後弱火で7~8分位煮る。火を止めミツバを加える。
(3)器にご飯を盛り(2)をかける。半分に割った半熟ゆで卵をのせる。
食感をプラスしたり、風味で変化を与えるなど、美味しさや楽しさもアップする食事改善なら、続けやすそうですよね。今日からできる、塩分・糖分・脂肪分の“3つ同時ケア”で、リスクの少ないヘルシーボディを目指してみては。(LAR編集部)
【プロフィール】
岡部 正 先生
岡部クリニック院長(日本病態栄養学会評議員、日本糖尿病学会認定専門医・指導医、日本肥満学会会員)
1953年東京生まれ。1978年慶應義塾大学医学部卒業。カナダ、カルガリー大学留学。医学博士。亀田総合病院副院長を経て、1996年東京・銀座に岡部クリニックを設立。
1996年「脂肪体重を減らすヤセ方が正しい」(青春出版社)、1997年「かくれ肥満に目覚めよ」(青春出版社)を上梓。2005年6月、テレビで初めてメタボリックシンドロームを取り上げ、警鐘を鳴らす。「おもいッきりテレビ」「寿命をのばすワザ百科」「世界一受けたい授業」(日本テレビ系)、「主治医が見つかる診療所」(テレビ東京系)、TBS「ゲンキの時間」などに出演。
岩﨑啓子 先生
料理研究家・管理栄養士。聖徳栄養短期大学を卒業後、同大学研究室助手、料理研究家のアシスタント、保健所での栄養指導などを経て、料理研究家として独立する。「サラダ漬けで、すぐ野菜おかず」(河出書新社)、「ゆる「糖質&塩分」オフ!おつまみおかず」(日本文芸社)、「たっぷり作ってずっとおいしい!野菜おかず作りおき」(新星出版社)など著書多数。
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【参考】
※トリプルリスクを考える会