自己流でなんとなく化粧をしていませんか? 化粧には基本や正しい順番があり、それらを守ることによって美しく仕上げることができます。
好きなように楽しむことも大切ですが、きちんと基本をおさえておくとアレンジの幅もきっと広がりますよ。今回は、化粧の基本と正しい順番をお伝えします。
■目次
1.化粧の役割
2.正しい順番で化粧をすることの重要性
3.ベースメイクの正しい順番と各プロセスごとのポイント
(1)化粧下地の選び方と塗り方
(2)ファンデーションの選び方と塗り方
(3)コンシーラーの選び方と塗り方
(4)フェイスパウダーの塗り方
4.ポイントメイクの正しい順番と各プロセスごとのポイント
(1)チークの塗り方
(2)アイブロウの塗り方
(3)アイシャドウの塗り方
(4)アイラインの引き方
(5)マスカラの塗り方
(6)口紅の塗り方
化粧の主な役割といえば、「人を美しくすること」といえるでしょう。ただし、「美しくする」理由はさまざまあり、理由の数だけ役割を担っているといえます。
たとえば、化粧は社会人としてのマナーといわれています。化粧を相手に対する配慮のひとつとして捉える場合は、「大人の身だしなみ」という役割になります。また、化粧による心理的変化を期待する人も少なくありません。自分に自信をもてるようになったり、服装や季節にあわせて楽しんだりと、「心を豊かにする」役割も果たします。
化粧が与える心理的変化は、「健康によい影響を与える」ことも。うつ病や認知症を患った人が、化粧をすることによってポジティブな効果を得られるケースもあるようです。
このように、化粧はただ人を美しくみせるだけでなく、さまざまな役割を果たすことができます。
化粧をするときは、順番を守ることが大切です。順番を守らずに進めると、発色が悪くなったりムラができたりして、仕上がりに不満を感じることも。また、化粧もちも悪くなり、ヨレやくずれの原因にもなります。
正しい順番で化粧をすると、そのコスメが本来もつ力を発揮することができ、クオリティの高い仕上がりにつながります。一日中美しい状態をキープするためにも、基本的な手順を覚えておきましょう。
スキンケアで肌の状態を整えたら、まずはベースメイクから始めましょう。順番は以下のとおりです。
パウダーファンデーションの場合
(1)化粧下地
(2)コンシーラー
(3)パウダーファンデーション
リキッドファンデーションの場合
(1)化粧下地
(2)リキッドファンデーション
(3)コンシーラー
(4)フェイスパウダー
両者の違いは、コンシーラーを塗るタイミングです。パウダーファンデーションの場合は、ファンデーションの前にコンシーラーを塗ります。リキッドタイプなどパウダータイプ以外は、ファンデーションのあとに塗りましょう。
(1)化粧下地の選び方と塗り方
ファンデーションのノリやもちをよくする化粧下地。乾燥肌の人は保湿成分が配合されたタイプ、脂性肌の人はオイルフリーや皮脂吸着機能タイプなど、肌質にあった化粧下地を選ぶことによって一日中きれいな状態を保ちやすくなります。
保湿力が高いタイプの場合は、乾燥しやすい頬を中心に塗り、油分の多い鼻や額は薄めに塗りましょう。反対に、オイルフリーや皮脂吸着タイプを使う場合は、鼻と額をメインに塗ります。頬は保湿タイプを使うなど使い分けすると、より化粧もちがよくなりますよ。
(2)ファンデーションの選び方と塗り方
ファンデーションは肌色と肌質にあわせて選びましょう。顔の色にあわせると首の色が暗すぎて白浮きしがちなので、頬と首の境目となるフェイスラインにあわせて色を選んでください。
肌質にあわせて選ぶときは、保湿力に優れたタイプや皮脂に強いタイプなど肌悩みから考えたり、ツヤが出るタイプやカバー力の高いタイプなど、なりたいイメージにあわせたりして、理想の仕上がりになるものを選びます。ファンデーションを塗るときの手順は以下のとおりです。
(1)頬の中心から外側に向かって塗りのばす。左右対称に行う
(2)あごにのばす
(3)額の中心から外側に向かって塗りのばす
(4)残ったファンデーションで目の周り→小鼻のわき→鼻筋→首筋の順に塗る
ファンデーションはスポンジやブラシで頬にたっぷりと塗り、その残りで他の部分にも塗りのばしていきましょう。つけたす場合はごく少量にしておき、額や鼻などに多くつかないように注意してください。
(3)コンシーラーの選び方と塗り方
コンシーラーはクマやシミ、ニキビ跡など、ファンデーションで隠しきれないトラブルを隠すときに活躍します。抱えているお悩みによって理想的なコンシーラーの種類が異なるため、使い分けることが大切です。
クマにはゆるめ、シミやニキビ跡には固めのコンシーラーを
目元のクマを隠す場合は、テクスチャーがゆるめのものを選んでください。目元は筋肉がよく動く場所なので、固めのコンシーラーを選ぶとくずれの原因になります。シミやニキビ跡などしっかりと隠したいお悩みには、固めのコンシーラーがおすすめです。
コンシーラーの種類ごとに塗り方も変える
ゆるめのコンシーラーは、色ムラが気になる部分にぽんぽんと点置きし、指で軽く叩くようになじませます。固めのコンシーラーは気になる部分を覆うように広めに塗り、コンシーラーブラシで肌との境目をぼかしましょう。
(4)フェイスパウダーの塗り方
ベースメイクの仕上げで使うフェイスパウダーは、仕上がりに差がつくアイテムです。しっかり仕上げたいときはパフで、ふんわりと仕上げたいときはブラシで塗るのがおすすめです。
パフは押さえるように、ブラシは顔をなでるように塗る
パフでつけるときはいったん手の甲において粉のつく量を調節するのがポイント。皮脂が多く分泌される鼻や額からパフで押さえるように塗っていきます。乾燥しやすい部分は塗りすぎないようにご注意を。ブラシでつける場合は大きめのブラシに粉をたっぷりと含ませてから、いったん手の甲になじませて粉の量を調節しましょう。そして、皮脂の多い部分からブラシでなでるように塗っていきます。
仕上げのブラシテクニックで透明感アップ
パフやブラシでフェイスパウダーを塗ったあとは、仕上げに何もついていないブラシで余分な粉を払いましょう。透明感のある仕上がりになりますよ。
ベースメイクが完了したら、ポイントメイクでより魅力的に仕上げます。ポイントメイクの順番は以下のとおりです。
(1)チーク
(2)アイブロウ
(3)アイシャドウ
(4)アイライン
(5)マスカラ
(6)口紅
それぞれの基本の塗り方をみていきましょう。
(1)チークの塗り方
チークは肌なじみのいい色を選び、血色をよくみせましょう。パウダータイプの場合はベースメイクが終わったあとでブラシで塗ればOKですが、クリームタイプの場合はフェイスパウダーを塗る前に指で塗っておきます。チークを塗るときもいったん手の甲に出しておき、つきすぎないように調節しましょう。
チークは頬の一番高い位置に、頬骨に沿って顔の外側に向かって塗っていきます。耳のつけ根あたりまでのせましょう。丸顔の人はやや斜めに、面長の人は横長に入れると効果的です。
(2)アイブロウの塗り方
眉を描くときは、まずスクリューブラシで毛流れを整えておきましょう。準備が整ったら、アイブロウペンシルとアイブロウパウダーを使って下記のように描いていきます。
(1)アイブロウペンシルで眉山から眉尻にかけて1本ずつ毛を足すように描く
(2)アイブロウパウダーの濃い色で眉山から眉尻にかけて描く
(3)アイブロウパウダーの中間色と薄い色を混ぜて、眉山から眉頭にかけて毛流れに逆らうように描く
(4)スクリューブラシで全体を整える
髪色が明るい場合は、眉マスカラを重ねてもOKです。仕上げにスクリューブラシでもう一度毛流れを整えると、自然な仕上がりになりますよ。
(3)アイシャドウの塗り方
アイシャドウの基本的な塗り方をマスターするには、1アイテムでまぶたの陰影をつけられるパレットタイプが便利です。ここでは、パレットタイプを使った基本的なグラデーションのつけ方をお伝えします。
(1)ハイライトカラーをブラシでまぶた全体に塗る
(2)中間色をアイホールにそって指で塗る
(3)締め色をチップにとり、まつ毛のキワに沿うように塗る
(4)何もついていないブラシで全体をなじませる
ラメやパールの強いカラーがある場合は、指でまぶたの中央にぽんぽんとのせるように塗るとまぶたが立体的にみえますよ。
(4)アイラインの引き方
アイラインには、主にペンシルアイライナーとリキッドアイライナーがあります。それぞれの塗り方をご紹介します。
ペンシルアイライナーはまつ毛のすきまを埋めるように
ペンシルアイライナーは線を引くというより、まつ毛のすきまを埋めるように描いていきましょう。
(1)まつ毛の生え際を埋めるように、ペンシルを左右に小刻みに動かしながら描く
(2)ガタガタになった部分やはみだした部分を綿棒で修正する
リキッドアイライナーはやや長めに跳ね上げて
目尻側と目頭側の2つに分けて、まつ毛の生え際ギリギリにかけてアイラインを引きましょう。
(1)目尻側半分に中央から目尻にかけて細くラインを引く。目尻よりもやや長めに軽く跳ね上げるように
(2)目頭側半分に中央から目頭にかけて少しずつラインを引く
(3)跳ね上げた部分に筆先をあて、目尻のキワを三角形になるように塗りつぶす
アイラインを引くときは鏡を下に置くと引きやすくなりますよ。
(5)マスカラの塗り方
マスカラをつけるときは、アイラッシュカーラーでしっかりとまつ毛を立ち上げておきましょう。アイラッシュカーラーは根元、中間、毛先の順に各所で3回ずつ程度軽く握りながら腕を上げていくと、自然な上向きカールに仕上がります。
マスカラは根元から持ち上げるように、左右に小刻みに動かしながらつけるのがポイントです。中央、目頭、目尻の順に放射状に広げるように意識して塗りましょう。下まつ毛が塗りにくい場合は、マスカラを縦にすると塗りやすくなります。
(6)口紅の塗り方
口紅は直塗りをする人も多いですが、リップブラシを使うのが基本です。ここでは、リップブラシを使った塗り方をご紹介します。
(1)口を軽く閉じ、上唇の山から谷に向けて輪郭を描く
(2)下唇の中央の輪郭を描く
(3)上唇の口角から山に向けて輪郭を描く
(4)下唇の口角から中央に向けて輪郭を描く
(5)輪郭の内側を塗る
リップブラシで丁寧に描くときれいに仕上がるだけでなく、発色や色もちもアップしますよ。
化粧の基本を覚えると、誰でも美しい仕上がりを実現することができます。上達するとコンプレックスをカバーしたり、顔型に合わせたりと、自分にあったメイクができるようになることも。しかし、こうしたアレンジはすべて基本の上に成り立つものです。まずは基本と正しい順番をしっかりとマスターしたいですね。
(コスメコンシェルジュ 古賀令奈
フリーライター/エディター/コスメコンシェルジュ。美容・ヘルスケアを中心として「わかりやすく試しやすい」をコンセプトに執筆。日本化粧品検定1級コスメコンシェルジュを取得し、美容法の提案活動も展開。)
【関連記事】
・色を重ねるのがポイント!クマ隠しに◎なコンシーラー活用術
・老け見え注意!トレンド「ブラウンメイク」の落とし穴5つ
・“眉消え”の原因は2つの油!?「落ちにくい眉」の描き方
・「疲れてる?」と言わせない!笑顔に見せる、リップメイク術