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「このコンテンツは、FoE Japan発行の『green earth』と提携して情報をお送りしています。

Vol.14 日本の新たな違法伐採対策法が成立!違法伐採木材は日本市場からなくなるのか?

  • 2017年2月10日
  • green earth

違法伐採木材の流通を止めるために

 新法制定前の「諸外国と我が国の違法伐採対策の比較表」(表参照)における重要な4 つのポイント(民間も対象、広範な適用範囲、義務行為、罰則あり)のうち、現時点での新法制定による成果は、政府調達のみならず民間取引も法の対象となったことだけです。
 とはいえ、新法の効果を最大限にする可能性はまだ残されています。それは、40 の条文で構成される本法律において、実に17 箇所も「主務省令で定める」との記述があり、詳細な規定は主務省令やガイドラインに委ねられているためです。
 今後は、主務省令やガイドラインの策定過程、および施行後 の運用のあり方についての議論において、主に以下の5 つの点 を注視して提言・ロビー活動を継続していきます。

1. 「木材関連事業者の判断の基準となるべき事項(第6 条)」において、確認すべき法令の範囲が広範に定められること。具体的には、(1)伐採に関する権利(および森林伐採に係る許認可に関連する贈収賄や利益供与の有無)、(2)伐採に関する税金等の支払い、(3 )生物多様性や自然環境の保全、(4 )土地や林産物の利用等に関する第三者の権利、(5)貿易及び関税、の5つの分野に関する法令が含まれること。

2.「 木材関連事業者の判断の基準となるべき事項(第 6 条)」において、「木材関連事業者が合法伐採木材等の利用を確保するための措置」(DD)の内容が厳格に定められること。特に事業者は伐採国政府が発行した合法性証明書類等の取得のみで終わらず、証明書類の根拠とされた事実に関する情報をメディアや市民団体などを含む第三者から得て、違法性リスクの評価を行い、そのリスクを最小化すべき旨を明記すること。

3「. 木材関連事業者の判断の基準となるべき事項(第6条2項)」が、伐採国における違法伐採の状況、伐採国政府のガバナンスの状況等に即応できるよう、できる限り機動的に改訂されること。

4.「 登録実施機関」の独立性を確保するため、法定の欠格事由を厳格に審査するとともに、公正な登録審査の安定を保障するため、登録申請する木材関連事業者の支払う料金に依存しない財政基盤確保のあり方について検討すること。

パームプランテーションのために裸にされる熱帯林(マレーシア・サクワラ州)
パームプランテーションのために裸にされる熱帯林(マレーシア・サクワラ州)

5. 合法伐採木材等の利用の促進という目的が達成されているかどうか、伐採国における違法伐採の状況、伐採国政府のガバナンスの状況等を踏まえつつ、常時モニタリングし、その結果にもとづいて運用、主務省令、さらに法律そのもののあり方を再検討すること。

 合法性の確認を原産国の森林に関連する法令のみに限定し、書類ベースでの確認で十分としている既存の制度から大きく変わらなければ、日本市場から違法伐採木材を排除することはできません。FoE Japan は、新法を最大限に活用し「違法伐採木材」の流通を止めることを目指して提言を続けていきます。
 また、同時に、消費者のみなさんからも「違法伐採木材はいらない!」との声をあげていただくことがとても効果的です。紙製品や木材製品を購入する際は「これ、違法伐採木材の危険性はないですよね?」、「どこで生産された木材を使っていますか?」などとお店で聞いてみてください。店員さんが答えられなかったとしても、私たち消費者が「違法伐採木材」を気にしている、ということはお店に伝わります。安心できる木材がわからない場合は、信頼できる森林認証マークのついた製品を購入するのもおすすめです。 (三柴淳一)

表:諸外国と我が国における違法伐採対策の比較 出典:FoE JAPAN/GEF
表:諸外国と我が国における違法伐採対策の比較 出典:FoE JAPAN/GEF

『Green Earth』vol.59 summer 2016より抜粋)

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