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国連大学ゼロエミッション10周年のシンポジウムは、世界がどれだけ環境保全と経済発展に関して理解を深めてきたかを知るよすがとなるでしょう。この二者は相容れないものと考えられてきましたが、今日では多くの人びとが両者は相互に依存しあっていると考えています。その中で国連は重要な役割を果たしてきました。1972年のストックホルム会議、20年後におけるリオの地球サミット、さらに2年前に行われたヨハネスブルグ会議で、国連はまったく新しいグローバルコンセンサスを確立しました。つまり、経済的進展というものは世界の長期的な展望をふまえ、自然との調和のもとに確立しなければならないということです。これはさまざまな条約、協定、枠組みに結実しています。時限を限ったミレニアム開発ゴールというのがそれです。これは世界環境を保全しながら開発を進めようというものです。 |
私たちは現在、さまざまな先端技術を使える立場にあります。汚染や劣化を防ぎ、廃棄物を低減するテクノロジーを持っています。また、過去に蓄積された環境ダメージを解消するテクノロジーもあります。このような人間の英知、創意工夫といったものを最大限に活用していかなくてはなりません。そのためにも、私たちがやろうと決めたことを実現していくコミットメントが必要です。ゼロエミッション活動は非常に重要な役割を果たします。排出、廃棄物、人間の活動によって出てくる副産物、これらを最小限にするということだけではありません。一つのセクターにおける廃棄物を他のセクターにおいて資源として使うことができます。そのようなシステムをつくり上げていかなければなりません。 |
人類はエコシステム、自然の生態系の持続可能なサイクルを志向しなければなりません。このような英知を私たちは徐々に受け入れております。産業の中にも再編成がなされています。この10年間、さまざまな国々、セクターにおいてこのような考えが根づくようになりました。とくに日本では顕著な進展を見せています。多大な貢献をした国連大学に敬意を表します。これによって、さらなる経済、社会的進展が自然との調和のもとに実現できるようになり、人びとの生活をより安全に、安定的にすることができるようになりました。現在の人びとだけではありません。将来の人びとにもこの安定を提供することができるのです。 (2004年11月25日と26日、東京の国連大学で開かれたゼロエミッション10周年記念シンポジウムに寄せられたアナン総長の祝辞をハンス・ファン・ヒンケル国連大学長が代読したものです) |