2026年、OpenAIが「AIのためのデバイス」をお披露目する見込みです。
2025年5月21日、OpenAIの「デバイス開発会社ioを吸収統合する」という発表で、予告されました。
Image: OpenAI/YouTube具体的な製品イメージなどはまだ明かされておらず、「発表時期」だけが示されました。実際の生産には時間がかかるため、発売はそれより数か月〜1年ほど先になりそうです。
OpenAIに吸収統合されるioは、AppleでiMac・MacBook・iPod・iPhoneなどのインダストリアルデザインを手がけたジョニー・アイブ(伝説的と言ってよい人物)が設立した会社です。以前にも報道がありましたが、ChatGPTを生み出したサム・アルトマン(OpenAI CEO)と組んでのデバイス開発が実際に進められていたようです。
リリースには以下のような、サム・アルトマンの言葉が記されており、開発中のデバイスの方向性が暗示されています。
AIは驚くべき技術ですが、本当に優れたツールを作るには技術・デザイン・人間と世界への理解が交わる地点での仕事が不可欠です。ジョニーと彼のチームほど、このプロセスを丁寧に進められる人はいないでしょう。
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テクノロジーを使うことの意味は、深いレベルで変わり得ます。30年前にApple Computerに触れたときに感じた喜びと驚き、そして創造の精神を、もう一度届けたいのです。
— サム・アルトマン
「AIのための本当に優れたツール」を目指していること。それはAppleのコンピュータがもたらしたような劇的な体験を生むようなものであって欲しい、と綴られています。
AIには、新しいインターフェースが必要同時に公開された映像中では、新しいデバイスのゴールは「人々がAIですばらしいものを作れるようにする」だと語られています。
a family of AI productsという表現が用いられ、開発されているのが1つのプロダクトではなく、「プロダクト群」であることも示唆されています。iPhone・Mac・iPad…Appleが自社製品をまとめてfamilyと形容するように。
その一方で、それらに携わったデザイナーからはこんな言葉が。
私たちが、想像もできないほど高度なテクノロジーへアクセスするために使っている製品は、どれも何十年も前に生まれたものなんです。
だからこそ、少なくともこう考えるのはごく自然なことです── この古い製品群のさらに先に、きっと何かがあるはずだ、と。
— ジョニー・アイブ
サム・アルトマンはその言葉を継いで、次のように述べます。
クラウドにはまるで魔法のような知能が宿っていますが、たとえば、さっきの話題について今ChatGPTに尋ねたいと思ったら、どうなるか想像してみてください。
私は身をかがめてノートパソコンを取り出し、フタを開け、ブラウザを起動し、キーボードで質問を打ち込み、Enter を押して返事を待つ──これがノートパソコンという現在のツールでできることの限界です。
でも、この技術には、それをはるかに上回るインターフェースがふさわしいと私は思います。
— サム・アルトマン
サム・アルトマンは試作機を「世界でもっともクール」と評し、ジョニー・アイブは「チーム史上最高の仕事」と自負。両者の発言からは、ノートPCでもスマホでもない “AI ネイティブ”なフォームファクターを模索していることが読み取れます。
AIをみんなのための技術にしたいサム・アルトマンは、「一握りの人」だけのテクノロジーにしたくない、という意向も表明しています。
この恩恵を民主化したい。誰もが手にできるようにしたいのです。限られた人だけが複雑なツールを使いこなす世界にはしたくありません。
— サム・アルトマン
そしてジョニー・アイブは、彼との一致・共鳴を感じたと述べています。
ここに至るまでの道のりはまったくちがっていても、私たちの動機と価値観は完全に一致しているのです。
私の経験上、最終的にどこへ行き着くのかを知りたければ、テクノロジーそのものを見るのではなく、意思決定をしている「人」に目を向けるべきです。
そして、その人たちを突き動かし、動機づけているもの──つまり価値観を注視すべきなのです。
— ジョニー・アイブ
錚々たる実績の持ち主で開発チームが固められているのも印象的です。ジョニー・アイブは映像内で彼らを「並外れたエンジニア」と評していますが、客観的に見ても適切な表現です。
人物Apple時代の主な役職io / OpenAI での役割ジョニー・アイブ最高デザイン責任者(iPhone など)全体デザイン統括スコット・キャノンiPhone/iPad ハードウェア開発を指揮実装責任者エバンス・ハンキーインダストリアルデザイン担当副社長ハード/UIデザインタン・タンiPhone/Apple Watchのプロダクトデザイン担当副社長機構設計・量産化明かされた事実・語られた内容を見るに、2026年に発表されるのは「AIを自然に使うためにゼロから設計した道具」といった感じですが、ジョニー・アイブらしい丁寧なデザインが施されるようです。
もちろん、“ポスト iPhone”になるかはまだわかりません。詳細はまだ霧の中ですが、顔ぶれだけで期待が膨らみます。今年のAIの進歩を眺めつつ、来年のお披露目を静かに待ちたいと思います。
Source: OpenAI, YouTube, Cult of Mac, Wikipedia
2025年5月22日12時55分:不足していた情報を補うために、加筆を行ないました。