どっちつかずなんだよなあ…。M3版iPad Air、触ってみた

  • 2025年3月18日
  • Gizmodo Japan

どっちつかずなんだよなあ…。M3版iPad Air、触ってみた
Image: Kyle Barr / Gizmodo US

チップがM3になったぐらいで、昨年版と大して違わないミッドレンジタブレット。

先日発売された新iPad Airに触ってみた感想です。

カラーよし、性能よし、軽さよしで、要求されるタスクもこなせる製品ではあるのですが、Apple(アップル)製タブレットのラインナップのなかで見回すと、どっちつかずで、これという居場所がないように感じます。

M3搭載iPad Air 2025

これは何?:M3チップを搭載したAppleの中価格帯タブレット。

価格:9万8800円〜(11インチ)、12万8800円〜(13インチ)。

好きなところ:ディスプレイが明るくて見やすい。新型マジックキーボードも同時発売(税込4万6800円〜)。M1搭載iPad Airより処理速度が向上。

好きじゃないところ:2024年モデルとの性能差は最小限。Airという名前の割には、Proほど薄くも軽くもない。マジックキーボードだけが目当てなら、価格的にはMacBook Airと大差ない。

M3搭載iPad Air 11で一定のタスクはこなせますが、もっと安価なMacBook Airほど多くのタスクはこなせないわけで。昨年モデルより改善はしていますが、M1搭載iPad Airから買い替えるほどのこともないのが痛いところです。

もっと単純なタスクならiPad mini(税込7万8800円)で用は済んじゃうし。もっと処理パワーが要るならiPad Proでしょうし。

昨年と同じく、今年のiPad Airにも11インチと13インチの両方が用意されているのですが、Proなら大画面もいるけどAirは小さめの画面で◎ですし。

気になるお値段は11インチがRAM8GB、ストレージ128GBの最小構成で9万8800円。GPUは9コアで、昨年の最小構成のものと変わりません。13インチは12万8800円〜。

昨年同様、12MPのフロントカメラは上部から右横に移動しています(横向きに撮りやすいように)。

Apple Pencil ProとApple Pencil USB-Cに対応しているし(それより古いスタイラスには非対応)、 画面も去年と同じLiquid Retinaディスプレイなので、暗い部屋でもいけるし、光が当たっても反射は最小限に抑えられます。

iPadの色ではラベンダーがやっぱり好き Image: Kyle Barr / Gizmodo US

ちなみにこの原稿は新発売のMagic Keyboard(別売)で入力しています。上部に14のファンクションキーがあって、画面の明るさとかすぐ調整できるのは便利なんですが、価格がなにしろ高くて、11インチモデルが4万6800円(米市場は270ドル)、13インチモデルにいたっては4万9800円(米市場320ドル)もします。その分、iPad専用キーボードとしてはベストですけど。昨年版iPad Airでも使えます。

しっかしこうして眺めてみると、13インチのiPad Airは12万8800円からなので、4万9800円のMagic Keyboardと合わせると17万8600円! 13インチのM4搭載MacBook Air(16万4800円)のほうが安いという逆転現象…。

MacBook Airのキーボードに慣れてる人なら、iPad Airの専用キーボードは驚くほど打ちやすいけど、所詮はiPadOS。ノートPCほどの汎用性はないわけで。店頭で眺めてもProか無印に目が行ってAirは絶対手にとらないだろうなあ…、と呆然と眺めてしまいました。予算内の人は、別に買っても後悔しないと思いますが、ワクワクする何かを求めているなら、それとは違うと感じます。

処理性能はわずかに向上

Image: Kyle Barr / Gizmodo US

Apple純正チップMシリーズ搭載iPadは、A16/A17搭載iPadより処理性能は格段に高まっています。重いアプリで使うと違いは歴然です。

前世代のM1搭載iPad Airより今年のM3はずっとパワフルなわけですが、昨年のM2搭載モデルと比べると、違いは微々たるものです。それはAppleもよくわかってるんでしょう。 古いほうのM1搭載モデルと比べて「処理速度が2倍近く高速になった」とPRしています。

実際問題、2022年のiPad Airと2025年モデルは見た目そっくりですが、グラフィック系タスクと処理のスピード感は全然違います。3D MarkのグラフィックスベンチマークであるWild Life UnlimitedとWild Life Extreme Unlimitedでテストしてみたら、3年前のAirより処理速度は平均30%高速化していました。昨年のM2搭載iPad Airと今年のM3搭載機を比べると、Geekbench 6のマルチコアのベンチマーク結果は9,993対11,835で約15%の高速化という感じです。

第7世代iPad AirのM3はハードウェア・レイトレーシング対応でもあるので、『War Thunder: Mobile』なんかのゲームのときには違いが出そうです。ただ、タブレットを普通に使っている分には、レイトレーシングの出番ってそんなに多くないんですよね。

Image: Kyle Barr / Gizmodo US

いくらグラフィックスの処理性能が上がったと言っても、M3搭載iPad AirはM4搭載iPad Proには遠くおよびません。同サイズでM4搭載iPad Proは11型が14万8000円〜。5万円の差があるので当たり前といえば当たり前なんだけど。

13インチM4 iPad ProはGeekbench 6のベンチマークでシングルコアが+600点、 マルチコアが+2,700点もの差がついています。GPU性能を3D Mark Steel Nomad Liteで比べたら、M4はM3搭載iPad Airより+1,150点という結果でした。

AirはiPad Proより厚くて重いですしね…(iPad Airは6.1mm、460g、iPad Pro最新版は5.3mm、444g)。

レンダリング用にiPad ProとiPad Airで迷ってるなら、M3のAirのほうがかなり遅い。 Octane Xでレンダリング所要時間を比べてみたら、11インチiPad Airは平均で16秒長くかかってました。

AI処理性能をGeekbench AIで比べたら、iPad Proはさすがニューラルエンジン搭載とあって爆速です。iPad Airに640点くらいの差をつけてました。そもそもM3搭載iPad AirでAI使えるのかって話もありますが。

AI目当ての買い替えはやめよう

Image: Kyle Barr / Gizmodo US

iPadOS 18.3から18.4、18.5にバージョンアップしたら、さすがにAI機能も充実するのかなと淡い期待を抱いていたのですが、iPad Air発売の微妙な時期に、英語版Apple Intelligenceのアプデ延期の悲報が入ってしまいました。Siriがもっと会話調になって、もっと広い範囲のアプリでAIが使えるようになる予定だったのに。

どれくらいの期間延期になるかはわかりませんが、Bloombergによれば、最悪、2026年まで待ちぼうけかもって話。もうその頃にはM4搭載iPad Airが出ちゃってるんじゃないでしょうか。

英語版でも現段階では、複雑な質問はChatGPTに回されて、回答が返ってくる形式です。回答は簡略化されてて、あんまり詳細はわからなかったりします。あとは自分の文章やウェブのテキストを校閲・要約する機能。箇条書きから表を作成する機能(ベンチ結果の表作成で重宝した)などなど。

長い広告メールの要点まとめ機能もあるんですが、AppleのAIに頼むと、重要な点を落としてしまいがち(これではせっかく部下が詳しくメールしても、読む暇のない中間管理職がAIに要約させた段階でその努力が台無しになってしまう)。

AI画像生成機能「Image Playground」も決められたテーマとスタイルのなかから選ばなきゃならないので表現の幅に制限があります。試しに自分の写真を素材に試してみたらゲッソリ痩せて実年齢より10〜30歳上の老け顔に加工されてきました。

あと、なんか知らないけど頭の上になんか乗せなきゃ気が済まないAIなんですよね。頭のてっぺんに鳥の巣をつくりたがる奇癖あり。目立った失敗もない代わり、遊び心もないAIという印象です。なお、Apple IntelligenceはMシリーズ搭載iPad全機種対応ですので、M1のiPad AirでもM2のiPad Airでも使えます。もっと古いiPadでは使えません。

気になるApple Iintelligenceの日本語対応はiPadOS 18.4から。公式ページにも「4月初旬に日本語対応予定」の文字が踊り出ました。ただ英語版の現況(上述)を見る限り、日本語対応を見越して先にAI対応機を買うのはギャンブルかもしれません。

必要最小限の進化

Image: Kyle Barr / Gizmodo USI

ちょっと前まで対面の打ち合わせではノートPCを使ってましたが、最近はiPad miniとApple Pencil Proで済ませることが多くなってます。このサイズ感が自分には一番しっくりくるんですよね。それ以外にノートPCの出番はあまりなくなってたりします。

本腰入れたアートやレンダリングのタスクでタブレットを使うなら、どう考えてもiPad Proがベストチョイスですし。前は最薄・最軽量のiPadが欲しかったらiPad Air一択でしたが、今は薄さを求める人もiPad Proに流れています。新型iPad Airは同時発表の無印iPad( 5万8800円〜、A16搭載、唯一のApple Iintelligence非対応モデル)よりベターな画面、ベターなストリーミング処理性能というぐらいで、そんな違わないんですよね。

あれだけ薄くて軽いなら去年のProは「iPad Air Pro」とか「iPad Pro Air」という名前で売り出してもよかったのに。Airのほうが無印より高性能っぽいからAirにするって人は今もいるし、それで間違いはないのですが、M2のiPad Airのほうが安いならM3と大して違わないので、そっちにするのも充分アリでしょう。

Apple 11 インチ iPad Air (M3) 98,800円 Amazonで見るPR

キーワードからさがす

gooIDで新規登録・ログイン

ログインして問題を解くと自然保護ポイントが
たまって環境に貢献できます。

掲載情報の著作権は提供元企業等に帰属します。
copyright 2025 (C) mediagene, Inc. All Rights Reserved.