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シェアリングエコノミーは社会を変えるか〜シェアが生み出す新しい価値~-第31回エコ×エネ・カフェ 前編-

  • 2019年10月16日
  • 緑のgoo編集部

キーワードは「信頼」

最後に、皆さんへの問いです。シェアリングエコノミーは個人間でのやりとりですから、何かトラブルがあったときに企業が保証してくれるというのではなく、信頼で成り立っています。この信頼をどうデザインするのか。シェアリングエコノミーだけではなく、企業がイノベーション生み出すうえでも、みなさんがなにか価値を生み出していく上でも根本的に問い直される、とても大事なものだと思います。

信頼は3つの進化を遂げてきました。第一の信頼はローカル。個人と個人。例えば借りるお醤油に毒が入っていないかどうかといったことです。第二の信頼は、厚生労働省など、第三者機関の出しているもの。日本はこの第二の信頼が最も浸透している社会です。そして、シェアリングエコノミーが広がることによって、第三の信頼が登場しました。例えば、ある食べ物を食べた150人の人がインターネットに書いた口コミの情報を信頼する。つまり分散化された信頼です。中国では国策で個人の信頼情報をすべてテクノロージで管理し、点数が低いとパスポートがつくれないという、すべてをテクノロジーに預けることで担保する信頼が生まれつつあります。ただし、これも完璧なモデルではなくて、今、第四の信頼と呼ばれるものが生まれようとしています。信頼をどう担保するかが重要な中、「良心」というのが信頼の未来を読み解く鍵ではないかと思っています。

シェアリングエコノミーとは何か。何がどう変わっていくのか。それが広がる先にどのような価値観が生まれていくのか。その鍵は、信頼にあるのです。

森:
ではここで、J-POWERの藤木さんにコメントをお願いします。

藤木:
今の市民社会は「私有財産の不可侵」といったものが社会の根底になって発達してきたと思うのですが、石山さんが伝道師としてシェアリングを普及するなかで、社会の構造上大変だなと思うことはありますか?

石山:
今の法律行政は何かあったときに企業が担保する第二の信頼が前提になっているものが多いですので、個人間のやりとりにあった法律をアップデートすることが必要だと感じています。そして、企業だけではなく、皆さんが安全安心のリテラシーをあげることが新たに求められています。

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藤木:
産業界からはシェアをするとものの生産量が落ちるからシェアリングエコノミーはあまり好ましくないなという声も聞こえてきます。一方、今のライフスタイルは、かなりエネルギーを消費するものですので、エネルギーの安定供給やCO2削減を考えるとシェリングエコノミーもすごく大事なことだなと思っています。国連はグリーンエコノミーというのを推奨していますが、シェアリングエコノミーはエネルギー消費に対してどういう効果を持つのでしょうか。

石山:
使用量を減らすというのはまさにそうですね。これまでの大量生産・大量消費の時代は、個別化が進み、一人暮らしが増えることで、シェアしていたら必要なかったものまで買う必要がでてきて、必要なものが増えていきました。あえて個別化しパッケージ化することで作り過ぎてしまった社会とも言えます。サステナビリティを考え得ると、これも見つめ直されるべきなのかなと思っています。

藤木:
先ほどのお話のように、車を所有していて稼働していない時間があるのなら貸すというようにすると、ものが上手に使われるようになるといったことですね。

石山:
本来は移動する目的のために車を買っていたのに、ものが欲しいということが原動力にあるのがコト消費の時代です。それが過剰生産の社会とつながっていったのだと思っています。

森:
ありがとうございました。ところで石山さんは東京のシェアハウス64人でお住まいとのことですが、電気代はどうやって計算して分けているんですか?

石山:
一部屋に4人いたとしてフルに暮らす人もいれば他にも拠点を持って住んでいる人もいます。それで、部屋ごとで一ヶ月にどれくらい住んだのかを確認しながら支払い分を決めていますね。

森:
なるほど…!
今日は幅広いお話をどうもありがとうございました。


第31回エコ×エネ・カフェの前編はゲストの石山さんから「シェエアリイングエコノミーは社会を変えるか〜シェアが生み出す新しい価値」について触れていきました。後編では全員参加のワールドカフェの様子をレポートしていきますのでご期待ください。

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