
長谷観音として古くから親しまれる鎌倉・長谷の「長谷寺」は、四季折々の花の咲く「花の寺」としても知られ、6月は色とりどりのアジサイが咲きそろいます。眺望のいいあじさい路からは鎌倉の海までも見渡し、御朱印にはこの時期だけの刺繡朱印も登場します。今ちょうど見ごろとなった長谷寺のアジサイ散歩を楽しみませんか。
長谷寺は奈良時代の736年に開創したと伝えられている鎌倉有数の古刹で、ご本尊の十一面観音菩薩像は高さ9.18mに及ぶ日本最大級の木彫仏です。観音山のすそ野から中腹にかけて境内が広がります。
年間を通して様々な花が咲く花の寺としても有名で、5月下旬から6月にかけては、アジサイが彩ります。
観音堂と経蔵の間には眺望散策路の入り口があり、観音山からの眺めを楽しめるように整備されています。アジサイが色づきはじめる5月下旬からは「あじさい路」と呼び名を変え、華やかな季節が始まります。境内に咲きそろうアジサイは40種以上、約2500株。この時期は一年の中でもひときわ多くの参拝者で賑わいます。
あじさい路の入り口では長谷寺で命名されたアジサイ4種もお披露目されています。斜面に咲く姿を見つけながら歩くのも楽しいですよ。
あじさい路に入ると少しの間、階段で斜面を登っていきます。みるみるうちに視線が観音堂や経蔵の屋根と同じ高さに。目線を上げると小高い山の斜面に沿うように咲くアジサイが見えてきます。
斜面には石灯篭や石塔があり、ヤマアジサイやガクアジサイなどがその間を埋め尽くす古刹らしい光景が広がります。色も花びらの形も多種多様なアジサイの斜面です。
長谷寺は鎌倉八景のうち「長谷の晩鐘(ばんしょう)」ともうたわれた景勝地で、あじさい路の頂上からは眼下に長谷の街や由比ガ浜、その向こうに相模湾や三浦半島までも望むパノラマが広がります。そんな雄大な景色の中を江ノ電が時おりガタンゴトンとのんびりと音を立てて通り抜け、長谷らしい情緒も漂います。
頂上付近には千手観音が祀られています。高台から長谷の街を見守っているかのようです。
経蔵のまわりには竹やぶがあり、竹とアジサイの取り合わせも古刹ならでは。経蔵裏手から見上げる斜面のアジサイも風情があります。
あじさい路は経蔵を一周したところが出口です。上り下りのある散策路で汗をかいたあとは、向かい側にあるレストラン「海光庵」でアジサイカラーの冷たいドリンクで休息を。
この時期は御朱印もあでやか。通常の御朱印に水色や紫のアジサイをあしらった「刺繡朱印」の「山門」と「なごみ」も加わります。
長谷寺で人気の和み地蔵はおみくじやお守りにも。手のひらサイズの和み地蔵のおみくじは、後ろの赤いリボンを引っ張ると中からおみくじが出てきます。持ち帰って部屋に飾るとほっこりとした気分に。
お守りは種類がたくさんあり、語呂合わせから考えられたものも。イチゴの形の「願い叶う守」は、イチゴは数字でその並びを表すと15になることから「十分(10)なご(5)利益がありますように」とご祈祷されているのだそう。願い事が花開くようにとの願がかけられている「あじさい花網守」もおすすめです。
アジサイの見ごろを迎えた長谷寺。シモツケやスイレンなどのお花も境内を彩ります。この季節だけの景色をゆっくり楽しんでくださいね。