もっとうろたえてしまうのは、「(キャンプの仕事をしているのだから)キャンプがお好きなんですね!」というストレートなことばです。「そうですね」と答えながら、「本当はどうなんだろうか?」とおもいます。 確かに、実際にキャンプに入ってしまえば、楽しいと感じることが多いですし、自然の中での生活には理屈抜きの気持ちよさがあります。けれど日常の自分を考えてみると、出無精で、運動も苦手、集団行動も得意とはいえない‥。あんまりキャンプ向きであるとはおもえないのです。だからといって、日本キャンプ協会で働く人間が「好きというわけでもないんですよねぇ」と言うのもはばかられて、「あはは、そうですね‥」と曖昧に応じることになります。 しかしいろんな人に聞いてみると、キャンプに携わりながら、同じような感覚の人は意外といるものです。「みんなで大騒ぎするの、ちょっと苦手なんだよね」とか、「休みの日は静かに、本でも読んで過ごしたい」とか、さまざまな理由で、キャンプが好きかどうかの確信が持てないと言うのです。 けれど、「でもね、キャンプはすごいんだよ!」とその人々のことばは続きます。それはキャンプの中で参加者の変化をいくつも目の当たりにすることで得られる確信です。
だからこの先も「キャンプがお好きなんですね!」と言われたら、「あはは、そうですね‥」とことばを濁すのでしょう。それでも、きちんと行われたキャンプは信ずるに値するものだと、こころからおもっています。 |