サイト内
ウェブ
キャンプの恵み

Vol.38 子どもたちを見守るまなざし

  • 2013年8月15日

ボランティアスタッフの多くは連続してキャンプに参加していますが、毎回、きちんと学びます
ボランティアスタッフの多くは連続してキャンプに参加していますが、毎回、きちんと学びます

ふざけるところはふざけるけれど、スタッフはとことんまじめに子どもたちと向き合っています
ふざけるところはふざけるけれど、スタッフはとことんまじめに子どもたちと向き合っています
 この夏も、El Tesoro de la Vidaというグリーフキャンプに参加するため、アメリカ・テキサス州まで行ってきました。

 キャンパーは日曜日の午後にやってくるのですが、ボランティアスタッフは前日から集まり、準備をしたり、研修を受けたりします。その研修のテーマのひとつに「児童虐待」があります。楽しいキャンプに児童虐待は結びつかないように思えますが、この研修は欠かせないものだというのです。

 そこでは、児童虐待の種類とその定義から、虐待を受けている子どもの特徴、虐待を疑われる子を見つけた場合の対処法まで、一通り学びます。私の英語力では内容をきちんと理解するにはほど遠く、「なんで虐待に関する講義でこんなに大爆笑をすることがあるんだ?」という疑問は今も消えませんが、ともかく講義は1時間半ばかり続きました。

 キャンパーには、家族を亡くしただけでなく、同時に複雑な家庭の事情を抱える子どもたちも少なくありません。それだけに虐待の可能性も否定できないのです。

 子どもには子どもなりの強さが備わっています。しかし、まわりの環境に左右されやすい存在だから、周囲で子どもたちを見守るまなざしには、どこか厳しい部分も備えていなければいけないのだろうと思います。それは保護者を疑うことにもなってしまいますが、子どもたちの置かれた多様な状況を考えると、それもまた必要なことです。実際、お気楽に楽しんでいるように見えるボランティアたちは、子どもたちの小さな変化を観察し、その情報をシェアして、しかるべき対応を検討します。

 日本でも児童虐待の通報件数が増えているそうです。これは、子どもたちを見守るまなざしがより現実に即したものに変化している兆しなのかもしれません。しかし、「子どもと接する活動をする人はすべて、虐待について一定の理解をしていて当たり前」というところまでは至っていません。楽しい活動だからこそ見えること、生活を伴う活動だからこそ見えることもあるので、キャンプ指導者が学ぶべきことがらのひとつに、児童虐待をきちんと位置づけることが必要なのだろうと思います。


キーワードからさがす

gooIDで新規登録・ログイン

ログインして問題を解くと自然保護ポイントが
たまって環境に貢献できます。