海外に住む日本人を訪ねるテレビ番組などを見ると、本当にさまざまな国や地域で日本人が生活していることに驚かされます。異なった言葉や文化、生活習慣の中で現地の人と交わりながら暮らすには、多様な価値観の中で生きるチカラが必要とされるでしょう。
海外生活を始める前に現地の情報を知り、日本との違いを理解することも大切ですが、実際の生活体験から学ぶことの方がずっと大きなチカラとなります。テレビで取り上げられるように、トラブルや失敗からも多くのことを学びます。他人の失敗体験談は楽しく聞けても、自分のこととなれば話は別です。
外務省が毎年報告している海外在留邦人数調査統計によると、世界にいる日本人は129万人。そのうち長期滞在者の小中学生は7.9万人と言われています(平成27年)。子どもたちは大人と違って日本語も学びながら滞在国の文化や習慣の中で暮らす訳ですから大変です。
このような海外で暮らしている子どもたちを支援するキャンプがありますので紹介します。
一つは、1979年からおこなわれているアメリカでのキャンプ(※1)です。ニューヨークのフロストバレーの自然の中でいろいろな体験を通して多様性を学ぶことが出来ます。もう一つは、昨年からはじまったキャンプで、日本に一時帰国した際に里山的環境の中でおこなわれるもの(※2)です。どちらのキャンプもプログラムは日本の文化や習慣に基づいて行われますが、参加者の滞在国の文化や習慣を学ぶ活動が多く取り入れられています。指導者も多国籍で、海外に住んでいない子どもも参加することができます。キャンプでは、リーダーと呼ばれるスタッフが子どもたちを支援するので安心して生活や活動ができ、生きるチカラを身につける環境が整っています。
グローバル化が進み、今後はキャンプについてもこのような多様なニーズが増えていくでしょう。多くの子どもが参加できるよう、各国でキャンプが実施できるような支援の仕方を考えていきたいものです。 (ケイン)
※1 東京フロストバレーYMCAパートナーシップ
※2 株式会社TNC Mix Kicks! キッズダイバーシティ Summer Camp