キャンプからイメージされる言葉は、「のんびり」と「あわただしい」のどちらでしょうか?多くの人は「のんびり」をイメージするとおもうのですが、同時に、実際に参加したキャンプを「あわただしかったなぁ‥」と思い出す人もけっこういるのではないでしょうか。
キャンプは多くの場合“やり慣れないこと”や“手間のかかること”で構成されます。野外炊事も沢登りも、テントで眠ることも、日常的なことではありません。どうしてもひとつひとつのことに時間がかかってしまいます。野外炊事などは、生活の営みをていねいに見直すという点で、時間がかかることに意味があるといってもいいかとおもうのですが、いずれにしても、かなりゆったりしたスケジュールを組んでいないと忙しいと感じるキャンプになってしまいがちです。
楽しいキャンプにしようと、ついアクティビティを詰め込みたくなる気持ちをぐっと抑え、空白の時間を十分にもつことも大切だと、わたしはおもいます。日常生活の中の空白の時間は、もしかしたら「もてあます時間」や「たいくつな時間」かもしれません。それはそれで大切にすべき時間だとおもいますが、キャンプの中ではもっと多様な意味をもつはずです。
それは、疲れた身体を癒す休息の時間や、興味をもったものをじっくり観察する時間、遊び足りなさを満たす時間、自然の中で心身をほぐしてゆっくり考える時間、誰かとおしゃべりする時間、とにかくとことんなんにもしない時間、集団から少し逃れてひとりになる時間、これまでに起こったことをおもいかえす時間などになります。
一人ひとりが違う目的で過ごすことのできる時間の存在は、キャンプそのものを一人ひとりにとっての大切な経験にしてくれるでしょう。キャンプは集団の活動だけれど、全員が同じように行動し、同じように感じ、考える活動ではありません。
空白の時間をほどよく組み込んだキャンプは、とても居心地のいい場所になるはずです。