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キャンプの恵み

Vol.107 キャンプのなかみ(5)「自分に似ている誰か」

  • 2016年5月26日
  • (社)日本キャンプ協会

 「ピアカウンセリング」という言葉があります。「ピア(peer)」とは、「仲間」「対等な立場の人」という意味で、同じ立場にある人、同じような体験をした人が、同じ仲間として行うカウンセリングのことを指します。同じ立場や体験をした仲間だからこそ分かり合える、あるいは、こころの支えになることができるということを基本に置いています。

キャンプのなかみ(5)「自分に似ている誰か」 キャンプでは、ピアカウンセリングと同様の効果が生じることがままあります。キャンプ生活の中で仲よくなった同じキャビンの子が、同じ悩みを抱えていると知り、「悩んでいるのは自分一人じゃないんだ」と気づく。あるいは年上のリーダーが、同じ悩みを克服していたと聞いて、希望を得る。そんなことが起こります。

 もちろん、ピアカウンセリングの効果を意図して行われるキャンプもあります。たとえば、大切な人を亡くしたキャンパーを対象としたグリーフキャンプもそのひとつです。

 キャンパーは大切な人を亡くしたことで、それぞれに苦しさや悲しさ、不安、生きづらさを感じています。「クラスメイトには同じことが起こっていないのに、どうしてぼくだけが‥」と孤独を感じていることもあります。この孤独感の中では、状況を改善するヒントを見いだすのは、とても難しいものです。

キャンプのなかみ(5)「自分に似ている誰か」 けれどこのキャンプに来れば、同じような体験をした人に出会うことができます。そして、たくさんのことに気づくのです。「ぼくはひとりぼっちじゃない」「悲しいって泣いてもいいんだ」「助けてくれる人が周りにたくさんいる」「大切な人のことを思い出してもいいんだ」「困ったときに相談できる場所がたくさんある」「楽しんでもいいんだ」

 キャンプに参加することで、悲しみ自体が消えるわけではありません。しかし、似たような誰かに出会うことで、悲しみと折り合いをつけるためのヒントは得ることができるのです。

 似たような誰かと濃密な時間を過ごすこと、それもキャンプの大切ななかみのひとつです。

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