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有田焼と食の魅力を追いかける佐賀美食旅(前編)

  • 2016年12月22日
  • あそぼーさが
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有田焼は2016年に創業400年を迎えました。日本でも有数の知名度を誇る磁器の一つ有田焼。透明感のある肌と、多彩な文様、美しい紺色の世界が広がる染付など、今も日本人の心をとらえて離しません。
400周年の節目を迎えた有田焼が掲げるテーマは、「ARITA EPISODE 2 - 有田焼400年 新しい時代のはじまり ―」 次の100年に向けた新しいチャレンジ。
芸術性の高い器や壺も魅力的ですが、もとは人々の生活に根差した器。その一番の活用法は「食器」といえるかもしれません。食器は料理を引き立てる、美食には欠かせないもう一つの主役。
私たちタベアルキストも、ARITA EPISODE2に合わせて、食の視点から有田焼の過去と未来を感じられる旅をプランニング。磁器の町 有田で器と食の魅力を追いかける2泊3日の旅へでかけました。
◆タベアルキストとは http://tabearukist.com/

1.好みの器で一杯のコーヒー ギャラリー有田

有田町中心部に向かう町の入り口にあるギャラリー有田は、旅の最初に訪れたいお店。
扉を開けると出迎えてくれるのは、整然と並んだ2000客を超えるコーヒーカップ。こちらでは、このカップの中から気に入ったものを選び、コーヒーをいただくことができます。

ギャラリー有田1
デザインはもちろん、質感もそれぞれ異なるコーヒーカップは、有田焼の幅の広さを一目で教えてくれます。様々な器を実際に手に取り、自分好みの器を知るところから旅はスタートです。
ギャラリー有田2
選んだのは染錦のコーヒーカップ。紅と紺のコントラストが映える、華のあるデザインのものを選んでみました。金のチェック柄がどことなくヨーロッパを思わせます。 この器に注がれる、氷温熟成された豆を使用したコーヒーは、程よい苦みと爽やかな酸味でキレのある一杯。お気に入りのカップとコーヒーでゆったりとした時間が過ぎていきます。後ろに映っているのは、一緒にいただくスイーツ、「ごどうふ黒蜜きな粉」の入った器。こちらも、もちろん有田焼。フタを開ける前から期待感が高まります。
ギャラリー有田3
フタを開けると、大振りにカットされたごどうふと、たっぷりのきな粉。これに黒蜜をまんべんなくかけていただきます。 ごどうふは、有田の名物の一つ。豆乳にくず粉を混ぜて固めた豆腐で、ムッチリ、プルルンとした食感が特徴です。
ギャラリー有田4
プリンのように滑らかで、ムッチリとした独特の食感は、普通の豆腐とは全く別物。豆乳の香りはあまり強くなく、クセのない味わいは、豆腐好きはもちろん、豆腐スイーツは少し苦手という人でも美味しくいただけます。

ごどうふはスイーツだけでなく、もちろんおかずとして食べても美味。生姜を効かせたごまだれで食べるごどうふは、冷ややっことはまた違う美味しさです。このほかにも、ごどうふカツカレーなども提供されおり人気を博しています。

■ギャラリー有田
 佐賀県西松浦郡有田町本町乙3057
 TEL:0955-42-2952
 営業時間9:00~19:00 年中無休(元旦のみ休み)
 https://www.facebook.com/GALLERY.ARITA/  

2.有田ポーセリンラボ

次の100年に向けた、新しい有田焼を知るため、現代的なデザインの有田焼を制作している、有田ポーセリンラボの工房を訪れました。販売店舗は10月1日にリノベーションが完了し、有田モダンを感じられる魅力的なお店に生まれ変わりました。

アリタポーセリンラボ1
有田ポーセリンラボの作品の特徴は、古典的な文様を、色数を抑えた表現で、現代にマッチする器として再提案すること。 右側がいわゆる古典的な有田焼で、同じ図柄を3色で表現したものが左側です。色数を抑えることで、全体がスッキリとまとまり、洗練された印象になることがよくわかります。
アリタポーセリンラボ2
同じ文様も、色を変えるだけで多彩な表情を見せます。有田ポーセリンラボでは、春夏秋冬の色をそれぞれ定めており、色の変化で日本ならではの季節感を表現しています。 色のバリエーションは増えても、文様の型紙は昔のものをそのまま使用。文様はそれぞれに意味があり、各窯元で独自デザインを持っています。そのため、海外で見かけても、職人なら自分の窯のものがわかるとか。色と文様の組み合わせで様々なおもてなしができるので、ぜひ相談をしてみてください。
アリタポーセリンラボ3
何重にも描く細い線も有田では手書き。他産地では機械に置き換わってしまい途絶えつつある技も有田ではしっかりと継承されています。機械化が進んだ現代でも、最後の微調整は職人の手で行うこだわり。職人の手による、少量多品種生産だからこそ可能な技術が今でも有田にはあります。次へとつなげるため、変えるべきは変え、残すべきものは残すというスタンスで一本芯が通っています。
アリタポーセリンラボ4
伝統を守るために、新しいことに挑戦し続ける有田ポーセリンラボ。モダンなデザインの中に宿る職人の技は、次の有田100年を感じさせる耐えることのない情熱を感じさせます。

■アリタポーセリンラボ旗艦店
 佐賀県西松浦郡有田町上幸平1-11-3
 TEL: 0955-29-8079
 営業時間11:00~17:00 定休日/火曜日
 http://www.aritaware.com/index.html

3.日本料理 保名

有田駅から少し歩いたところにある、日本料理 保名(やすな)

保名1
創業50年を超える老舗は、ギャラリーや茶室なども備えられており、風格を感じさせる佇まいのお店です。
保名2
ご主人が集めた、アンティークの器も展示されています。いずれもかつて伊万里の港からヨーロッパへと旅立ち、再び日本へ帰ってきたもの。輸出用の、少しアレンジされた独特のタッチが印象的です。
保名3
おすすめのお料理は、お昼限定の陶箱弁当。フタに描かれた文様はすべて「寿」という文字の変形書体。 焼く過程で大きさが縮んでしまう陶器は、蓋つきのものを作ることが難しく、特に四角い形は角の部分の処理の難易度が高いそうです。 保名の陶箱は、2重、3重に重ねられるほど精度が高く、有田の職人技を感じることができます。
保名4
フタをパカリと開ければ、旬の食材がぎっしりと品よく収まっています。数えてみると、この日はなんと21種類もの料理が入っておりました。その他にお造りや、椀物、混ぜご飯、ごどうふなども付いてお値段は2500円。一品、一品丁寧に作られた料理や、ご主人が毎日買い付けてくる魚介のクオリティも高く、非常に満足度の高いお食事に仕上がっています。

■日本料理保名
 佐賀県西松浦郡有田町本町丙833-3
 TEL: 0955-42-2733
 営業時間11:30~14:00 17:30~19:30(不定休)
 http://yasuna.net/

4.佐賀牛 福野畜産

佐賀の食を語るうえで外すことのできない、佐賀牛。西有田地区では昔から畜産が営まれており、佐賀牛の生産拠点の一つとなっています。次の有田100年の食に欠かせない食材の生産者の方を訪ねてみることにしました。

福野畜産1
案内してくださったのは、福野畜産の福野隆繁さん。佐賀牛の肥育農家で、約220頭を飼育されています。 有田地域で育てられている牛はもともと「葉隠れ牛」と呼ばれていましたが、葉隠れ牛のみでは安定した供給が難しいため、30年ほど前に佐賀牛に一本化され今に至ります。 佐賀牛とブランドされる肉は、BMSと呼ばれるサシの入り方の指標が7以上(A5等級もしくはA4の最上級)と厳密に定められており、その品質を担保しています。昔は3割ぐらいしか格付けされませんでしたが、生産者の努力により今では5割ぐらいは佐賀牛として認定されます。
福野畜産2
牛の肥育はとても繊細。暑さに弱い牛のために、こまめな温度管理で寒暖差を少なくし、ストレスのない環境を整えます。また、牛舎を清潔に保ち、病気を予防することも重要な作業。日々丁寧に牛の世話をしていくと、自然と肉質の状態などもわかってくるそうです。
福野畜産3
エサは1頭当たり、1日約10kg。専用の配合飼料のほかに、佐賀県産の稲わらも活用しています。稲わらを食べて大きく育ち、その過程で出る糞はたい肥となって、田畑で次の作物の糧となるサイクルが出来上がっています。
福野畜産4
和牛の人気は国内ならず、海外までも広がり、佐賀牛もアメリカや香港へと輸出されています。高まる人気の一方、飼料の高騰や、肉の部位の人気が偏ることなど、課題は山積。とくに生産者が減少の一途を辿っていることが目下の大きな悩みだそうです。誇りをもってできる面白い仕事だから、新しい後継者を育てたい。それが次の100年に向けての目標と福野さんは語ってくださいました。

■佐賀牛についての問い合わせ
 JA佐賀 畜産販売課
 TEL: 0952-25-5211
 営業時間9:00~17:00(土日祝日休み)
 http://www.sagagyu.jp

5.高島豆腐店

山内バイパス沿いに立っている、高島豆腐店は作り立てのごどうふを購入できる工場併設の直売所。

高島豆腐店1
昭和60年頃までは法要の時ぐらいにしか出てこない精進料理としての位置づけでしたが、その後スーパーなどの物流網が整い、日常食へとなっていきました。なので、郷土料理という設定は後付けだとか。 今では、有田エリアのスーパーや飲食店でおいてない店は無いというほどに生活に根付いています。
高島豆腐店2
ごどうふ作りはすべて手作り。豆乳とくず粉を秘伝の配合で混ぜ合わせ、時間をかけて練り上げます。くず粉が入った豆乳は粘りがあり、混ぜるのは大変な力作業。 ごどうふ独特の固さは、お店ごとに個性があり、その硬さの感覚を体で覚えこむのだそうです。原料は家庭でも作れるものですが、配合の塩梅や練り上げの作業の大変さから、有田の奥様方もお店で買われることが大半だとか。
高島豆腐店3
型に流し込んで冷やし固めれば完成。均等に切ってパックに詰めていきます。 やわらかく、ぷるんぷるんと逃げるごどうふを型を崩さないよう、水気を切って詰めるのも技術のいる仕事。 一見当たり前の作業にも職人の技が光ります。ごどうふ以外に、普通のお豆腐はもちろん、油揚げや厚揚げなども製造しています。
高島豆腐店4
店舗限定商品として、黒蜜ごどうふも。地元の高校生がデザインしたパッケージデザインは有田焼の文様を取り入れた有田らしさあふれるお土産。 ごどうふは美味しく食べられる時間が非常に短く、時間がたつほど固くなってしまいます。賞味期限は、わずかに製造から4日。もっちりぷるるんとした魅惑の食感を味わうには、有田や武雄のお店でいただくのが一番。決して派手で目立つ料理ではないけれど、次の100年もいつも生活の傍らにある名物料理として残していきたい逸品です。

■高島豆腐店 山内工場
 佐賀県武雄市山内町大字宮野23451−1
 TEL: 0954-20-7075
 営業時間7:00~17:00 年中無休(年始のみ休業)
 https://www.facebook.com/godoufu/

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