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有田焼と食の魅力を追いかける佐賀美食旅(後編)

  • 2016年12月22日
  • あそぼーさが
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11. かむら

有田の中心部から少し離れたところにある「かむら」は、質の良い「はがくれ牛」がリーズナブルな価格でいただける人気のお店です。レストランと焼肉店を併設していて、県外からも足をはこぶ人も多いのだとか。

かむら1
「はがくれ牛」とは、佐賀県の有田地域(旧西有田町)で生産された牛肉の旧い呼び方です。 一般的に、現在は県内の食肉牛は「佐賀牛」「佐賀県産牛」などとして統合されていますが、ここ「かむら」では地元である旧西有田町の肉を提供することにこだわりを持ち、「はがくれ牛」という名称をそのまま使っているそうです。 (先に訪問した福野畜産も、この「はがくれ牛」の生産地域にあたります。)
かむら2
有田焼の大皿で提供される「はがくれ盛り合わせ」(4800円/2人前)。 ヒレ、ロース、カルビといいとこ取りの部位を集めた盛り合わせです。 やや厚めのカットで、しっかりとサシの入った黒毛和牛ならではのおいしさが楽しめます。 かむら3
スッキリとしたキレのよい脂ときめ細やかな繊維のヒレ肉は、口の中でほどけるような食感。 じんわりと溢れ出す旨味がたまりません。コクのあるロースやジューシーでふわふわのカルビも絶品。それもそのはず。 はがくれ牛は先述の通り佐賀牛であり、その中でも、「かむら」では旧西有田町産のA5等級の牛肉にこだわっているからです。 有田地域は黒髪山系、竜門峡などの水源に囲まれ、水質が良いといわれています。 水の良いところで育つ食肉は脂の質が良くなるといわれており、このスッキリとしながらコクのある味わいは、水質の良い証とも言えるでしょう。
かむら4
焼肉のタレは30年レシピを一切変えていないというこだわりのタレ。
ニンニクやごまの効いたタレは肉の脂の甘みを引き立てます。

「かむら」は創業50年、社長が一代で築き上げたお店ですが、<有田の次の100年>を考えたときにやはり後継者不足という問題は避けて通れないようです。 こうした話は各所で耳にしますが、このような地元ならではの食材をいただけるお店はぜひとも次世代に向けてつないでいって欲しいと思います。

■かむら
 佐賀県西松浦郡有田町下本乙2504
 TEL: 0955-46-3310
 営業時間 11:00~22:00 木曜定休
 

12.有田陶磁の里プラザ

「有田陶磁の里プラザ」は有田焼を専門に扱う商社が集まる卸売団地。 日常使いの器から超高級品まで、有田の窯元から生まれた様々な器が取り揃えられています。 全部で24店舗あり、一般の方でも気軽に立ち寄りお買い物できるスポットとなっています。

有田陶磁の里プラザ1
大きな通りを挟んで左右に店舗が軒を連ねており、それぞれショールームのようになっています。 商社ならではの品揃えが魅力で、のぞいて回るだけでもかなり見ごたえがあります。 中には破格のアウトレット商品などもあり、掘り出し物を探しに遠方から訪れる人もいるそうです。
有田陶磁の里プラザ2
その中の1軒、「まるぶん」に立ち寄りました。
有田400年の伝統に培われた技術を生かし、現在の生活様式に合うデザインや機能性を備えた器を提案しているそうです。 明るく広々とした店内はシリーズごとに簡単なテーブルコーディネートとして展示され、実際に使う時のイメージがしやすいです。
有田陶磁の里プラザ3
「究極のラーメン鉢」シリーズはTV番組の企画から生まれたもので、「家庭でインスタントラーメンをおいしく食べるための器」をコンセプトにデザインされました。 このラーメン鉢にそれぞれの窯元が独自に絵付けや釉薬がけを行い、窯元の個性が感じられるバリエーション豊かなラーメン鉢ができあがりました。 有田の泉山陶石を使った白い素地を生かしたデザインは凜とした潔さがあります。
有田陶磁の里プラザ4
有田やその周辺のお店を巡ってきて気づいたのは、有田焼の器というのはあまりにも地元の人々の日常に根付いているという事でした。「有田の人にはそれぞれマイ茶碗があり、小さな子供でさえ自分のお茶碗を愛着を持って大切に扱う」などという話を聞くと、日常の器でありながらも特別な存在なんだと感じました。アウトレットコーナーで、余白のある蔓花模様の大皿と、モダンな縞模様の蓋付き小鉢を買いました。自分にとって特別な器に育てて行けたらと思います。

■有田陶磁の里プラザ
 佐賀県西松浦郡有田町赤坂丙2351番地170
 TEL:0955-43-2288
 営業時間 9:00~17:00 年中無休
 http://www.arita.gr.jp/index.html

13.龍泉荘 奥の院 木もれ陽

有田の水源を支える竜門ダムの支流となっている龍門峡沿いに、「龍泉荘」という川魚料理を専門にした料亭があります。その奥に、「木もれ陽」という、くつろぎのカフェがありました。
料亭の別棟に併設されたカフェながら、ラテアートのチャンピオンが在籍しているという本格派のこだわりが感じられるお店です。

龍泉荘 奥の院 木もれ陽1
入口は趣のある門構え。
竜門峡に架かる橋を越えたその先に、奥の院「木もれ陽」がありました。
龍泉荘 奥の院 木もれ陽2
店主は「UCCバリスタ九州大会2015」で優勝したラテアートのスペシャリスト。
きめ細かなフォームミルクで表現される美しいラテアートは必見です。
コーヒーには、日本名水百選にも選ばれた竜門峡の湧き水を使用し、その口当たりの良いおいしい水に合わせてコーヒーを生豆からブレンド、自家焙煎をしています。 8時間かけて落とす水出しコーヒーもオススメ。テラスから見下ろす竜門峡の湧き水を使い、コクとナッツのような香ばしいコーヒーはスッと体に入っていきます。おいしい水の贅沢な楽しみ方ですね。
龍泉荘 奥の院 木もれ陽3
さて、こちらでも佐賀牛のお料理がいただけます。
「木もれ陽バーガー」は佐賀牛のステーキ用肉を使用したパティをサンドした贅沢なバーガー。
佐賀牛100%で、柔らかくジューシーな肉の旨味がたっぷり楽しめます。 バンズはバーガーに合わせて作られており、あっさりとして肉の食感や味わいを邪魔しない味。 もちろんお皿もさりげなく有田焼が使われています。
龍泉荘 奥の院 木もれ陽4
バンズのみならず、パンも人気で週末には遠方から噂を聞きつけて買いに来る人もいるほど。
天然酵母を使用し時間をかけて作られたパンは、ふんわりと酵母が香り味わい深く、シンプルなパンだけでなく、菓子パンや惣菜パンでもおいしくいただけます。

■龍泉荘 奥の院 木もれ陽
 佐賀県有田町広瀬山甲2373-4
 TEL:0955-41-2525
 営業時間 10:30~19:00(L.O.18:30)木曜定休、年末年始休
 http://www.ryusenso.jp/komorebi/index.html 

14.嬉茶楽館

「嬉茶楽館」は嬉野茶の品質向上と普及を目的とした施設となっており、品評会出品用のお茶を作ったりする他、茶摘みのシーズンには一般の方も茶摘み体験や手もみ体験、お茶の淹れ方講座などが体験できます。

嬉茶楽館1
佐賀県の名産品でもある嬉野茶の歴史は古く、今から約580年前までさかのぼります。
永享12年(1440年)に中国大陸から渡ってきた唐人が陶器を焼く技術と共に、嬉野の地に自家用茶の栽培技術をもたらしたとされています。その後、永正元年(1504年)に南京釜での釜煎り茶の製法が伝わると、佐賀藩の吉村新兵衛が嬉野の地での茶樹栽培と製茶の普及に力を入れ、嬉野茶の誕生のきっかけとなったそうです。江戸時代の幕末には長崎の出島を通じて嬉野茶は海外へ輸出されていました。
嬉野茶の一番の特徴は「釜煎り」というその製法にあります。
通常は生茶葉を蒸してから茶揉みしますが、「釜煎り茶」は生茶葉を直接高温の釜で炒ります。
嬉野の炒り釜は「傾斜釜」と呼ばれており、釜を斜めに傾斜させることで製茶効率をあげる改良がなされています。
釜底が400℃になった時に生茶葉を投入し、そのまま12分ほど葉を炒った後、むしろに広げて手で茶葉を揉んで行きます。揉んだ茶葉は6時間ほど干すと水分が抜け、製品として加工する前の状態である「荒茶」に仕上がったときには1/5くらいの重さになっているそうです。
嬉茶楽館2
実際は手作業で行うのは体験時のみで、荒茶への加工は大型の機械で行われています。
大まかな工程は同じですが、9つの機械を通って炒ったり揉んだりされていきます。 またこちらの工場では別のラインで蒸し製玉緑茶も作られています。 そして荒茶に乾燥や分別・ブレンドという加工を施し、製品としてのお茶ができあがります。 新茶は毎年8月に全国規模の品評会が行われ、9月にその結果を受けて入札が行われます。
そして品評会入賞茶として店頭に並ぶのだそうです。 嬉野茶は蒸し製玉録茶で平成21〜25年まで5年連続農林水産大臣賞を受賞しており、その後も地域賞などの受賞を続けています。
捻れておらずくるりと丸まった勾玉型の茶葉が特徴で、まろやかで旨味の強いお茶です。 一方、釜炒り茶は茶葉そのものの水分で炒るので大変に香りが良く、のどごしの良いお茶になっています。
嬉茶楽館3
こうして高品質なお茶作りの努力がなされている嬉野茶ですが、やはり農業従事者の高齢化は避けて通れない問題のようです。茶園の後継者がおらず、耕作放棄地になってしまうと、嬉野茶の生産量も減ってしまいます。 また、お茶の需要がペットボトルに取って代わられつつあり、お茶専門店で販売するような品質の良いお茶を作っても、その需要がなければ生産者のモチベーションも下がってしまうといいます。
580年の嬉野茶の歴史を次の100年に向けて繋いでいけるよう、いいものを知りその理由や背景を知るという努力をしていかなければならないのかも知れません。
嬉茶楽館4
工場見学の後は、お茶風呂に入れるという「茶心の宿 和楽園」に立ち寄りました。
急須から流れ出るお湯はなんと本物のお茶!茶処嬉野が温泉地だからこそできる贅沢です。このほかにも「茶心の宿 和楽園」では、滞在中の様々なシーンに合わせたお茶を提案してくださるそうです。めいっぱい嬉野のお茶を満喫できて、嬉しい旅になりそうです。

■嬉茶楽館
 佐賀県嬉野市嬉野町大字岩屋川内乙2713
 TEL:0954-43-5266
 営業時間 [開館時間] 8:30 ~17:00、[体験時間] 10:00 ~16:00
 土・日、祝日、年末年始休館
 https://jasaga.or.jp/information/archives/180

■嬉野温泉 茶心の宿 和楽園
 佐賀県嬉野市嬉野町下野甲33
 TEL: 0954-43-3181
 http://www.warakuen.co.jp/index.html

15.武雄センチュリーホテル

2009年から2015年にかけて、武雄市には「いのしし課」がありました。(現在は農林課に統合されていますが)その「いのしし課」、イノシシによる農作物への深刻な被害を防ぎ、地域の資源として活用する取り組みを模索する中で作られた課なのだそうです。 武雄地域鳥獣加工処理センター「やまんくじら」と連携し、捕獲したイノシシを食肉として加工、「武雄パルファム」として食肉をブランド化しました。 その武雄パルファムを使ったメニューが食べられるのが「武雄センチュリーホテル」です。

武雄センチュリーホテル1
「武雄パルファム」は12/15〜3/15の期間に捕獲された雌のイノシシを、武雄市の管理のもと解体し、独自の熟成を行ったイノシシ肉です。
イノシシ独特の獣の臭みが感じられず、今までのイノシシ肉のイメージを塗り替えるような、本格派ジビエブランドです。 武雄センチュリーホテルでは、1FのラウンジTIFFANYと2FのToukaenで味わうことができます。
武雄センチュリーホテル2
1FのTIFFANYでいただけるのが、武雄パルファムバーガー。
「武雄パルファム」を100%使用したという肉厚のパティにナスを合わせているのが印象的。 あっさりした赤身の肉質にスパイスをしっかりと使っており、全く臭みは感じられません。 全体を引き締めるマスタードソースが良いアクセントとなっています。 「武雄パルファム」は何も知らされなければ、イノシシ肉とは気付かないかも知れません。そのくらい食べやすく、旨味の濃い肉でした。
武雄センチュリーホテル3
一方、2FのToukaenでは、カレーがいただけます。
「武雄パルファム」は柔らかく煮こまれ、赤身の繊維質と脂の層がふんわりとほぐれます。 辛さは控えめで、子供からお年寄りまで食べやすい味になっています。 実はこのカレーは、レトルトカレーとしても販売されており、カレーに合わせた「さがびより」という県産のお米とのセットを同ホテル内のギフトショップで購入することができます。 ふるさと納税でも人気の商品なのだとか。 ご当地ジビエブランドとして作られた「武雄パルファム」を気軽に楽しむのに、ハンバーガーやカレーはピッタリですね。

■武雄センチュリーホテル
 佐賀県武雄市武雄町武雄4075-13
 TEL:0954-22-2200
 http://www.mirokuresort.com/

一般社団法人 佐賀県観光連盟
〒840-0041 佐賀県佐賀市城内1丁目1-59
Tel:0952-26-6754, FAX:0952-26-7528
お問い合わせ © Saga Prefectural Tourism Federation.

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