サイト内
ウェブ

「事業仕分け」 詳細解説

読み:
じぎょうしわけ
英名:
Budget Screening

2009年の政権交代で与党となった民主党の鳩山政権は、国の予算や制度、行政などのあり方を国民の目線に立って刷新する機関として、新たに行政刷新会議を設置。その最初の大きな仕事となったのが、各省庁から提出された2010年度予算要求について事業の必要性を精査し、歳出の見直しなどを行う「事業仕分け」だ。事業仕分けはもともと、民間の非営利組織である構想日本が、2002年から地方自治体や国の事業などを対象として行っていたもので、同団体の提案を受けて政府が採用した。

行政刷新会議は事業仕分けの実施にあたり、1) 既存の予算でも外部の視点を入れて「そもそも必要か」どうかを議論、2) 予算執行の実態を踏まえてチェック、3) 予算編成における透明性の徹底、4) 全府省政務3役の協力、5) しがらみからの開放―の5点を重視。次の4つのいずれかが乏しい事業については、見直しを行うこととした。1) 事業目的が妥当性や財政資金投入の必要性、2) 手段としての有効性、3) 手段としての効率性、4) ほかの事業と比べた緊急性。そして、分野別に3つのワーキンググループを設置。同会議の議長が指名した評価者(いわゆる「仕分け人」)が、WGごとに評価を行った。

事業仕分けは、2009年11月に東京・新宿にある国立印刷局市ヶ谷センターの体育館を3会場に分けて、公開でのべ9日間にわたって行われた。このうち、環境省の事業についての仕分け結果をみると、温暖化防止国民運動推進事業のうち「地球温暖化防止活動推進センター等基盤形成事業」と「一村一品・知恵の環づくり事業」などが「廃止」と判定された。また、生物多様性国民運動などの事業が、縮減すべきであると判定された。さらに、国内排出量取引推進事業のうち「温室効果ガスの自主削減目標設定に係る設備補助事業」については、予算計上を見送るべきであるとされた。

各分野についての仕分け結果を受けて、政府は2010年度予算の概算要求額を総額で6900億円程度削減するよう、関係閣僚に指示した。それでも、概算要求から3兆円以上削減するという当初目標を大きく下回り、結局、政権交代後初となる2010年度予算案は92兆2992億円となった。事業仕分けについては、これまで財務省と関係省庁などの間で行われてきた予算編成の作業が、一般市民の目に見える形で行われたことを高く評価する意見が多い。一方で、限られた時間で事業の必要性を判断することに対して、結論を出すのが早すぎるという批判の声もある。鳩山総理大臣や関係閣僚は、事業仕分けを今後も行っていく意向を明らかにしている。

キーワードからさがす

gooIDで新規登録・ログイン

ログインして問題を解くと自然保護ポイントが
たまって環境に貢献できます。