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「小笠原諸島」 詳細解説

読み:
おがさわらしょとう
英名:
Ogasawara Islands

小笠原諸島は、東京湾から約1000km南方の海上に、南北約400kmにわたって散在する大小30ほどの島々の総称だ。父島、母島、聟島(むこじま)の3つの列島からなる小笠原群島と、火山列島、周辺の孤立島からなり、面積はこれらを合わせて約105平方kmに及ぶ。東京都小笠原村に属し、父島には約2000人、母島には約500人が住む。亜熱帯に位置し、年間平均気温は23度と温暖である一方で、降水量は少ない。また、小笠原の南島や母島の一部では、石灰岩が侵食・風化してできる「カルスト地形」がみられる。

小笠原諸島の最大の特長は、その特異な生態系だ。島が誕生して以来約4800万年から4400万年経つが、ガラパゴス諸島と同じように一度も大陸と地続きになったことがない海洋島であり、ここにしかいない固有の動植物が多く生息・生育している。このため、「東洋のガラパゴス」と呼ばれる。また、陸に住む貝や昆虫、植物などの中には、進化の過程にあると思われるものもいることから、「進化の実験場」との異名ももつ。

小笠原諸島には、オガサワラオオコウモリやクロアシアホウドリなど多くの希少種が生息している。また、植物や魚類にも固有種が多くみられる。さらに、周辺海域にはイルカやクジラがいて、日本最大のアオウミガメの産卵地でもある。政府は、独特な自然環境と生物多様性に恵まれたこの島を、世界遺産として登録することを目指した。その結果、2011年6月にユネスコ(国際連合教育科学文化機関)により世界遺産一覧表に記載された。日本における世界自然遺産は、屋久島白神山地知床に続き4番目となる。

小笠原諸島の自然に魅せられて、年間に2万人を超える観光客が定期船で訪れ、ダイビングやホエールウォッチングを楽しんでいる。また、エコツアーも盛んに行われている。その一方で、小型のトカゲであるグリーンアノールをはじめとする外来種による被害が深刻化している。世界遺産として登録されたことで、自然環境がよりよい形で維持管理されることがいっそう求められるようになった。国と都は、島民や観光客などと連携・協力しながら、外来種対策など生態系の保全・管理対策を進めている。

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