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「マイ箸」 詳細解説

読み:
まいはし
英名:
My Chopsticks

自分用にもち歩いて使う箸のこと。近年、マイ箸を推奨する運動やキャンペーンが行政や企業、市民などにより行われ、マイ箸をもつことが一種の流行になりつつある。箸は、中国や日本など主にアジアの国で、食事の際に食べ物をはさみ取るのに使う木や竹でできた細長い2本の棒で、古事記にも箸に関する記述がある。かつて飲食店では、洗ってくり返し使う塗り箸が使われていたが、昭和に入って割り箸の大量生産が可能になり、割り箸が外食産業の間に広がった。その後、衛生面の配慮も手伝って割り箸の需要が拡大し、国内だけではなく海外からたくさんの割り箸が輸入されるようになった。

箸と環境問題との関係についてはさまざまな主張や意見があり、これまで何度か議論が起きた。大きく分けて、割り箸は衛生的なだけでなく、間伐材や端材を使ってつくるため資源の循環利用に役立つという考え方と、割り箸は基本的には使い捨てであり、原料となる木材は国内ではなく途上国や新興国の森林などを伐採して調達することが多いため、使用を減らすべきであるという意見だ。実際に、日本国内で割り箸は年間約250億膳使われていて、そのほとんどが輸入品だ。このような世論を受けて、マイ箸の先駆けと言える「持ち箸運動」が起きたこともある。このほか、広告つき間伐材割り箸の「アド箸」を進める動きもある。こうした背景もあって、マイ箸の推進運動と割り箸の使用自粛は同じ土俵で議論されることが多かった。

行政の対応を見ると、環境省は、2008年版の環境/循環型社会白書の中で、割り箸を使い捨て文化や森林破壊の元凶として批判するだけでなく、国産材の端材を使ってつくった箸を購入することは資源の有効活用につながり、国内の森林整備に役立つという見解を示している。また、若者を対象に行われた生活様式の変革などを勧める音楽ライブイベント「Re-Style LIVE」では、マイ箸の利用による割り箸の削減などが推奨された。箸と環境をめぐる立場や考え方は多様化しているが、食事に用いる身近な道具である箸から、環境問題を考え、行動につなげようという姿勢は共通しており、さまざまな取り組みが行われている。

環境省が2006年にまとめた「地域における容器包装廃棄物―3R推進モデル事業」では、早稲田大学による「キャンパスとその周辺地域における3R推進コミュニティモデル事業」が紹介されている。その中で、3R促進プログラムの一環として、マイ箸に関する取り組みをあげている。また、林野庁は、暮らしに国産材の製品を取り入れて森を育てる「木づかい」を広報、普及するホームページ「国産材、使って減らそうCO2」で、国産材を原料としたマイ箸を販売するコンビニエンスストアの取り組みを紹介している。ちなみに、同じページの中で、家庭でできる取り組みとして国産材利用による割り箸も紹介している。また、民間の取り組みとして、企業やNPOによる運動やキャンペーンも盛んに行われており、マイ箸をもつ人のネットワークの「マイ箸クラブ」や、端材から箸をつくるワークショップを行うNPO法人もある。マイ箸は日本発の環境への取り組みとして、海外にも紹介されつつある。

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