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「花粉症」 詳細解説

読み:
かふんしょう
英名:
Pollinosis

スギなど植物の花粉が飛ぶ季節に、その花粉を主な原因として鼻炎、結膜炎などのアレルギー反応が引き起こされる症状を花粉症という。人間の体には、細菌やウィルスなどの外敵から身を守る免疫反応があるが、この免疫反応が花粉に対して過剰に反応してアレルギーを起すのが花粉症だ。花粉がヒトの鼻や目から体内に入ると、体が花粉を外に出そうとしてくしゃみで吹き飛ばし、鼻水や涙で洗い流そうとする。これが症状として現れる。

花粉症は、アメリカやヨーロッパなどの先進国で早く現れ、日本では1960年にブタクサの花粉症が、1964年にはスギ花粉症の症例が報告され、70年代以降スギ花粉症が急増し、国民病と呼ばれるようにまでなっている。環境省の「花粉症環境保健マニュアル2009」によると、日本で花粉症をもつ人の数は約30%にもなる。主な花粉の飛散時期は、スギやヒノキなどの樹木は春に、カモガヤ、オオアワガエリなどイネ科の植物は初夏に、ブタクサやヨモギなどキク科の植物は真夏から秋口になっている。このため、1年を通じて花粉症を引き起こすアレルギー源が存在していることになり、地域によってその種類や時期は異なる。

スギ花粉症が増加した背景には、第2次世界大戦で失われた森林資源を回復するために、大量にスギが植林され、それが30年以上経って大量のスギ花粉を飛散させていることがあげられる。スギは日本特有の木であるため、スギ花粉症が問題となっているのは日本だけであると考えられる。また、温暖化の影響で花粉が多量に発生しているという説もある。一方、花粉を原因とするアレルギーが60年代以降発症した理由については、日本人の食生活が欧米化し、脂肪分の取り過ぎによって体質が変化したことや、ディーゼル排ガスなどの大気汚染との相乗効果、寄生虫を退治したことなどさまざまな説がある。

こうした状況を受けて、近年、花粉症に対する治療法の研究が進められている。抗アレルギー薬の内服を基本とする薬物療法では、花粉が本格的に飛散する2週間前からの服用が効果的とされている。また、アレルギー体質を改善するための漢方薬や食事療法なども行われている。しかし、花粉症を完治させることは現在ではまだ難しいため、まずは、花粉に身をさらさないことが重要だ。最近は専用のマスクや花粉が落ちやすい衣服用の繊維など、花粉対策用品が多く開発、販売されている。一方、花粉の少ないスギの植樹なども進められている。

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