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「水素ステーション」 詳細解説

読み:
すいそすてーしょん
英名:
Hydrogen Station

水素と酸素を化学的に結合させて電気を起こす「燃料電池」でモーターを回して走る燃料電池車(FCV)は、電気自動車(EV)などに続く次世代エコカーの本命として期待されている。トヨタやホンダなどの自動車メーカーが研究開発に力を入れ、2014年度中に一部で販売開始される予定もある。FCVは、水素を生活や産業活動で利用する「水素社会」の中核を成す技術のひとつだ。その一方で、FCVを本格的に普及させていくには、自動車単体の技術開発だけではなく、貯蔵した水素をFCVに充填する「水素ステーション」の整備が不可欠だ。電池に供給する酸素は空気中から得られるが、水素は外から補給する必要があるためだ。

ステーションは、昇圧した水素を蓄圧機に貯蔵し、高圧ディスペンサーによりFCVの車載タンクへ供給する一連の技術・設備で構成される。日本では、2002年に水素燃料電池実証プロジェクト(JHFC)の下で実証が行われて以来、技術開発が進められてきた。大きく分けて、工場で製造した圧縮水素を受け入れる貯蔵・充填するオフサイト型と、灯油やLPガス、天然ガスなどの原料をステーションで改質して水素を取り出すオンサイト型の2種類がある。自動車メーカーとエネルギー事業者などは2011年1月に、FCV量産車を2015年までに国内市場へ本格導入するとともに、4大都市圏を中心にステーションを整備する内容の共同声明を発表した。

2013年6月に閣議決定された日本再興戦略は、2015年にFCVを市場投入する前提として、4大都市圏を中心に100カ所のステーションを整備するという目標を掲げた。この目標は、2014年4月に閣議決定されたエネルギー基本計画でも確認されている。ただし、2014年6月の時点で設置が決まっているステーションは、既設・予定を合わせて30件ほどだ。こうした中、経済産業省は2014年6月に「水素・燃料電池戦略ロードマップ」を公表した。同省の水素・燃料電池戦略協議会における検討結果を受けて、水素利用に関する方向性や目標などを示した行程表だ。ステーションの整備については、日本再興戦略の目標を確認しつつ、それ以降の目標設定を先送りした。

また、FCVの販売はステーションの整備状況にかかっている半面、ステーションの運営はFCVの販売状況に左右される、「鶏が先か、卵が先か」のような関係にあると指摘。自動車メーカーあるいはインフラ事業者のどちらかだけに負担が生じることのないように、普及を見込める地域でステーションを集中整備するなどの工夫が必要であるとしている。さらに、水素に関する安全及び安心を確保するため、実証ステーションで発生した障害や対処策などの情報をデータベース化し、運営事業者が運用や保守点検に活用できるツールを作成し、提供することが重要であるとしている。

規制面では、ステーションの整備コストを低下させるため、高圧ガス保安法に基づく規制緩和が進められている。具体的には、経産省が、圧力容器などの材料の設計基準や、使用可能鋼材、水素保有量の制限、公道との距離などの規制を見直している。

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