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「ビルエネルギー管理システム(BEMS)」 詳細解説

読み:
びるえねるぎーかんりしすてむ
英名:
Building and Energy Management System

オフィスビルや学校、公共施設などの建築物では、多くの人が仕事をしたり学んだりしている。それだけに消費される電気やガスなどのエネルギーの量は膨大で、ビルの省エネ節電、省資源にいかに取り組んでいくかが、低炭素で持続可能な社会を実現するためのカギとなる。ビルエネルギー管理システム(BEMS)は、照明や空調などオフィスビルなどで用いられるエネルギー機器・設備の運転やエネルギー使用状況を監視・管理することで、ビル全体の省エネ制御を一元化するシステムだ。

BEMSを導入することにより、ビルで利用されるエネルギーが「見える化」され、ビルオーナーは熱や空調などビルのエネルギー使用量を把握して適正に管理することができる。その結果、省エネの促進やエネルギー利用効率化による二酸化炭素(CO2)の効果的な削減が可能となる。従来はビル管理システムの一環としてビル内のシステムとして利用されていたが、IT化の進展に伴いネットワークを通じて外部から監視や管理を行うサービスが増加している。これにより、ビル単体で最適なエネルギー制御を行うだけでなく、複数のビルをまとめて最適なエネルギー制御を行うことも可能となった。

省エネ法には、エネルギーの使用に関する判断基準として、BEMSを活用したエネルギー消費動向の把握や総合的なエネルギー制御の実施などが盛り込まれている。また、2011年3月に資源エネルギー庁が公表した「省エネルギー技術戦略2011」の中でも、BEMSは重要分野の基幹技術として位置づけられている。こうした動きを追い風として、BEMSを導入する企業が急増している。

ビルオーナーがBEMSを導入するもう一つの理由が、経費節減だ。光熱費やランニングコストは、オフィスビルの運営や維持にかかる経費のなかでも最も大きい。ビル全体のエネルギー消費を管理・監視して適正に運用するBEMSは、省エネとコスト削減を同時にかなえるための最適なシステムだ。(独法)新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、BEMSの導入を支援する「住宅・建築物高効率エネルギーシステム導入促進事業」を実施している。対象は、ビルオーナーやESCO事業者、エネルギー管理事業者、リース事業者などだ。

同事業を活用してBEMSを導入した事業者数は480件を超え、補助金の総額は150億円以上に上る。新築の事例としては、東京・千代田区の秋葉原UDXは空調・照明・換気の制御をBEMS装置で行い、2008年度のエネルギー使用量を前年度比で12.5%削減することに成功した。同ビルの場合、中央監視装置が収集したエネルギー消費傾向などのデータを、BEMSにより表やグラフに加工した結果、エネルギー使用量の把握や省エネ効果の検証につながった。一方、既存物件でも、大阪市の新梅田シティや、東京・千代田区の霞が関ビルなど多くのビルが、BEMSにより高い省エネ効果をあげている。

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