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「火力発電」 詳細解説

読み:
かりょくはつでん
英名:
Thermal Power Generation

火力発電(以下「火力」という)は、わが国のエネルギーの電源構成で約7割を占める主力電源だ。火力は、通常、石炭、石油、天然ガス(LNG)などの燃料をボイラーで燃やして得られる、高温高圧の蒸気でタービンを回して発電する。このほかに、ディーゼル機関を使った内燃力発電、ガスタービン発電などもある。電気の使用状況は、たとえば、夏の深夜の需要量は昼間の50%以下であるように、時間帯や季節によって差異が大きい。火力はこのような需要の変化に合わせた出力調整が容易にできることが利点とされている。

日本の火力は、1887年に日本橋茅場町に設置されたことに始まる。わが国の電源開発は、当初は水力発電を中心に進められていたが、第2次世界大戦後に火力による発電技術が著しく発達した。また、1960年代以降の高度経済成長に伴う電力需要の急増と発電設備の信頼性の向上などによって、火力が電源開発の中心となった。その後、1973年度の第1次石油危機を機に、原子力、石炭火力、LNG火力などの石油代替電源の開発が積極的に進められ、電源の多様化が図られた。

一方、石炭や石油などの燃料を燃やして発電するため、燃焼に伴って二酸化炭素(CO2)や硫黄酸化物、窒素酸化物、粒子状物質などが排出されて大気汚染などを引き起こすため、環境保全の面から問題視されるようになった。そこで、これらの温室効果ガスや大気汚染物質などの排出量を低減させるための技術開発が進められた結果、粒子状物質を低減する電気集塵機、排煙脱硫装置など、環境負荷を低減する装置が開発され、その技術力は世界のトップとされている。

これと併行して、火力の燃料を二酸化炭素の排出量の多い石炭、石油からLNGに変えるなどの対策を講じ、単位あたりの二酸化炭素の排出量の低減を図っている。一方、石油や天然ガス、石炭などの化石燃料は有限であるため、再生可能エネルギーの開発や省エネの進展などが望まれている。また、東日本大震災に伴う事故を受けた原発の運転停止により、火力の割合が大幅に増加している。

近年、石炭を効率よく使って環境への負荷を大幅に減らす技術であるクリーン・コール・テクノロジー(CCT)など、新たな火力の開発が進められている。

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