A: バイオミメティクスを応用した技術や製品は、私たちの身近なところにもある。繊維や衣料品の分野では、美しい色彩や、撥水・防汚などの機能性、柔軟性などをもつ動植物に学ぶことは古くから行われてきた。衣服やかばんなどに用いられている面ファスナー、製品名「マジックテープ」が植物のトゲの構造にヒントを得て開発されたのは有名な話だ。住宅材料の分野でも、カタツムリの殻がもつ防汚性能に着目した研究開発が進められている。また、コンタクトレンズや粘着テープの中にも、バイオミメティクスを応用した製品がある。
A: 自然や動植物に学んで技術を発展させるバイオミメティクスの歴史は、製品や技術の高効率化を目指す試行錯誤の歴史でもある。近年は化学や材料だけでなく、環境やエネルギーの分野でも注目されている。たとえば、植物の光合成をつかさどるチラコイドという生体構造を参考にしたカーボンナノチューブという構造体により、人工光合成を成功させようという研究が行われている。実現すれば、太陽光発電など再生可能エネルギーの分野で大いに役立つと期待されている。