2025/03/09 10:01 ウェザーニュース
この1週間に国内で観測された有感地震の回数は、前週に比べると少ない水準です。関東の陸域を震源とする地震がやや目立ちました。震度3以上の地震は4回発生しています。(3月3日〜9日10時の集計)
9日(日)3時54分頃、奄美大島近海を震源とするマグニチュード5.8、深さ約60kmと推定される地震が発生しました。この地震で鹿児島県奄美市と喜界町で最大震度4、瀬戸内町、十島村で震度3の揺れを観測しています。
奄美大島近海が震源の震度4以上の地震は昨年3月以来、約1年ぶりです。周辺では地震活動が活発になっていて、8時43分頃にはほぼ同じ震源でマグニチュード5.8の地震が起き、最大震度3を観測しました。
この領域はフィリピン海プレートがユーラシアプレートに沈み込むことで地震が多く発生しています。今回の地震は速報値で深さ約60kmで、プレート境界よりも若干深いことから、プレート内部で起きた地震の可能性があります。
今回の震源近くでは2006年にマグニチュード6.0、1997年にマグニチュード6.2の地震が発生していて、いずれも最大震度4を観測しました。
6日(木)12時58分頃、和歌山県南部を震源とするマグニチュード4.0、深さ32kmと推定される地震が発生しました。この地震で奈良県十津川村で最大震度3、和歌山県や三重県、奈良県など紀伊半島を中心に震度2の揺れを観測しています。
和歌山県南部を震源とする地震で震度3以上を観測するのは2021年5月以来、約4年ぶりです。地震のメカニズムは北北西ー南南東方向に張力軸を持つ正断層型で、横ずれ成分を含んでいます。
和歌山県南部は北部に比べて大きな地震が多くはありません。大きなものでもマグニチュード4〜5クラスの地震が大半です。ただ、1950年には今回よりも東側の領域でマグニチュード6.5の地震が起きた記録があります。
アメリカ地質調査所の解析によるマグニチュード6以上の地震は1回発生しています。最も大きな地震は南米チリで発生したマグニチュード6.1です。
日本時間の7日(金)未明にチリ北部を震源とするマグニチュード6.1、深さ約94kmと推定される地震が発生しました。震源が深めだったこともあり、震央周辺でもさほど大きな揺れにはなりませんでした。地震のメカニズムは西南西ー東北東方向に張力軸を持つ正断層型と解析されています。
チリではナスカプレートが南米プレートの下に沈み込むことによる地震が多い領域です。今回の地震は正断層型のメカニズムで、プレート境界型とは違うタイプとみられます。今年の1月にはマグニチュード6.1の似たタイプの地震が発生していました。
チリの被害地震は沿岸で発生するマグニチュード7以上の大きな地震が大半を占めています。ただ、今回のようなやや深い地震でも2005年6月のようにマグニチュード7.8の規模になると揺れも大きくなり、被害につながることがあります。
出典・参考
※日本国内の震源・震度の情報は特に記載が無ければ気象庁より。海外の震源情報は特に記載が無ければアメリカ地質調査所(USGS)より。発表機関により震源情報に差が生じることがあります。