
今や日本の国民食として愛されるラーメン。関東圏にはおよそ3000軒が存在し、それぞれの個性やこだわりを詰め込んだラーメンを提供している。
多種多様なラーメン店の中から、特におすすめの店舗を沿線ごとに紹介する当連載。今回は西武新宿駅から本川越駅までを結ぶ西武新宿線沿いから5軒をピックアップした。激戦区の新宿・高田馬場エリアから埼玉の穴場まで、気になるお店で至高のラーメン体験を!
■【新宿】人気の味噌らーめん専門店の最新店「麺場 田所商店 新宿西口店」
関東をはじめとする日本国内、さらにはカナダといった海外でも人気を博し、国内184店舗・海外10店舗(2025年2月現在)を展開する「味噌らーめん」の専門店。2024年11月にオープンした「麺場 田所商店 新宿西口店」は東京では最新となる店舗だ。
「北海道味噌 味噌漬け炙りチャーシュー麺」(1397円)※価格は店舗により異なる / 田所商店
お店は“味噌屋の息子”が、日本古来の調味料・味噌のよさを知ってほしいと開業したのがはじまり。豊かな味わいを醸し出し、豊富な栄養素を含む味噌の魅力を、自慢の「味噌らーめん」で存分に堪能できる。
全国各地から選りすぐりの味噌の中からさらに吟味し、各店で3種類の「味噌らーめん」を提供。バラエティー豊かな味噌の味や香りを楽しめるようにと、こだわった田所商店流のスタイルだ。
奥深い味わいを出す「北海道味噌」を使用 / 田所商店
「新宿西口店」では、辛口で濃い米味噌「北海道味噌」、中辛口の豆味噌「伊勢味噌」、甘口の米味噌「江戸前味噌」を使ったメニューを基本の味として用意。それぞれの味わいを生かしたラーメンを提供している。
チャーシューは提供前に両面を直火で炙ってトッピング。肉や味噌の旨味と香ばしさがたまらない / 田所商店
北海道にちなんだフライドポテトものる / 田所商店
ダントツNo.1の人気を誇るのが「北海道味噌 味噌漬け炙りチャーシュー麺」。力強いパンチの効いた北海道味噌のコクと、奥深い味わいが感じられる定番の一杯となっている。
【写真】力強いパンチの効いた北海道味噌のコクを堪能!スープの旨味を逃さない中太縮れ麺を合わせる / 田所商店
長時間じっくり煮込み、特製味噌をまんべんなく染み込ませ、丁寧に焼き上げた豚肉の炙りチャーシューが好評。提供直前に炙ることで芳醇な香ばしさがプラスされる。トッピングはチャーシューに加え、香ばしくカラッと揚げたフライドオニオン、特製肉味噌などがある。
「味噌漬け煮玉子」「超バター」「肉ネギ」といったトッピングを追加して、ボリュームアップするのもおすすめ。季節限定メニューも要チェックだ。
新宿駅西口から国道4号線を代々木方面へ。徒歩4分ほどで着く / 田所商店
■麺場 田所商店 新宿西口店
住所:東京都新宿区西新宿1-3-13 I&Kビル/電話:03-6302-0677/営業時間:11時~22時30分(LO22時)、金・土曜11時~23時(LO22時30分)/定休日:なし/支払い方法:現金、クレジット、交通系ICほか
■【高田馬場】シングルスープに凝縮された豚骨魚介の圧倒的旨味を体感!「渡なべ」
ラーメン店がひしめき、都内でも激戦区として知られる高田馬場で、ぜひ食べておきたいのが「渡なべ」の一杯。
「らーめん」(1200円) / 渡なべ
「神保町 可以」(神田神保町)、「六坊担担面」(南池袋)の経営のほか、さまざまな店舗プロデュースにも携わるラーメンコンサルタント・渡辺樹庵氏が手がけたお店で、同店は2002年オープン。創業以来20年以上にわたり、激戦区で残り続ける“本物の旨さ”をぜひ堪能してほしい。
8席のカウンターのみ。店内に漂う魚介の香りが食欲をそそる / 渡なべ
創業以来、一貫して作り続けるのはオーナー・渡辺氏が生み出した「豚骨魚介」のシングルスープ。豚骨にサバや宗田ガツオの節を加え、より強い旨味と風味を出しているのが特徴だ。
豚骨と魚介で作るスープが自慢。なめらかな舌触りもいい / 渡なべ
スープからは動物系のコクと、あとから押し寄せる魚介の味わいがしっかりと感じられ、その圧倒的な旨味の強さには誰もが驚く!
とろみのあるスープが、ストレート麺にしっかり絡む / 渡なべ
チャーシューと極太のメンマのトッピングで、食べ応えあり / 渡なべ
スープだけでなく、3種類の自家製麺を作り、メニューによって使い分けるのもこだわり。「らーめん」には中太のストレート、歯切れのいい低加水麺を採用している。
ラーメン激戦区・高田馬場で人気を集める「渡なべ」 / 渡なべ
■渡なべ
住所:東京都新宿区高田馬場2-1-4/電話:03-3209-5615/営業時間:11時~20時(LO)/定休日:なし/支払い方法:現金
■【野方】背脂のこってり感にハマる!環七の名店の一杯「野方ホープ 野方本店」
1988(昭和63)年に創業し、今年で37年を迎える「野方ホープ 野方本店」。環七通り沿いに店を構え、かつて起こった「環七ラーメン戦争」と呼ばれた一大ブームに乗り、一躍その名を知らしめた。そのブームから早30年、今なお多くのファンに愛され続ける名店。現在では関東に10店舗を展開しており、その総本山となるのが「野方本店」だ。
創業から変わらぬ味を守り抜く「醤油とんこつ 元(はじめ)」(950円) / 野方ホープ 野方本店
「醤油とんこつ」は、昔ながらの味が楽しめる「元(はじめ)」と、ガッツリ派におすすめの「濃く(こく)」の2種類を用意する。仕上げに背脂をたっぷり浮かせた、いわゆる“背脂チャッチャ系”と呼ばれるラーメン。
11席のカウンターを備える。開店直後や昼過ぎなどピーク時を避けて来店するのがおすすめ / 野方ホープ 野方本店
動物系の強いコク、野菜のまろやかさを合わせ、醤油ダレのキレ、背脂と、素材の良さが“複雑”に合わさったスープが自慢。ガツンと強い旨味はありながら、くどさのないバランスは絶妙!「また食べたい」と思わせる一杯となっている。
豚骨と鶏ガラ、野菜を合わせたトリプルスープ。なめらかな舌触りも特徴 / 野方ホープ 野方本店
スープにこした背脂を投入!5段階から背脂の調整が可能 / 野方ホープ 野方本店
スープは豚頭、背ガラ、ゲンコツの3種類の豚骨に、鶏ガラと野菜を加えて約10時間炊き上げる。ジャガイモのポタージュを入れることでクリーミーに仕上がり、なめらかな舌触りも生まれる。
スープと背脂の“複雑”な旨さを存分に楽しめるよう、加水率まで最適化した中太麺を採用 / 野方ホープ 野方本店
背脂の量は「あぶらぬき」から「こてこて」までの5段階から選んでオーダー可能。普通(写真)でもスープをおおうほどたっぷりと入っているが、最大の「こてこて」だと丼のおよそ半分まで背脂が入るそう! 背脂まみれの一杯で背徳の味わいを楽しんでみるのもおすすめ。脂身の甘さとコクが効いた背脂は「こってりでも、しつこくない」のが魅力だ。
ニンニクや辛モヤシなど卓上の調味料で味変できる / 野方ホープ 野方本店
ネギ、チャーシュー、半熟卵など、多彩なトッピングで食べ応え十分。さらに、卓上の調味料で味変を楽しむのも同店の定番となっている。濃い味わいで楽しみたい時は、生ニンニクをニンニクプレスで絞って新鮮な風味をプラスするのもおすすめ。また、適度な辛さがクセになる油唐辛子、辛モヤシを加えるのもいい。
「のがほめし」(580円) / 野方ホープ 野方本店
ラーメンとセットで、サイドメニューの「のがほめし」の注文率も高い。たっぷりの背脂に醤油漬けのニンニク、チャーシューの細切れ、半熟卵がのり、芳醇な香りとガツンとした旨味の強さで、さらなる満足感を与えてくれる一品だ。
「野方本店」は夜中3時(LO2時45分)までの通し営業。ランチタイムはもちろん、特に夜中のシメに訪れる客が多いのだとか。
JR野方駅から徒歩約10分、環七通りに店を構える / 野方ホープ 野方本店
■野方ホープ 野方本店
住所:東京都中野区野方2-58-4/電話:03-3387-2886/営業時間:11時~翌3時(LO2時45分)/定休日:年末年始/支払い方法:現金、クレジットほか
■【上井草】豚・鶏・魚介が三味一体!奥深く染みる絶品中華そば「麺や 麟子鳳雛」
上井草駅のほど近くに2022年にオープンした「麺や 麟子鳳雛(めんや りんしほうすう)」。「中華そば 麺壁九年」(井荻)、2024年オープンの「Menpeki Ginger Noodles」(下井草)の姉妹店であり、西武新宿線を盛り上げるグループの一角として、見逃せない一軒だ。
「特製中華そば(醤油)」(1450円) / 麟子鳳雛
定番人気の「中華そば」には豚骨、丸鶏に、煮干しメインの魚介系を合わせたダブルスープを使用。丁寧に仕上げたスープは脂のくどさ、煮干しの苦味もない。動物系のコクと、しっかりと効いた魚介の風味を楽しめるのが魅力となっている。
店内はレンガ造りのおしゃれな雰囲気。カウンターがあり、一人でも気軽 / 麟子鳳雛
鹿児島ブランド「かごしま黒豚」や、鳥取・大山の銘柄鶏「大山どり」といった銘柄肉を使うなど、素材選びにも妥協せず、おいしさを追求。煮干しの産地や種類においても都度、最適なものを厳選している。
釜焼きの豚肩ロース、低温調理した豚モモ肉の2種類が入るチャーシュー、ワンタンといったトッピングの豊富さもうれしい一杯。
大量の煮干しや宗田カツオ、貝類を組み合わせ、芳醇で奥深い味わいを出す / 麟子鳳雛
多加水の麺は喉越しも抜群! / 麟子鳳雛
「菅野製麺所」から仕入れた縮れ麺は、小麦粉「もち姫」で作られ、もちもちとした噛み応えが心地よい。また手揉みによってできたウェーブが、スープの旨味をグイッと運んでくれるのもポイント。
「チャーシュー丼」(400円) / 麟子鳳雛
サイドメニューでイチオシなのが「チャーシュー丼」。豚の肩ロース、モモ肉を炙り、タレやコショウを効かせた濃い味わいがクセになる。
まだまだ食べ足りないという人は「味付き替玉」をぜひ!「にぼし味付け替玉」(250円)、「山椒味付け替玉」(各300円)などがあり、残ったスープに追加するのはもちろん、そのままでもおいしく食べられるおすすめメニューだ。
季節限定メニューなどの情報は公式Instagramを要チェック / 麟子鳳雛
店名の「麟子鳳雛」は、将来性を持つ若手をたとえた四文字熟語。その名の通り、開店当初から注目を集め、期待を裏切らない一杯で多くのラーメンファンを満足させている。夏のつけ麺をはじめ、季節限定メニューもぜひチェックしてみよう。
上井草駅から徒歩約2分とアクセス抜群 / 麟子鳳雛
■麺や 麟子鳳雛
住所:東京都杉並区上井草2-36-10/電話:なし/営業時間:11時30分~15時、18時~22時、土曜11時30分~15時、17時30分~21時、日曜・祝日11時~15時(各LO)/定休日:不定/支払い方法:現金
■【新狭山】飛ぶほど旨い“背脂チャッチャ”のガッツリ麺「チャーシュー専門店 チャーシュー力Z 新狭山店」
埼玉、東京に展開する「チャーシュー力」は、その名からも分かる通り、プロレス好きのスタッフたちが迎えるガッツリ系ラーメン店。
「さそり固め みそ(こってり)」(1100円) / チャーシュー力
「チャーシュー専門店 チャーシュー力Z(りきゼット) 新狭山店」は、地元では“チャーリキ”の愛称で親しまれ、根強い人気。ラーメン以外に一品メニューやお酒も充実し、地元民の間では飲みの場としても活躍している。店内のいたる所に格闘技のポスターが貼られるほか、200冊以上のマンガが置かれるなど、男心をくすぐるアイテムが多く、思わず長居してしまいそうな魅力的な空間だ。
営業時はロープが外され、リングイン(=入店)できる! / チャーシュー力
有名プロレスラーも訪れる有名店。座敷もあり、団体利用にも最適 / チャーシュー力
「さそり固め」や「ブッチャー」「闘魂担々麺」「リキラリアット」などなど…、プロレス由来の個性派ラーメンや一品メニューが勢ぞろい。名前だけでなく、見た目やガツンと濃い旨さでも、大きなインパクトを与えてくれる。
「ブッチャー みそ」(1400円) / チャーシュー力
ラーメンの主役となる特大チャーシュー! / チャーシュー力
同店の自慢は何と言ってもチャーシュー。豚バラ肉を醤油、豚骨スープ、香味野菜で作るタレで煮込み、さらに3日寝かせて味を染み込ませるなど、約1週間をかけてホロホロととろける食感に仕上げる。ジュワリと肉の旨味が染み出して、濃いスープの中でもひと際強い存在感を放つ。
「ブッチャー みそ」に使う味噌は、オーナーとその父しか作れない秘伝の調味料 / チャーシュー力
ラーメンは豚のゲンコツと背ガラ、鶏ガラのスープに、味噌や醤油を合わせる、創業時から変わらないスタイルで作る。ベースとなるスープは豚骨に数種類の素材を加え、約2日じっくり煮込んだ濃厚系。そこに味噌や醤油の風味、さらに背脂&バターでコクを重ねる。それぞれの旨味が調和し、こってりとした旨味にハマる人続出だ。
オーナー・溝呂木健一さん「カロリーなんて気にせず、存分に味わってください!」 / チャーシュー力
自家製の味噌は、北海道産の田舎赤味噌を2種類ブレンドし、ニンニクや生姜などを入れて熟成させたもの。ほか、チャーシューを煮た醤油に酒などを加えた「かえし」(元ダレ)といった、調味料はすべて自家製にこだわり、店主が思い描く最高のおいしさを丼に表現している。
“チャッチャ”とスープに投入する背脂は、余分な脂が取り除かれているので、見た目よりあっさりと食べられる。旨味とコラーゲンもたっぷりだ。
新狭山駅から徒歩10分ほど。入り口からプロレスラーの名言が迎える、個性爆発の店 / チャーシュー力
■チャーシュー専門店 チャーシュー力Z 新狭山店
住所:埼玉県狭山市三ツ木62-1/電話:04-2900-0188/営業時間:月・日曜11時~23時(LO22時45分)、火・水・木曜11時~翌1時(LO翌24時30分)、金・土曜11時~翌3時(LO翌2時30分)/定休日:なし/支払い方法:現金、クレジットほか
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