
離婚したくない夫は「不倫をしてもいい」と、妻がパート先の店長と会うことを許した――。「公認不倫」というセミフィクションを描いた本作の秘話に迫る。
結婚前はデザイナーとしてバリバリ働いていた、かな。今はアレルギーがある夫のために手作りの食事を作り、足の悪い義母の面倒を見ながら、パートをこなす専業主婦だ。生活に過不足はないけれど、どこか虚しさを感じる毎日。そんな妻の心を揺らしたのが、新しく配属されたパート先の店長だった。「若くて、イケメン!目の保養」と、パートに行くのが楽しみだったはずが、いつしか二人で会うようになり――今回は、漫画家グラハム子さん (@gura_hamuco)の「夫の公認なら不倫していいですか?」を紹介する。
■妻がいないと生活が回らなくなると思い「不倫」を許した夫
始まりは「不倫漫画は人気があるので描いてみませんか?」という担当さんからの提案だった。「悩みましたが、チャレンジしてみよう!と描くことにしました」と、制作の経緯を話すグラハム子さん。企画段階から「公認不倫」というテーマは決まっていたそう。そこで、公認不倫をしているという方を探して取材。「公認ではない方からもお話を伺わせていただきました。時には友人やママ友の飲み会でも、不倫ネタをそれとなく聞いてみたり(笑)。なので、誰か1人の体験談というよりも、いろいろな人の経験を混ぜ合わせてできたのが今回のお話です」(グラハム子さん)。
不倫のきっかけは、夫にときめかなくなって数年経過したころに再び舞い降りた“ときめき”。新しくきたパートの店長は、若くてイケメン。身近なところで「推し」ができたかなは、目の保養にパートに行くのが楽しみになった。
店の売り上げ低下による改善の方法を話し合っているうちに、視察としてパート外で店長と出かけることになった。家族は大切だけれど、自分が蔑ろにされているように感じていた、かな。店長と会うことで忘れていたときめきや充実感に満たされていく。こうして始まった不倫はしかし、夫に携帯を見られ、バレてしまうが――。
■妻がシタ側。シタ側の心情に寄り添った日常的な不倫漫画
描写にあたりグラハム子さんが特にこだわったのは「妻の心理描写です。不倫漫画って『シタ夫とサレ妻』が多く、『サレた側の心情に寄り添ったストーリー』が圧倒的に多いんですよね。なので、私は『妻がシタ側で、シタ側に寄り添ったストーリーにしよう!』と思い、描き始めました」という。
夫は妻に面倒を見てほしい(経済的にも精神的にも)ため、別れたくない。だから不倫を許す。「妻を愛している」からではなく、自身のためである夫の態度に愛されていることを実感できない、かな。不倫を通して生まれる孤独感、罪悪感など複雑な心理描写が描かれている。本作は、不倫をする妻側の心理を描いた注目作。今回は、試し読みをお届け。続きはピッコマで読むことができる。
取材協力:グラハム子(@gura_hamuco)