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「ビジネスネーム」に「カップルネーム」…名前を使い分けるのが当たり前の“世界線”において「本名」とは?【作者に聞く】

  • 2024年4月7日
  • Walkerplus

芸能界における「芸名」や、スポーツ選手の「登録名」など、本名以外の名前で活動する人は以前から存在したものの、近年はSNSの普及やプライバシー保護の観点から一般の人も本名以外で呼び合うことが増えている。そんな中、日常のあらゆる場面で名前を使い分けるのが当たり前の世界を描いた、なまくらげ(@rawjellyfish)さんのオリジナル漫画「となりのあの子はビジネスネーム」が話題だ。本作について、作者のなまくらげさんに話を伺った。


■「本名を使い続ける人物を出すことで、実名にも意義はあるかもしれないと思考の余地を残したかった」

「実名があまり使われないようになった世界」というアイデアについて、なまくらげさんは「『とあるコンビニでは店員がビジネスネームを使っている』という旨の投稿をSNSで見かけたのが元になっています。真偽は確かではないものの、考えてみれば店員さんの本名がレシートに印字されてしまう今の状況には違和感を感じるところがあります。

もちろん信頼性や責任などの観点から本名を出すことの意義も大いにあるのですが、芸能人や漫画家のようにハンドルネームが主流になっていっても面白いかもなぁと思い立ったのがきっかけです。自分自身にとっても、仕事を除けばハンドルネームでやり取りする事の方が多かったりするので、感覚として近い所もありました」と、取り入れたきっかけを明かす。

本作では、“須藤さん”が学生時代からあらゆる「名前」を使いこなしてきた一方、彼女に思いを寄せる“緒爪くん”はずっと本名だけで生きており、2人は正反対キャラクターとして描かれている。「何事もそうですが、仮名と本名にそれぞれの良し悪しがあると思うので、比較になればと少し両極端な二人に設定しました。

今回はページ数の関係であまり深く掘り下げられなかったのですが、仮名が当たり前になった世界であえて本名を使い続けている人物を出す事で、実名にも意義はあるかもしれないと思考の余地を残したかった狙いがあります」と、その意図を告白。

ちなみに、「須藤むにか」というビジネスネームの由来を尋ねると、「由来としては英語の『pseudonym(スードニム:仮名)』という言葉をそれらしく入れ替えた形になります。普段から登場人物の名付けでは、テーマに関する言葉をアナグラムにする事が多いですね。今回はいい感じにほんわかした名前になったので、かわいいもの好きな彼女もきっと気に入っていると思います」とのこと。なまくらげさんの作品を、人名の“元の言葉”を予想しながら読むのも面白いかもしれない。

本作で描きたかったテーマや結末にこめた思いについて、なまくらげさんは「名前を一種のコミュニケーションツールと考えれば、重要なのは本名かどうかより、その名を呼ぶ関係性の方ではないかという思いがありました。

本作でも、おそらくお互いに以前と変わらない呼び方を続けるはずですが、彼女は『ずっと使ってきた名前なんだ』という認識をもって彼の名を呼び、反対に彼はさほど意義のない彼女の本名を呼びたがることはなく、納得してビジネスネームの方を使うことでしょう。もし今後、現実に名前に対する取り扱いに変化があったとしても、その背景にある関係性の方を大事にしていきたいですね」と語ってくれた。

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取材協力:なまくらげ(@rawjellyfish)

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