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【SDGs】窓断熱改修で省エネ&医療費が大幅削減 LIXIL“冬の断熱・ヒートショック”セミナーをリポート

  • 2024年1月22日
  • Walkerplus

LIXILは2024年1月16日、窓断熱改修による医療費削減の検証結果を解説するプレスセミナーを開催。近畿大学生物理工学部人間環境デザイン工学科准教授・博士(工学)の藤田浩司さんと、LIXIL LHT技術研究所主任研究員博士(工学)の吉田吏志さんが登壇し、講演とパネルディスカッションの2部構成で「住宅内温熱環境と居住者の健康」に関する説明がなされた。

2024年度も引き続き、既存住宅の窓の断熱改修を支援する政府補助金「断熱窓への改修促進等による住宅の省エネ・省CO2加速化支援事業(先進的窓リノベ事業)」の実施が予定されている…など、環境・経済・健康各方面に影響を及ぼす「窓断熱市場」は幅広い層から注目を集めている。

窓をはじめとした開口部の断熱性能を高め、住宅の高性能化を推進することは、CO2排出量や光熱費削減に繋がるほか、ヒートショックなど循環器疾患(脳梗塞・くも膜下出血・心筋症など)の発症リスクの低減、さらにはアレルギー症状の緩和といった健康面にも多大な影響を及ぼすという。

しかしながら、国内にある既存住宅約5000万戸のうち、現行の省エネ基準を満たしている住宅はわずか13%しかなく、残り約90%の住まいは、夏は暑く、冬は寒い、断熱性能の乏しいままになっている(※1)。そんななか、断熱性能を高めるリフォーム窓の受注は、政府の補助金の後押しもあり、昨年から約3倍(※2)と増加。それに合わせて、節約、健康、SDGsなど、さまざまな理由から“窓”の断熱性能を見直す人も増え続けているという。

※1:国土交通省「社会資本整備審議会建築分科会資料」(2021)より
※2:LIXIL取替窓「リプラス」内窓「インプラス」の合計受注数、昨年度との比率より

セミナーの前半に当たる講演では、藤田浩司准教授が住宅の断熱性能と健康リスク、窓断熱改修によって期待できる医療費削減などについて解説。マウスを使っての調査結果の報告からはじまり、冬場に死亡率が急増するヒートショックの紹介、さらには「健康を維持するうえで室内温度は18度がベストであること」や、「住まいの温熱環境と医療費の関係」、「窓の高断熱化による医療費・暖冷房費の削減効果」についての説明がなされた。

そうしてセミナーの後半では、提示されるさまざまな質問に対し、藤田准教授と吉田さんが交互に話す形でパネルディスカッションが行われた。その一部を抜粋して紹介しよう。

――今回、なぜ医療費を研究対象にされたのですか?

藤田「住宅の高断熱化の必要性については、国の方からもずっと言い続けてきましたが、『快適になるよ』、『省エネにもなるよ』だけでは、人はなかなかお金をかけようとはしません。ですが、『あなたの健康に関わることですよ』と伝えれば、真剣に聞いて、考えてくれるようになるので、医療費を研究の対象にした…というわけです」

――今回の研究成果には、どのような活用方法があるでしょう?

吉田「お住まいの地域だったり、住宅の形式(戸建てか集合住宅か)だったり、その他にも家族構成や年齢など、パーソナルな情報がわかったほうが、より正確な医療費を算出することができます。私も自身の家族構成を正確に記載し、費用を計算したところ、高断熱化すれば30年で暖冷房費を58万円も削減できることがわかりました」

――窓断熱改修について発表されていましたが、現在、どのような研究をされているのでしょう?

吉田「弊社には窓改修用のものも含め、多数の断熱リフォーム商材がございます。『ココエコ』、『まるごと断熱リフォーム』という新工法もありますので、まずはこれらを知っていただいて、省エネで健康にもいい住宅を世に広めていきたいと考えております」

――窓断熱改修の商材には、どのようなものがあるのでしょう?

吉田「今ある窓を1日で高性能なものに交換する取替窓『リプラス』と、既存の窓の内側にもう一つ窓を設けて、空気層により断熱性を高める内窓『インプラス』という2商品がございます。『インプラス』に関しては、約1時間で取り付けが可能です」

――現在、先進的窓リノベ事業には国から補助金が出るようになっていますが、これに対して、お二方はどのように感じていらっしゃるのでしょう?

藤田「補助金が出るいちばんの理由は“高断熱化によるCO2削減”にありますが、それと同時に医療費が下がるところも見逃せないポイントと言えます。省エネだけでなく医療費の面でも、断熱推進は非常に重要な事業であることを、これからも訴えていきます」

吉田「補助金の支給により、弊社断熱商材の売り上げは3倍に伸びました。それだけでも世の中から注目されていることがわかりますし、実際にリフォームをされた方からは、『猛暑だけど冷房費が下がった』や、『防音効果もありテレワークの作業効率が上がった』など、生活の質が向上したという声も多数いただいております。来年度もほぼ同額の補助金が出ることが確定しているので、今後も窓改修には力を入れていきたいですね」

取材・文=ソムタム田井

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