読者から「こんな良作があったんだな…(泣)」「すごくよかったです！見れてよかった､､､ずっと覚えているお話になるんだろうな」「心が生き返りました…読めてよかったです」と感銘と感謝のコメントが寄せられた作品がある。タイトルは「NO MAKE , NO LIFE !」。お互い会話がなかったやんちゃな孫娘と祖母の関係に変化が起こり、2人の生き方がほんの少し明るい方向へと変わるお話だ。
早船典子は化粧が大好きな女子高生で、高校にも派手な化粧をして登校するため、ついに停学を食らってしまう。停学期間中、母親から「おばあちゃんの話し相手になってあげて」と頼まれた典子だが、いくら話しかけても祖母の反応は薄い。やんちゃだが心根はやさしい孫娘・典子と、元気がなくなって無口になってしまった祖母。学校では問題視されていた「化粧」を通じて、この2人の“生き方”が変わっていく心温まる感動ストーリーである。
元気のない祖母に、学校の楽しい噂話をして聞かせるも、祖母は無表情のままだった。話題に困り果てたとき、祖母がおもむろに、典子の“つけまつげ”に手を伸ばした。祖母はつけまつげをベリッと剥がし「虫かい？」とつぶやく。それを機に、典子のイタズラ心に火がつき、祖母に化粧を施す。ちょっとふざけてした化粧で「ごめんごめん、すぐ落とす」と笑っていた典子だったが、鏡を見つめる祖母の目には生気が戻ってきていて…！典子は、そんな祖母の表情の変化に気付く。
しかし帰宅した父親は、祖母の化粧を見て怒り出し、祖母の顔をゴシゴシと拭いて化粧を落とし始めた。「ばあちゃん、気に入ってるじゃん」と止める典子に対して「みっともないだろ、いい歳して、こんな顔」と怒る。「みっともない!?化粧があ!?」と言い返す典子だったが、祖母の化粧は落とされてしまった。その翌日、事件が起こる。祖母が1人で外に出かけてしまって…!!
この作品を描いたのは、「貧女ハウスへようこそ」(小学館)や、「実録怪談 本当にあった怪奇村／新犬鳴トンネル」(竹書房)などの代表作を持つ三ノ輪ブン子(@minowabunko)さん。本作を読んだ読者からは「登場人物の心情の描写がすてきでした。台詞がなくとも表情や振る舞いで描かれていて、わかりやすく読んでいて楽しかったです」「作中の人物が全員生きてるみたい」という感想が届くほど、登場人物の心理を丁寧に描いている。「ラストが最高に美人だった」という読者からのコメントも！ラストシーンの典子の表情は、典子の心情がすべて詰め込まれていると言っても過言ではない素敵な1コマだ。作者本人も「地味ですが感情を丁寧に描いたつもりです」と述べている。作者の三ノ輪ブン子さんに本作についてさらに詳しく話を伺ってみた。
――本作はとてもメッセージ性がありますが、この作品に込めた思いを教えてください。
日常のちょっとしたことや、身近な人との関わり方が少し変化するだけで、一歩前に進めるということを描きたかった作品です。なんとなく最近ぱっとしないなって思っていても、この作品を読んだあとにちょっと変化を起こしてみようかな、ちょっと前に進んでみようかな、なんて気分になってくれたらうれしいです。あと自分はおばあちゃんとあまり思い出がなくて、そういうものへの憧れもあったのかなあと、いま読み返してみて思いました。
――特にこだわって描いた点は…？
おばあちゃんの笑顔です！あのコマを描きたくてこの話を描いたんじゃないかと思うくらいでした。ほかの方の作品でも、ずっと笑えなかった人が笑った瞬間ってすごく好きなんです。
――読者にSNS上で「よかったところや改善点のアンケート」を取られていますね。700もの回答が届いているようですが、どういった意見が多かったですか？
よかったところは、ストーリー展開が半数以上で次にキャラクターでした。普段ホラーばかり描いているので、こちらでは明るい感想をいただけて新鮮でした。「読んで温かい気持ちになれました」という感想を読んでいるこちらが温かい気持ちになれて、描いてよかったなと思いました。
インタビューにもあったように、普段はホラー漫画家として知られる三ノ輪ブン子さん。現在も連載を持っており、2023年12月から電子雑誌「comicタント」(ぶんか社)にて、都市伝説系漫画「ただのうわさです」(原案：飯倉義之)を掲載中！「有名な都市伝説がいくつも出てくる漫画となっています。都市伝説ファンも特に詳しくない人も、両者に新鮮な気持ちで読んでもらえる話を描いているのでよかったら読んでくださいね」とのこと。三ノ輪さんの真骨頂である都市伝説系のホラーの世界観を見てみたい人はぜひ！
取材協力：三ノ輪ブン子(@minowabunko)
