北野日奈子が10周年のタクフェスに出演「責任を持って、担っていかないといけないと思う」

  • 2023年9月7日
  • Walkerplus

宅間孝行作・演出のタクフェスが10th ANNIVERSARYを迎える。記念すべき作品として、第11弾 「晩餐」の上演が決定。10月より埼玉、仙台、大阪、札幌、名古屋、東京と全国で上演される。タクフェス第1弾で2013年に初演をしたのち、一度も再演をされてこなかった伝説の作品となる。乃木坂46のメンバーとしても活躍した北野日奈子がヒロインを、タクフェス初参戦で務める。そんな北野日奈子に出演にあたっての意気込みを聞いた。


■宅間さんの視線を受け止めて、いい子でいるのはやめようと思いました(笑)

――タクフェスに出演が決まったときの気持ちを聞かせてください。

お話をいただいたときは、いろんな状況はわからないまま、挑戦できるのであればぜひやってみたいですとお応えさせていただきました。タクフェスは名のある作品が多いので、いろんなことを学ぶいい機会にもなりますし、これから女優としても必要なことを学べるので日奈子ちゃんにぴったりだと思うよというふうにマネジャーさんから勧められ、それはいい話だと思ってやらせていただくことに決めました。決まったあとに、マネージャーさんから宅間さんは怖いからねと、初めて聞かされたんです(笑)。

前もって怒られるとしょげるタイプだと宅間さんにお伝えしておいてください、とマネージャーさんにお願いしました。愛があるからこその厳しさだと思うので、そこはちゃんと自分で受け止めて、やっていきたいなとは思ってます。


――確かにタクフェスに出演された方は、みなさん宅間さんは厳しいとおっしゃいますね。もう宅間さんにはお会いになったんですか。

はい。今日初めて宅間さんにお会いしました。演出家の目で私を見ていると思いました。私のことをどういう子なんだろうとか、空気感とかを感じ取ろうという視線を感じましたね。アイドルを卒業してひとりになって、そういうことに敏感になっていて、大人から感じる視線にすぐに気が付くんです。その視線を受け止めて、いい子でいるのはやめようと思いました(笑)。

一からぜんぶ、宅間さんに指導していただくと思うので、これから宅間さんとの関係がどうなっていくかはわからないですけど、このカンパニー全員が本当に腹を割って話し合うような雰囲気になるんだろうというのはすごい感じるので、自分の軸をぶらさずに、自分が大事だと思うことは譲らないぞみたいな、ちょっと気の強そうな雰囲気は見せておきました。すぐに宅間さんに飲まれそうになったんで、あんまり目を合わさないでお話ししました(笑)。

メイクしているときに話しかけられて「お酒飲めるの?」と聞かれて。「いや全然飲めないですよ」と答えたんですけど、「酔っちゃうの?」ってさらに聞かれて、普通にかわいく「酔っちゃって」でいいじゃないですか、でもそこを「酔っ払う感覚が好きじゃなくて、全然飲みたくないんです」と強めに答えました。さらに、「いつも何を飲んでるの?」と聞かれて、「リアルゴールドです!」と答えました(笑)。そこから気さくに話してくれて、すぐに「7月17日生まれで同じ誕生日だね」と言ってくださり、そして知ってくださってて嬉しかったです。


――誕生日という共通点があるとぐっと距離が近づきますね。

私は北海道、小樽で生まれてそこに本籍もあるけど、育ちが千葉だと宅間さんにお伝えしたら、「それはもう千葉県だよ、北海道じゃないじゃん」って言われて、「本籍ありますから!」と、出身についてはちょっとバトルが一瞬あったんです(笑)。このやり取りもあって、すごく信頼できる関係を築いていけるんじゃないかなとは思っています。

――宅間さんのカンパニーは同じ釜の飯を食べて一体になるとよく聞きますよね。

私は苦手ですね。お弁当にして持って帰るタイプなんで(笑)。終わったらきっちり帰ります。「かわいくないな」って逆に愚痴ってもらうぐらいがちょうどいいなと思います。

こうやってお仕事をひとりでやってきて、俳優さんって自分の世界観を持っていて、個性がちゃんとあるっていうのを実感します。そこを認め合ってリスペクトし合うっていうところが、やっぱり俳優業で大事だなっていうのをこの一年で学んだので、宅間さんのカンパニーは本当に個性豊かなキャストさんばかりで、みんな違う味を持ってるからいい出汁が出てよさそうです。

――そんなカンパニーに北野さんが加わるのが本当に楽しみです。

泣かないでがんばります!



■歴史あるすごいタイミングでタクフェスに入っちゃったなって

――「晩餐」は10年ぶりの再演ですね。

宅間さんが、この作品は最高傑作だから次も10年後にしかやらない予定だとおしゃっているのを見て。歴史あるすごいタイミングでタクフェスに入っちゃったなって。試練ですね。自分が責任を持って、担っていかないといけないと思うので、ちゃんと受け止めて一生懸命やっていきたいなって、あと本当にやってよかったというか、挑戦できて、この時間を得られて本当によかったというふうに、終わった頃に思えるようにしていきたいです。

――舞台の仕上がりも楽しみですね。今回、北野さんが演じる山科舞子はどんな役柄なのでしょうか。

私が演じる山科舞子はヒロインではあるんですけど、キラキラ系じゃないです。石黒英雄さんが演じる純ちゃん(高槻純二)の奥さんにあたります。前回、田畑智子さんが演じられた動画を拝見させていただいて、阿吽の呼吸ってこういうことを言うんだみたいな夫婦の掛け合いとか、会話劇すぎて、舞台というよりもドラマという感じの雰囲気でした。

舞台はどうしても声を張って、より滑舌よく届けるっていうのが、舞台とドラマの違いだと思っていたんですけど、この作品は舞台過ぎてないというか、ドラマと舞台の間ぐらいの表現のされ方をしていて、すごい繊細なんだろうなっていうふうに感じました。私は本当に繊細さが1ミリもなくて、ちょっと大雑把だったり適当なところが自分のよさだと思っています。元気で、笑い飛ばせば何とかなるみたいなタイプだと思うので、そこは演じるそのまーちゃん(山科舞子)にちょっと似てるところなのかなと。

――役柄と違っているところも教えてください。

ストーリーの中では、自分は体が弱くて子供が産めない、でも好きな人は子供が欲しいと思っていてその人のために産みたい。でも、自分の中にはそういう愛情はまだ芽生えてない、感じたことのない感覚なので、そこは違いますね。

ふたりの仲がいいというところももちろんですけど、最後のシーンとかこの葛藤がすごく心に来る場面があったので、ちゃんと作品に入って一生懸命相手の言葉を感じて、台詞じゃなくて自分からこみ上げるものにできたらなと思います。

あと、まーちゃんはすごく穏やかなのでそこは違うなと。相手をよく理解しようと受け止めてる印象がありますが、私は理解してほしいっていうタイプなので、押し付けがちなんですけど。まーちゃんはどっちかっていうと、あなたが望むなら私は何にだってなれるよっていうタイプだと思います。


――似ているところは演じやすいかもしれませんが、違うところはかなり意識しないと演じるのは難しいですよね。

本当にいつもその部分で衝突することが多いです。本当に好きじゃないと好きって気持ちって出ないじゃないですか。好きであるふうに演じることはできるんですけど、自分の中にない感情はどこの引き出しを開けても出てこないんです。今回はそれが自分の中の課題で、どの引き出しを開けてもその感情が入ってるというとこまでちゃんと作品に入っていけたらなと思っています。


――意識して演じていることはありますか?

仕草はおっぴろげというか、大胆にやっていった方がいいかなと思っています。適当で楽しければいいやって見えてる裏では、繊細な部分があるというのが、ちゃんとメリハリとして見えると思うので、ちゃんと使い分けられるように意識してやっていきたいなっていうのはあります。結構壁を作っちゃうタイプなので、石黒さんにだけは壁を作らないようにと思っています。

――タイムスリップにて過去に戻れるとしたら、いつに戻って何がしたいですか?

戻ってその場に留まっていられるんだったら、コロナ禍だったんですけど、3年ぐらい前に戻りたいです。そのときにお父さんもお兄ちゃんも在宅勤務で家族がみんな家にいて、北野家は毎日お祭り騒ぎみたいで結構楽しく過ごしていたので。愛犬のチップとかもいましたし、あのときが一番幸せだったなと思うので戻りたいです。


■令和版の山科舞子ちゃんはこうだよっていう、新しい色をつけながら演じたい

――この舞台の見どころについて教えてください。

本当に笑いあり涙ありになるだろうなと思いますし、誰の心にも響く、家族愛だったり、愛情の話でわかりやすいテーマですので、やっぱり観に来てくださる方の心に届かせて、何かを感じ取ってもらって、帰りに親にでも連絡してもらうとか、そういうみんなの愛を向けてる先に繋がればいいなって。本当に、全身で今回の舞台を浴びてもらって、圧倒されて、俺どうやって電車で帰ったかわかんないみたいになってもらえたらなと思います。令和版の山科舞子ちゃんはこうだよっていう、新しい色をつけながら演じたいと思います。

――埼玉、仙台、大阪、札幌、名古屋、東京にて上演されますが、日本全国を回られることについてどんなお気持ちですか?

やっぱり札幌が楽しみです。おばあちゃんや親戚がいますので、多分札幌公演は私はホテルじゃなくて、おばあちゃんの家に泊まると思います。東京でやる舞台にわざわざ飛行機に乗ってきて観に来てくれたりしてたので、地元のおばあちゃんが住んでいて近くでやるってなったら、きっともっと喜んでくれたり、仕事を頑張ってる姿とかも見てもらえると思うので、アイドルを卒業して一年だったけど、今でもこうやって自分でお仕事して頑張ってるよって姿を見せられたらと思います。


――話は変わりますが、台詞はいつもどうやって覚えていますか?

長い台詞は書いています。書きながら覚えているんですけど、今回は会話劇なので、妹に手伝ってもらいます。いつもワンちゃんの散歩してるときとにブツブツ言ったりしてますね。

――先日、インタビューした新内眞衣さんは、「台詞を録音して、その前後の人の台詞を言って、私の分だけ空けて耳で覚えています」とおしゃってました。

まいちゅんは耳で覚えているんだ(笑)。音で覚えるというのをよく聞きますね。ダンスができる人とかリズム感のある人が多いみたいですね。私はダンスもできないしリズム感もないので、たぶん音では覚えられないな。私はひたすら書いて覚えます!

――最後にメッセージをお願いします。

ファンの人も、宅間さんが厳しいことを知ってるんです。私だけ知らなかったみたいで、みんなすごい心配性だし、こんな感じなんで、「宅間さん厳しいらしいけど、俺たちが付ついてるから大丈夫だよ」みたいなコメントくれたりするんです。もう本当に完璧なんですよ、ファンの人たちが。

卒業して一年経ってイベントとかも数回やらせてもらってるんですけど、やっぱりイベントを開いたらみんな来てくれたり、自分が困ってたり苦しいときとかに、ぷらっとファンクラブとかに入ると、もうみんなつまらない冗談とか言って励ましてくれたりして、本当にグループ時代からファンの方は自分にとってすごい特別だったんですけど、自分が頑張る理由が応援してくれてる人のためっていうのが明確にあります。

ファンの方に心配はかけますけど、でも応援してきてよかったと、卒業しても追い続けて意味のある子だったっていうふうに思ってもらえるように頑張りたいと思いますので、みんなぜひ私に向けた労いの言葉を毎日送ってもらえたらうれしいです。

取材・文・撮影=野木原晃一

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