夏休みに遠出をする人はもちろん、猛烈な暑さでおでかけせず家でゆっくりする人まで、過ごし方はさまざま。そこでウォーカープラスでは、出かけられなくてもおうちでおでかけ気分や別世界に浸れる漫画を特集。
今回紹介するのは、漫画家の早神あたか(@yaminome)さんが“異世界のソロキャンプ”を描いたオリジナル作品「ソロダン～週末は趣味を満喫させていただきます。～」。ファンタジーの世界でいきいきと描かれる不思議な“ソロダン”の魅力を取り上げたい。
■ファンタジー世界のダンジョンで満喫する、楽しげな“アウトドア趣味”
「ソロダン～週末は趣味を満喫させていただきます。～」は2022年5月にSNSに投稿され、pixivではブックマークが2万件を超えるなど好評を博した作品。作者の早神あたかさんは、アルファポリスにて「前世は剣帝。今生クズ王子」(原作：アルト)をコミカライズ連載中の漫画家だ。
親とケンカし家出した主人公の少女が、ライフルとバックパックを背負いダンジョンに向かうところから物語ははじまる。初心者向けのそのダンジョンに、単身で挑むのが彼女の週末の趣味なのだ。
駆け出しや小銭稼ぎで潜る他の冒険者を後目に、マイペースではじまる彼女の単独行。小銃であっさりとモンスターを仕留めるほどの腕前を持つ少女は、ダンジョン内では「常連」として一目置かれる存在。
時に他のパーティーと交流しつつ、テントを張り、料理を作り、星空とは違う輝きに包まれるダンジョンの天井を眺め――と、魔法と魔物が当たり前のファンタジーな世界観の中で、現実世界同様のアウトドアを満喫するというストーリーだ。
■どの世界でも変わらない、「月曜日の前の趣味の時間」
実は貴族の令嬢である少女が、週末に現実を忘れる時間を過ごす一幕を切り取るように描く同作。そんな同作を描いたきっかけを、作者の早神さんは、「24時間で1冊の同人誌を作るという挑戦をやっている方がいて、24時間なら私にも時間が作れるかもしれないと挑戦し始めたのがきっかけです」と話す。
現在連載中の「前世は剣帝。今生クズ王子」のコミカライズを始めてから、オリジナル作品の制作が減っていた早神さんは、RTA(リアルタイムアタック)企画として1年間1作ごとに制作時間のリミットを決め、RTAで12本の作品を描こうという目標を設定。本作はその取り組みの中で描いた3作目に当たるという。
そんな本作は、「銃を使う貴族令嬢を使いたい」と温めていたアイデアから物語を作り出していったそう。「月曜日からお仕事や学校に行く人に共感してもらえればと思いながら描きました」と、物語の結末で少女が日常に戻る中すぐに『ダンジョンに行きたい』と趣味のことを考えるシーンにはこだわりを込めたと話す。
また、本作はファンタジー世界の中のリアリティを感じるダンジョンでの過ごし方や、キャンプの描写が大きな魅力の一つ。早神さんは「『自分だったらこれがいいなぁ』と『こんなのあったら便利だなぁ』を混ぜ込んで考えています」と、作中の道具や食事の発想法を語り、アウトドア描写は同様のテーマを取り扱う作品やアウトドア動画も参考にしたという。
現実社会もファンタジーも変わらない「週末」の過ごし方に共感を覚える作品。週末のおでかけのおともに、はたまた忙しい時の息抜きに、癒されてみてはいかがだろうか。
取材協力：早神あたか／ATAKA(@yaminome)
