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ハードな職場からの退職決意後、わずか半年で地方移住をしたアラサー女性にインタビュー!「移住のハードルは意外と高くない」【作者に聞いた】

  • 2023年6月14日
  • Walkerplus

コロナ禍によって働き方や生活の仕方が多様化した昨今、たびたび話題に上がる「地方移住」。東京圏在住者を対象とした内閣府の調査(※)によると、全年齢で35.1%、20代の若年層では44.8%が地方移住に関心があると回答。地方移住や田舎暮らしに一度は憧れて興味を持った人も多いのでは(※出典:「第6回 新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査(内閣府)」)。

今回は、ハードな職場を退職し、わずか半年で愛知県北設楽郡東栄町に移住をしたやまださん(@yamadasan_0106)に、移住決断までの経緯や移住後の生活について伺った。

■ハードな職場から退職を決意。転職や実家戻りの選択肢があったが、私の場合は“移住”だった

――まずは、東栄町に移住したきっかけから教えてください。

東京で長らく働いていたのですが、ハードな毎日に体調とメンタルのバランスを崩してしまって。休職や転職という選択肢も考えましたが、休職して戻っても同じ職場である以上根本的な問題は解決されないだろうし、転職活動を頑張る体力も余裕も残っていなくて。ならば思い切って大人の夏休みを取ろうということで、まずは退職を決意しました。私、生まれは地方で。特に都会が好きなわけでもなかったですし、以前から興味のあった自然豊かな土地に移住するなら今だと思って。すぐに職が見つからなくても、しばらくは貯金を切り崩しながら生きていけるだろうということで、そこから情報を調べ始めました。

――具体的にどんなリサーチの仕方をされましたか?

私の場合、あれこれ情報を集めたわけではないんです。なんとなく“移住”の文字が気になり始めた頃に、愛知県のある島に移り住んだ方の話題をネットニュースで見て、移住の情報を扱っているセンターにちょっと行ってみようかなと。その後、さらに興味が湧いて別のセミナーにも足を運んだら、私が今住んでる東栄町の方がたまたまいらっしゃっててインスタをフォローさせていただいたんです。で、DMのやり取りを経て一度遊びに行ったら、すごくいいところだなと。こうして知り合いができたのもご縁ですし、たまたまそのときに町の格安アパートが空いたという情報も入って、これは行くしかない!と。半ば勢いで決めました。

――9月の移住検討開始から実際に移り住むまで半年。その期間で実現できてしまうというのも驚きです。

これは単純に、会社を年度末の3月で辞めるならあと半年だなって(笑)。でも、もしかしたら実家に戻っていたかもしれないし、転職していたかもしれない。私はたまたま移住だった、というだけのことです。

――縁もゆかりもない土地に行くことに不安はなかったですか?

ある意味、すべてをイチからやろうと思って田舎を選んだので。この1年は貯金だけで生きていこうくらいのドーンとした気持ちだったので、先のことはあまり考えなかったです。どうにかなるさって。前職でも転勤の経験があり、知らない土地に行くこと自体に抵抗がなかったのもあるかもしれませんね。むしろ、移住したらどこ行こう?ってワクワクしてました。住んでまだ2カ月(取材時点)ですが、今は本当に楽しく過ごせています。後悔は一切ないです。

――現在はInstagramとブログ「やまださんの山里移住日記」にて日々の生活を綴られています。この発信を始めた理由は?

最初の頃は新鮮に感じられたいろんな発見を、だんだん忘れていってしまうんだろうなって。それを残しておきたいという気持ちと、自分が何かしらの発信をすることで人と繋がりたいと気持ちがありました。ちなみに投稿に添えているイラストは、コロナ禍で家を出られなかった時期に“じゃあお家でできる趣味を……”ということで数年前から始めたものです。

――実際にSNSからの広がりは感じていますか?

そうですね。いろんな方が覗いてくださっているんだなと感じますし、私がイベントやアルバイト体験を投稿したものを「見たよ」と言ってくれる地元の方もいます。

――身近な野草を楽しむ“野草茶ワークショップ”の体験記では、ワークショップの主催の方が「昨日の様子がすべてイラストに!」と喜びの返信をされていました。

SNSを通してそういう新たなご縁が生まれたり、輪が循環していくというのはすごく素敵だなと思います。

――他にも、草木染めやたけのこ堀り体験、茶葉工場のアルバイト……など、都会生活とは大きく異なる日々を過ごされているのが印象的です。これらはどうやって情報を知り、参加されているのですか?

ふらっと道端で誘われることもありますし、地元で知り合いになった方に「今度ヒマ?」とか。「人手が足りなくて……」「じゃあ行きます」みたいな、突然の展開になることが多いです。茶葉工場のアルバイトは、声を掛けられてやってみたら、こんなに楽しいバイトがあるんだ!と。今はそうやっていくつかの短期アルバイトを無理なくこなしながら、地元の皆さんの輪に少しずつ入れたらいいなと思っているところです。

――そのような積極的な関わりやSNSの展開で、移住2カ月にして既にやまださんは結構知られた存在なのでは?

皆さんが知り合いみたいな狭い町なので。“何か書いてる子”とか“東京からちょっと不思議な子が来た”みたいなプロフィールだけがまずは回っているかもしれません(笑)。でも、ここの方々は本当にウェルカムで温かくて。何十年も前に移住されてきた方が地元の方と良好な関係をずっと築いてくださっているのもあるんだと思います。

――現在のやまださんは、どのような方々と関わって生活をされていますか?

外に向けた町の発信に関わっていらっしゃる方がメインです。そういった皆さんは私と同じように移住であることが多くて。一緒にご飯を食べながら「コイツも何年か前に来たんだよ」って紹介してもらったり、人手が足りない仕事をサポートさせていただくなかで顔見知りが増えたりしています。「本当にそんなことあるのかな?」と思っていた野菜のお裾分けは、何かお手伝いをさせてもらった後とかに大量にいただきます。野菜は正直、買わずに済むかも(笑)。しかもすごくおいしくて、素材の味をちゃんと堪能できている気がします。親切で優しい方々に助けられていますね。

――一方で、移住して困ったことはありましたか?

これが特にないんです。しいて言うなら、車を買うまでの1カ月はいろんな店を徒歩で回るのが大変でした。ただ、コンビニやスーパー、薬局、郵便局といったものはちゃんとあるので、車が来てからは本当に困ることはないですね。夜の山道を運転中、動物がヒュッと出てくるのは慣れなくてちょっと戸惑っていますが。

――どんな動物と遭遇するんですか?

シカがよく出ると聞きます。私は昨日、ウサギを見て“今の何!?”ってなりました。昼間は普通にキジが歩いてたりもします。

■移住のハードルは、自分で思うより高くない。もっと早く移住すれば良かった

――東京での勤務中は精神面でも疲弊していたとお聞きしました。移住後のメンタルはいかがですか?

だいぶ変わりました。こんなにリラックスした生活ができるならなぜもっと早くしなかったんだろうって。都会では気付かないうちに変わっていた季節の変化や自然の移り変わりに今すごく敏感になってて、徐々に夏になっているなとか、今日はすごい星が見える!というのが“ちゃんと生きてるな”って思えるんです。ただ単に1日を終えたというよりは、今日これができた、こういう変化を感じられた、っていうのが実感としてあって、前よりも1日が長くなった気がします。本当に来たかった場所に来れたんだなって思います。

――いろいろなタイミングとご縁が重なって愛知県を選ばれたわけですが、移住して感じた愛知の魅力は何でしょうか?

私は都会の部分よりも田舎の景色に惹かれているんです。山はもちろん、川や滝といった豊かな自然に触れられますし、歴史的な建物やスポットも意外と多い。ちょっと車で足を伸ばせば三重や静岡、岐阜など近くの県もさくっと行けるのが便利ですね。今度長野に行ってみたいと考えています。

――これから移住を考えている人にメッセージはありますか?

いろんな地域で考えてみてほしいです。Googleマップで検索すると山しかないようなところでも普通に人は住んでいますし(笑)。自然とミニマリストになっていくことで案外困らずに生活できるんじゃないかなって。もちろん、独り身か家族がいるか……とかで状況は違うと思うんですけど。独り身でわりと身軽であれば、私のように“いろいろお手伝いできます”というスタンスで行って何かに参加させてもらえばそれも地域貢献ですし、地元の方も“新しく来た人にこんな新しい話が聞けた”というのがメリットになると思います。

移住のハードルを自分の中で上げちゃう人もいると思うんですけど、意外とそんなことはないというのが感想ですね。ただ、貯金がゼロで行くのは厳しい。家賃、食費、社会保険料など、すべてを現地に行ってからの賃金で賄えるかと言われたら多分そこまで仕事量がない。皆さん、あまり詰め詰めの営業日でやっていらっしゃらないので。多少なりとも貯金があり、何か別の夢やビジョンを持ちながら物価の安い地方で暮らす……というのは全然アリなのかと思います。

――やまださんご自身は、今後のSNSの展開や東栄町の魅力の発信についてどんなビジョンを持っていますか?

まずはイラストのほうで何かできたらと考えています。そして、今はまだ充分ではない町のチラシやお土産づくりなどで東栄町の情報発信や宣伝に携われたら。そのためにより地域を知っておきたいということで、さまざまなイベントやアルバイトに参加している側面もあります。自分が楽しみながら続けていって、東栄町の魅力を伝えるのはもちろん、“移住いいな”ってたくさんの方に興味を持ってもらえると嬉しいです。

インタビューでは、ご自身の移住の経緯や現在の暮らしを健やかな笑顔で語ってくれたやまださん。Instagramやブログでは地方移住に関する情報を積極的に発信している。いちどは憧れる「田舎暮らし」。興味のある方はぜひ参考にしてみてほしい。

取材・文=川倉由起子

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