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コーヒーで旅する日本/九州編|日本各地で今、注目のコーヒーと出合える場所。「THE LOCAL COFFEE STAND FUKUOKA」

  • 2023年3月20日
  • Walkerplus

全国的に盛り上がりを見せるコーヒーシーン。飲食店という枠を超え、さまざまなライフスタイルやカルチャーと溶け合っている。なかでも九州はトップクラスのロースターやバリスタが存在し、コーヒーカルチャーの進化が顕著だ。そんな九州で注目のショップを紹介する当連載。店主や店長たちが気になる店へと数珠つなぎで回を重ねていく。

九州編の第66回は、福岡県福岡市にある「THE LOCAL COFFEE STAND FUKUOKA」。2020年3月にオープンし、今年3月で3周年を迎えた。「THE LOCAL COFFEE STAND」の1号店は東京・渋谷にあり、福岡は2店舗目。同店をレコメンドしてくれたFUGLEN FUKUOKAもそうだったように、東京から東海や関西を飛び越えて九州にオープンしたという流れだ。

「THE LOCAL COFFEE STAND FUKUOKA」の一番の魅力は、日本各地のロースタリーが焙煎したコーヒーを月替わりで楽しめること。 “ひと月・いちロースター”を基本にするが、異なる産地の豆を常時4種用意し、同じロースターが焙煎した豆でも産地や焙煎度合いによる明確な違いを体感できる。“コーヒーは多様性の飲み物”。それをスタイルとして表現する「THE LOCAL COFFEE STAND FUKUOKA」の魅力に触れてみる。

Profile|中村彰宏(なかむら・あきひろ)
1997(平成9)年、埼玉県狭山市出身。高校卒業後、狭山市役所に入職。とある縁から東京コーヒーフェスティバルのボランティアを経験し、コーヒーの世界に引き込まれる。周囲の反対を押し切り、市役所を退職。国内最大級のコーヒー専門オンラインメディア「Good Coffee」が運営を手伝うコーヒーショップでバリスタとして働き始める。2022年9月、「THE LOCAL COFFEE STAND FUKUOKA」に異動。店舗マネージャーとして日々店に立つ。

■全国のロースターの“今”を味わう
「THE LOCAL COFFEE STAND FUKUOKA」があるのはJR博多駅筑紫口から徒歩7分ほどの場所。ブックライブラリーなどが話題のホテル、THE BASICS FUKUOKAの敷地内にあるが、路面店なのでだれでも気軽に利用しやすい開かれた雰囲気。実際、取材時も大学生や海外からの観光客など、多くの人でにぎわっていた。そんな同店の最大の特徴が、福岡にいながら日本各地で話題を集めるロースタリーのコーヒーが飲めること。これは、コーヒー専門オンラインメディア「Good Coffee」が運営しているからこその強みだ。

福岡は全国的にも知られたロースターやバリスタが営む店が多く存在するなど、日常的においしいコーヒーと出合えるのが大きな魅力。そしてコーヒーは産地や生産処理は同じだとしてもロースターによって味わいの表現の仕方が異なり、まさに一期一会の飲み物でもある。そう考えると、毎月違った豆、しかも九州以外のロースタリーが焙煎したコーヒーが飲める「THE LOCAL COFFEE STAND FUKUOKA」の存在意義は大きい。

店舗マネージャーを務める中村彰宏さんは「もともと東京で『THE LOCAL COFFEE STAND』を開いたのは、地方のロースターさんと首都圏に暮らすお客様をつなげる中間地点のような場所になりたいという思いからです。福岡においてもその考え方は同じで、全国のロースターさんと福岡のお客様の出会いのきっかけになれたらうれしい」と話す。

ただ毎月使用する豆を変えるということは、味わいのクオリティコントロールが難しいはず。中村さんは「おっしゃるとおり、ロースターさんが表現したい味わいを邪魔することなく、さらに福岡という土地、季節感に合わせて抽出するのは毎回の悩みどころです。一方でそれはバリスタとしての腕が試されるわけで、私たち自身、知識・技術を磨くことに繋がっています」と難しさを前向きに捉える。

■間口は広く、興味の入口は深く
メニューはゲストロースターの豆から選べるハンドドリップコーヒー(580円)、カフェラテ(550円)やカプチーノ(550円)といったエスプレッソベースをはじめ、メロンクリームソーダ(650円)、レモネード(600円)など、コーヒーを使わないドリンクも常時8、9種用意。さらに店で手作りするスイーツメニューも多彩だ。オレオチーズケーキ(650円)、キャラメルマキアートオレオチーズケーキ(700円)、プリン(600円)、ロータスチョコレートケーキ(550円)、ウィークエンドシトロン(500円)などがショーケースに並ぶ。

コーヒーに対して強いこだわりを持ち、柱に据える一方で、間口を広くしているのもまた「THE LOCAL COFFEE STAND FUKUOKA」の魅力だと感じる。実際、スイーツ目当てに訪れる客は多いが、それを入口に“ひと口にコーヒーと言ってもさまざまな味わいがある”という体験をして、コーヒーにハマる人も多いそうだ。

■固執せず、柔軟に出合いの機会を
「コロナ禍真っ只中の2020年3月にオープンしたことから、今までなかなか実施できなかったことも今後は積極的にやっていきたい」と中村さん。その言葉通り、2023年2月には群馬県・高崎市に店を構えるwarmthからバリスタを迎え、その日だけはゲストバリスタがハンドドリップをするイベントを行ったそう。中村さんは「それがとっても好評だったんです。熱心にバリスタと会話を交わされるお客様もいて、作り手との密なコミュニケーションによって生まれる気付きや体験はたくさんあると私自身実感しました。そんな時間、空間をこの場所から積極的に生み出していけたらと思っています」と力を込める。

現在は9:00〜18:00に営業しているが、2023年の初夏ごろから夜営業のスタートも予定している同店。夜はコーヒーやスイーツに加え、アルコールもメニューも用意し、カジュアルに利用できるバースタイルを目指しているという。まさに、なんに対してもフレキシブルに変化する「THE LOCAL COFFEE STAND FUKUOKA」らしいスタイル。福岡に開業して丸3年を経て、ますます型にはまらず、でもしっかりコーヒーの裏側に流れる物語を伝えていくような場所になっていきそうだ。

■中村さんレコメンドのコーヒーショップは「ROUND COUNTER」
「東京から福岡に引っ越して来た当時、知人もあまりいなくて。そんな時、先輩バリスタを介して知り合ったのが『ROUND COUNTER』のオーナーバリスタ、久保さん。それからは個人的にちょこちょこお邪魔させてもらっています。『ROUND COUNTER』さんは店の雰囲気もステキですし、なにより久保さんが淹れるラテが最高においしいんです。元パタンナーの技術を活かしたオリジナルアイテムもかっこいいですよ」(中村さん)

【THE LOCAL COFFEE STAND FUKUOKAのコーヒーデータ】
●焙煎機/なし
●抽出/ハンドドリップ(HARIO V60、Kalitaウェーブ)、エスプレッソマシン(LA MARZOCCO Linea PB-2)
●焙煎度合い/浅煎り〜深煎り(月によって異なる)
●テイクアウト/あり
●豆の販売/100グラム1000円前後(月によって異なる)

取材・文=諫山力(knot)
撮影=大野博之(FAKE.)

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