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【漫画】愛猫の亡骸を冷凍庫に!?「剥製にするから」正解のないペットロスの心理を描いた漫画に「考えさせられる!」の声

  • 2023年2月23日
  • Walkerplus

11年間飼っていた愛猫「シビ」が息を引き取り、その死を受け止められない2人のカップルを描いた矢野満月(@yanomaan)さんの創作漫画『シビは寝ている』は、第81回ちばてつや賞一般部門の大賞を受賞した。勤務中にシビのことを思い出し、目に涙が浮んでしまうタカオだったが、マキは冷静に「亡骸は剥製にするから」と言い切った。大切な存在を失った2人のあり方に「考えさせられる」「同じ気持ち」と4.2万のいいねが集まっている(2022年2月14日時点)。


■仕事も手に付かない彼と亡骸を剥製にすると決めた彼女
大切な愛猫「シビ」が亡くなった。しかし、仕事は休むことができない。タカオは、シフト通りスーパーへ出勤する。普段通りに仕事をこなすものの、チェッカーの勤務中、愛猫「シビ」のことを思い出して胸が痛んだ。

動揺を隠せないタカオとは反対にマキは、妙に冷静だった。シビを可愛がっていたので、もっと激しく取り乱すと思っていたのだがーー。

帰宅すると、マキが夕飯を作っていた。そして、シビの亡殻がない。タカオが「シビはどこ行ったの?」とマキに聞くと「ここ」と冷凍庫を指す。

開けてみると、冷凍庫で保存されているシビの姿が――。そして、マキは「シビは剥製にするから」と言った。

■言葉にできない気持ちを漫画に託した著者にインタビュー
――まずは、矢野さんが漫画を描き始めたきっかけを教えてください。

大学の卒論で漫画の描き文字について書いたことをきっかけに、大学卒業後本格的に漫画を描き始めました。

――本作は、ペットを剥製にして残しておきたいというのが注目ポイントだと思います。剥製ができると知ったきっかけを教えてください。

海外のネットニュースで、愛犬を剥製にした人の記事を見て知りました。

――実際に剥製にするという情報を知った時は、どのような気持ちでしたか?

正直はじめは、剥製にして姿を残しておきたいという気持ちがよくわからず、タカオくんと同じように「可哀想では?」と思いました。でもだからこそ、その気持ちをわかりたくてこの漫画を描こうと決めました。

――喪失感が大きいタカオ、剥製という形で心の穴を埋めようとするマキ、ペットロスを馬鹿にするスーパーの店長、と本作ではさまざまな考え方が描かれていますね。登場人物で、こだわったところはありますか?

誰にでも良いところと悪いところが必ずあって、登場人物の誰かが絶対的に正しいとか間違っているわけではないので、その人間模様を丁寧に描きたいなと思っています。

――「共感できないからって、人の気持ちを否定していいわけではないですよね」と、タカオのセリフがあります。このセリフに矢野さんの思いが込められているのでしょうか。

漫画を読んで感じてもらったことが全てなので、こちらから説明することは控えます。でもこのセリフは自分自身にも言い聞かせたい重要な言葉ではありますね。

――本作を読んで、多くの人が「共感」したり、「いろいろ考えさせられた」とコメントもありますが、いかがですか?

私は自分の思いを言葉で伝えることが苦手なのですが、漫画を通してたくさんの方に自分の思いに寄り添ってもらえたような気持ちでとても嬉しいです。

――ペットを飼ったことがない人でも、ペットを亡くした人の気持ちや考え方が共有できる作品だと思いました。ペットロスをテーマにした理由はありますか?

悲しみとの向き合い方は人それぞれで、なかなか人に理解されないことでも、丁寧に心情を描けば少しはその気持ちをわかってもらえるんじゃないかと思って描きました。

――その他にどのような漫画を描いていますか?

最近では、「老いと罪」をテーマに『骨と鞭』という落ちこぼれ刑務官と老人受刑者の話を描きました。こちらも読んでもらえたら嬉しいです。現在は、連載を目指して絶賛奮闘中です。



大切な存在を亡くした悲しみは言葉に表せない。その穴をどのようにして埋めるのかも、人それぞれだ。「剥製にして一緒にいたいという気持ちはよくわかる」「剥製という方法を知らなかったけど、もし知っていたらそうしていたかもしれない」「正解も不正解もない」など、感情移入した読者たちから多くのコメントが届いている。

■取材協力:矢野満月(@yanomaan)

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